ドル円見通し もみあいを抜ける気配無し、煮詰まってはいる(週報11月4週)

先週のドル円は、108.28〜109.07と一週間のレンジは80銭弱、しかも月曜の上下を除くと108円台半ばでの膠着相場と方向感も見えない冴えない一週間でした。

ドル円見通し もみあいを抜ける気配無し、煮詰まってはいる(週報11月4週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、108.28〜109.07と一週間のレンジは80銭弱、しかも月曜の上下を除くと108円台半ばでの膠着相場と方向感も見えない冴えない一週間でした。これまで米中通商協議、香港人権法案等、米中間の通商問題に対する期待と外交面での懸念が好材料と悪材料となっての綱引き状態ではあるものの、これまでは株式市場が強かったこともあって為替市場もどちらかというとリスクオン方向にバイアスがかかっていたと言えます。

トランプ大統領としては来年の選挙戦に向けて米国農家の支持を得るためにも通商協議を優先して合意署名に持って行きたいところしょうが、以前に比べて議会との対立も増えてきている中で、香港人権法案への署名をせざるを得ない状況になってきている様子です。もちろん大統領として拒否権を発動することも可能ですが、上下院ともにほぼ全会一致で可決しているだけに拒否権を発動しても覆される(3分の2で)ことがほぼ確実です。そうなると、大統領が法案に署名、中国側は抗議ということは間違いありません。

中国側がこれまで進めてきた通商協議と話を分けて考えるかどうか次第ですが、少なくともすんなりと合意署名へと進む可能性は低くなったと思われます。今週木曜は米国が感謝祭で市場参加者も週後半には減ってくるため、何も無ければ動かず、何かニュースが出てくると振れる可能性があるというイメージです。経済指標も連日出ては来るものの、引き続き米中間の通商と外交の様子を見てという流れは変わらないでしょう。

また底堅いことには変わりはありませんが、米国の株価指数が先週前半から目先の利食いが入り上値が重くなってきていることや、恐怖指数と呼ばれるVIX(S&Pのボラティリティ)が過去の水準と比較してかなり低い水準に留まっていることも、遠くない時点でいったん米株に調整が入るのではないかと思わせます。時間的にはかなり煮詰まってきた感じもしますので、今月から来月にかけてのニュースには気を付けたいですね。

次にテクニカルです。日足チャートをご覧ください。

客観的に見て8月安値からの上昇ウェッジ(ピンクのライン)内の動きを下抜け、11月高値からは短期下降チャンネル(青の平行線)の中での動きとなっていたものの、今は上に抜ける可能性も出てきたという段階にあります。ただ、このまま上抜けしてリスクオン相場となるというのもどうも材料的には難しいと思わざるを得ず、いまはダイヤモンド型(水色の点線)のチャートパターンを形成中で、このもみあいをそろそろどちらかに抜ける段階に近づいているのではないか、というのが現時点での見解です。

個人的には下(円高)方向により注意すべきであるとは思いますが、もみあいを抜けるまでは方向感を持たず、抜けた方向についていく動きがよいかと思われます。いつ抜けてもおかしくは無いものの、抜けるまではレンジ相場継続を考え、今週は108.35レベルをサポートに108.95レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

11月25日(月)
18:00 ドイツ11月ifo企業景況感
20:00 フランス中銀総裁講演
27:00 レーン、メルシュECB理事講演
30:45 NZ7〜9月期小売売上高

11月26日(火)
09:00 パウエルFRB議長講演
16:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
18:05 豪中銀総裁講演
23:00 米国9月住宅価格指数
23:00 米国9月ケースシラー住宅価格指数
24:00 米国11月リッチモンド連銀製造業景況指数
24:00 米国11月消費者信頼感
24:00 米国10月新築住宅販売件数
30:45 NZ10月貿易収支


11月27日(水)
07:00 NZ中銀総裁会見
16:00 ドイツ10月輸入物価指数
16:45 フランス11月消費者信頼感
19:00 南ア10〜12月期企業信頼感
22:30 米国7〜9月期GDP改定値
22:30 米国10月耐久財受注
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:45 米国11月シカゴ購買部協会景気指数
24:00 米国10月個人所得・消費支出
24:00 米国10月住宅販売保留件数
24:30 週間原油在庫統計
28:00 ベージュブック

11月28日(木)
**:** NY市場休場
09:00 NZ11月企業信頼感
18:30 南ア10月PPI
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感
22:00 ドイツ11月CPI速報値
30:45 NZ10月住宅建築許可件数


11月29日(金)
08:30 本邦10月失業率・有効求人倍率
09:01 英国11月GFK消費者信頼感
16:00 ドイツ10月小売売上高
16:00 トルコ10月貿易収支
16:45 フランス7〜9月期GDP改定値
16:45 フランスCPI速報値
17:55 ドイツ11月雇用統計
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値
19:00 ユーロ圏10月失業率
21:00 南ア10月貿易収支
22:30 カナダ7〜9月期GDP

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月18日(月)
ドル円は週末の流れを継続し、東京市場では株価上昇の流れに沿ってリスクオンの円安地合いが継続しました。海外市場でも円安地合いが続き、欧州市場では109.07レベルの高値をつけましたが、109円台では売りたい向きが出てくることに加え、NY市場に入り米中通商協議に対して中国側からあらためて協議が難航している発言が出ました。これをきっかけとして株式も為替も急転リスクオフ、ドル円は108.51レベルまで下げた後に、引けにかけては株価とともにやや戻して引けました。


11月19日(火)
ドル円は朝方こそ株価の下げに沿って一時的な下げも見られましたが、108.46レベルを安値にその後は欧州市場までじり高、前日と朝方の下げに対するポジション調整の動きとなりました。しかし、夜間取引で高値をトライしていたダウ先物が下げに転じる動きとともにドル円も108.84レベルを高値に再び下げに転じ、東京朝方の安値に並んだ後は若干の戻しが入っての引けとなりました。

11月20日(水)
ドル円は前日の流れを受け上値の重たいスタートを切りましたがNY市場までは狭い値幅の中でもみあいとなりました。NY市場に入り株価が底入れしたことから、ドル円もポジション調整の買い戻しが見られたものの、米中通商協議進展の懸念もあって上がったところでは売りが出て安値圏に押しての引けとなりました。


11月21日(木)
ドル円は寄り付き直後から売りが強まった日経平均株価を見てドル売りが先行し108.27レベルの安値をつけました。しかし、これまで悲観的なコメントが目立った中国側から楽観的なコメントが出たこともあり急反転、昼前には下げる前の水準を回復しました。その後は狭いレンジながらも底堅い展開を続け、NY市場では108.69レベルの高値をつけ、底堅い地合いのまま引けました。

11月22日(金)
ドル円は終日もみあい、欧州市場までは若干上値が重たかったものの、その後はユーロドルが下げたこともあって買い戻される動きとなりました。しかし値幅はわずか25銭と冴えない週末相場となっていました。

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