今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、木曜までは1.10台半ばの買いと後半の売りとに挟まれ、方向感も無いつまらない展開が続きましたが、金曜にラガルドECB総裁の緩和継続発言をきっかけにもみあいを下抜け、1.10台前半へと押して引ける動きとなりました。
欧州内の材料は政治も経済も一巡した感があり、かといってECB総裁の発言も現在の緩和政策を続けていく以上の強い意味とは考えられず、もっとも影響の大きい要因は12月総選挙に向けての英国世論調査のアップデートと、それによって上下するポンドの動きに左右されるという状況です。
東京市場ではドル円の年初来の値幅が7円55銭しか無いという動かなさに注目が集まりますが、ユーロドルはさらに安定していて、年初来のレンジがわずか685pipsです。どちらも変動相場制移行後最低の値幅を大幅に更新することが間違いない状況ですが、ユーロは世界的にもっとも取引量が多い通貨であることを考えると、このユーロドルの動かなさは多くのトレーダーにとって悩みどころです。
今週の欧州は、本日ECB理事の講演、主要国のCPIと消費者信頼感が発表されますが、どれも先週金曜のドイツPMIのように一時的な反応があったとしても方向感が出るほどの影響は無いでしょう。もしすべての数字の方向が強いか弱いかに傾くようなことがあれば、徐々に方向感が出てくるという可能性はありますが、なかなかそうしたことも考えにくい状況です。
そうなると、今週も英国の世論調査とポンドの動きを横目で見てということになりそうです。
英国では23日に直近の政党支持率に関する複数の世論調査結果が発表されました。細かな差異はあるものの、与党保守党がリードし支持率は42%程度で変化なく議席を50議席以上積み増す予想となっています。労働党は30%程度でこちらも変わりはありませんが、議席は30議席程度減少予想となっています。こうした数字から判断すると合意あるブレグジットに向けて保守党有利ですが、逆にここまでの流れから変化していないとも言え、ここから選挙までの間に変化が出てくるかどうかでポンドに動きが、そしてユーロにもといったところです。ただ、テクニカルには気になることもありますので、こちらは今週のコラムをご参照ください。
まず、ユーロドルのテクニカルから見ていきます。日足チャートをご覧ください。
10月高値と11月高値でダブルトップを形成し、ネックライン(黄色)を下抜けて下落、その後1.10の大台をトライしきれず反発したものの、現状はネックラインがレジスタンスとなっている構図です。つまり、先週木曜に1.11をトライできなかったことから、再び下げる可能性が出てきたものの1.10の大台で買いが出てくるのかどうかという状況です。
ただ、1.10の大台までの距離が近いことや、コラムで扱ったポンドドルのチャートも下げる可能性がありそうなことを考えると10月安値と高値の押しの次のターゲットとなる78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.0943を試す流れはありうると見ています。当然、1.10の大台を抜けられない場合は1.10の買いと1.10台後半の売りというつまらない展開を継続することとなりますが、個人的には下抜け7、もみあい3といったイメージで見ています。
今週は1.0960レベルをサポートに、1.1060レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
今週もポンドドルの日足チャートを見ます。
先週の段階では緩やかな下降ウェッジを上抜けし始めたか、というチャートでしたが結局は明確に抜けられず、逆にトリプルトップを形成し始めてきました。
10月高値、そして10月末高値、先週高値を3点でトリプルボトムを形成中で、仮にピンクの平行線で示したチャンネル(ネックライン)を下抜けるとトリプルトップの完成となります。まだネックラインに距離はありますが、10月の上昇が大きかったことから、ネックラインを下抜けると思いのほか大きな反落に繋がる可能性があるチャートです。
ユーロもポンドもまだ、パターンを形成中ではあるものの、どちらも動くとすると下の可能性が高いことや、特にポンドで下抜けた場合はかなり下げるリスクがありそうなことは、意識しておきたいところです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
11月25日(月)
18:00 ドイツ11月ifo企業景況感
20:00 フランス中銀総裁講演
27:00 レーン、メルシュECB理事講演
11月26日(火)
16:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
11月27日(水)
16:00 ドイツ10月輸入物価指数
16:45 フランス11月消費者信頼感
11月28日(木)
**:** NY市場休場
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感
22:00 ドイツ11月CPI速報値
11月29日(金)
09:01 英国11月GFK消費者信頼感
16:00 ドイツ10月小売売上高
16:45 フランス7〜9月期GDP改定値
16:45 フランスCPI速報値
17:55 ドイツ11月雇用統計
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値
19:00 ユーロ圏10月失業率
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
11月18日(月)
ユーロドルはNY市場に入るまで高値圏でのもみあいを継続しました。NY市場では中国の米中通商協議が難航しているとの発言をきっかけとしてドル売り相場となったため、ユーロドルは1.1090レベルまで上伸、引けにかけてはやや押しての引けとなりました。
11月19日(火)
ユーロドルは目立った材料が無い中で終日もみあい、値幅も20pips程度に留まり様子見相場となりました。英国では最新の世論調査で保守党の労働党に対するリードが縮小しているとの結果にポンド売りが目立ちましたが、ユーロへの影響は見られませんでした。
11月20日(水)
ユーロドルは、米中間の状況に対する懸念がユーロ円の売りとなったことから上値の重たいスタートを切り、ドル円同様の値動きを見せていました。その後のNY市場においては一時的なドル買い戻しと引けにかけてのドル売りと、こちらもドル円同様ではあったものの方向感ははっきりしないままの引けとなりました。
11月21日(木)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入りポンドに連れ高となっていたところ前日高値を上抜けるとストップオーダーも巻き込みながら一段高、NY市場の朝方には一時1.1096レベルの高値をつけました。しかし、NY市場ではポンドが一転下げに転じる動きとともにユーロも前日安値圏と重なる1.1052レベルまで下落し、若干戻しての引けとなりました。
11月22日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤に強い経済指標に反応し1.1088レベルの高値をつけましたが、その後はラガルドECB総裁が緩和継続に言及したことも手伝って反落。NY市場ではトランプ大統領が米中合意に楽観的な発言をしたこと、欧州時間の安値を下回ったところでストップオーダーが下げを加速させとことも重なり1.1015レベルまで下値を広げ安値圏での週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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