<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円は、レンジ取引。週間を通しておおむね108円台、値幅はわずか80ポイントにとどまるなど、方向性は乏しかった。
週末に「米中閣僚級が通商合意署名向け電話協議を実施」したことが明らかになったうえ、米誌が「米国のボルトン前大統領補佐官が7月に来日した際、日本に4倍増の米軍駐留経費負担を要求」などと報じ、物議を醸すなか週明けの為替市場がオープン。
ただ、週末ニュースの影響は限定で、ドル/円の寄り付きは前週末のNYクローズと大差ない108.75円レベルとなっていた。その後ドルは週間高値である109.07円を示現するも続かず。108円台に押し戻されると、以降は米株や米金利の動きなどをにらみつつ、108円台半ばを中心に±30ポイント程度のレンジ取引をたどっている。週末NYは108.60-65円で取引を終え越週に。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米中貿易協議」と「韓国、GSOMIA破棄に向けた動き」について。
前者は、依然として好悪材料サイドの要因が混在し、先行きの不透明感が強い。先で指摘した週末の電話協議や、トランプ米大統領から「中国は取引を望んでいる」としたうえで、「米中通商協議を続ける」との発言が聞かれ、これらはドルの支援要因に。しかし、その反面でCNBCは「中国政府が米国との通商合意をめぐり悲観的なムードになっている」、ダウジョーンズは「米中貿易協議は行き詰まる危険性がある」、ロイター「協議の第1段階は年内に合意に至らない可能性もある」などとメディアはおおむね悲観的な報道が目立っていた。
また、それとは別に、香港情勢などをめぐっての米中間のつばぜり合いも観測されている。
対して後者は、週末23日午前0時に失効する公算が高まっていた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に関する報道も相次ぐ。聯合ニュースが失効前日に、「韓国大統領府はGSOMIAの破棄が避けられないとの立場をまとめたようだ」と報道し、決め手になった感を否めなかったが、土壇場に来て大逆転。韓国政府が執行の延期を発表、それもあり週末には12月末に「日韓首相が会談実施する方向で調整」に入ったことも明らかになった。
<< 今週の見通し >>
市場が依然として米中情勢、とくに通商協議に関するニュースを注視していることは間違いない。しかし、状況が二転三転するなど朝令暮改ともいえることも少なくないことから、参加者の多くは価格の乱高下にお疲れモードか。実際、先週末に掛けて市場の反応はかなり鈍くなっており、参加者の多くは一喜一憂せずに様子見へと転換した感も。今週は、週末にかけて米国が感謝祭となり金融市場が休場となることで、108円台を中心とした狭いレンジ取引が続くと予想する向きも少なくない。
材料的に見た場合、「米貿易問題」、「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」、「トルコ・シリア情勢」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」そして「韓国情勢」など注目すべき要因は依然として目白押し。そのいずれも警戒を要するが、とくにとなると香港情勢などを含めた「米中情勢」。しかし、それとは別に日柄的な側面にも注意を払いたい。28日の「感謝祭」は別名として「収穫祭」とも言われるが、為替など金融市場においても前後の日程で、これまで積み上げてきたポジションの「収穫」の動き、整理手仕舞いや利益・損失の確定などが入りやすいことが知られている。予想以上に荒れる可能性もある。
テクニカルに見た場合、先週のドル/円形成レンジは108.28-109.07円。つまり、一週間でわずか79ポイントの変動にとどまったことに加え、今月以降と捉えても107.89-109.49円の1.60円レンジに過ぎない。
後者については、まだ時間的な猶予が幾分あるが、今11月がこのままの状況で終了すれば、「月間変動幅1円台」は今年実に3回目。4月(1.61円)に匹敵する今年の最小月間変動幅を記録することになる。月間レンジの上下限のいずれかをブレークし、次の方向性が見いだせるのか否かに注目だ。
米経済指標をみると、11月のダラス連銀製造業活動指数や同消費者信頼感指数、7-9月期のGDP改定値など注目の発表が少なくない。また、27日には米地区連銀報告(ベージュブック)も公表される見通しだ。先週発表された米経済指標は好悪マチマチのまだら模様だっただけに、12月FOMCの金融政策を見極めるうえで、今週の指標内容についても注視している向きは多いようだ。
そのほか、米財務省による2年債や5年債の入札、昨24日に実施された「香港での区議会・地方選挙」の結果などを警戒する声も聞かれている。
そんな今週のドル/円予想レンジは、107.70-109.20円。ドル高・円安については、先週高値109.07円をめぐる攻防にまずは注視。しっかり超えれば、直近高値の109.49円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、過去2週間程度で少なくとも2度下げ止まっている108.20-30円が最初のサポート。割り込めば108円、あるいは今月安値107.89円などが意識されそうだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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