ユーロ週報 「上昇トレンド継続も勢いは無い」(週報11月第1週)

先週のユーロドルは、週を通して上下しながらもじり高の傾向が見られました。

ユーロ週報 「上昇トレンド継続も勢いは無い」(週報11月第1週)

上昇トレンド継続も勢いは無い

今週の週間見通しと予想レンジ

先週の欧州冬時間移行に続いて今週からはNYも冬時間に移行します。経済指標の発表時間等にご注意ください。

先週のユーロドルは、週を通して上下しながらもじり高の傾向が見られました。材料的には英国の12月総選挙に向けて目先の材料は後ろにずれ込むこととなりましたが、保守党が勝ち一部野党の協力も得て合意あるブレグジットとなればその後は政治的にも安定するであろうこと、また離脱後のEUや各国との協議も円滑に進むであろうことが好材料とされています。

逆に野党連合がブレグジット阻止に動きブレグジットそのものが廃案となる可能性もゼロではありませんが、これは最大野党労働党の動向次第と言えそうです。自由民主党とスコットランド国民党はブレグジット阻止を明言していますが、労働党はマニフェストに離脱の是非を問う再国民投票の実施を盛り込むと言われていて、もし選挙運動で労働党の支持が事前の世論調査に反して高くなれば、その可能性もありということになります。これはこれで、この3年間の政治的な混乱は何だったのかということになりますが、英国、欧州の経済を考えるとこれも決して悪材料とは言えないという思惑が動いています。

今週はいよいよ英国議会の解散、そして総選挙に向けて与野党の選挙運動開始となりますが、個人的な意見としては国民投票で決まったことを、総選挙で覆される可能性があるということは民主主義の仕組み的にどうなのかとスッキリしない感覚もあります。前回の国民投票の結果の是非以前の問題として、直接民主制というのはもっと重たいものだと思います。

ちなみに現時点での英国の世論調査では、各調査会社によって違いはあるものの与党保守党が有利であるという結果です。直近2日のPoliticoの支持率調査集計では、保守党が38%、労働党が26%となっていて10ポイント以上のリードとなっています。離脱はということで、保守党+ブレグジット党では48%ですが過半数には届いていませんし、何と言っても英国の政治に関する世論調査はおよそあてにならないというのがこれまでですから、今後12月の選挙まで時間もありますので、各調査機関のブレも検討しながら注意深く見守っていきたいと思います。

そして週末にはスペインで総選挙があり、こちらは与党が議席を大きく減らすと言われています。こちらは昨日3日に世論調査が議席予想を集計していますが、極右が議席倍増、野党国民党が議席5割増、といった状況のようです。最近のドイツの州議会選でもそうですが、欧州全体の傾向として与党人気が低迷というのが明確です。こちらは週明けとなりますが予想されていることとは言え、欧州にとっては悪材料となってくるでしょう。

政治イベント以外では本日のラガルド新ECB総裁の講演、連日出てくるPMI改定値をはじめとする経済指標がありますが、これらはあまり大きな材料とはならないものと見ています。

テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。

上昇トレンド継続も勢いは無い

先週書いた通りですが、6月高値からの下降トレンドは10月上旬で終わり、10月11日から上昇トレンドへと転じていました。現段階でトレンドを示すとするとピンクの平行線で示した10月安値を起点とした上昇チャンネル内での動きと考えられます。現行水準はほぼ10月高値に並ぶ水準で、ここを一度も試さずに下げるとも思えません。

その場合、直近の目立つ高値となっている6月高値と10月安値の61.8%戻しとなる1.1209が次のターゲットになってくると考えて良いでしょう。また下値はサポートラインが本日時点で1.1110レベルを上昇中です。ポンド高がリードしてきたユーロ高でもあり、ポンドの動向次第では調整も入りやすいのですが、今週は1.1110レベルをサポートに、上記ターゲットとも重なる8月高値圏1.1240レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はポンド円の日足チャートを見ます。

政治要因としては12月の選挙に向けて不確定要素が多いのですが、テクニカルにはユーロドル、ユーロ円以上にポンドは強い上昇を見せ、現状は高値もみあいとなっています。

上昇トレンド継続も勢いは無い 2枚目の画像

ここまでの上昇を8月安値を起点としたN波動と捉えると、9月初めにダマシの押しはあったものの9月高値までの上げ、その後の10月安値までの押しを挟んで9月高値を上抜けたところで上昇波動完成のパターンです。

現状は10月高値を見て以降は青のラインで示したペナントのチャートパターンとなっています。定石通りに上抜けとすると上昇N波動の127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションとなる142.13をターゲットとする動きですが、下抜けると一気に調整が入る可能性もあります。どちらに抜けるか、抜けた方についていきたいチャートと言えるでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

11月4日(月)
**:** 東京市場休場
**:** NY市場冬時間移行
17:00 スペイン中銀総裁講演
17:50 フランス10月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ10月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI改定値
18:30 英国10月建設業PMI
28:30 ラガルド新ECB総裁講演

11月5日(火)
18:00 フランス中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏9月PPI

11月6日(水)
16:00 ドイツ9月製造業新規受注
17:50 フランス10月サービス業PMI改定値
17:55 ドイツ10月サービス業PMI改定値
18:00 ユーロ圏10月サービス業PMI改定値
18:00 デギンドスECB副総裁講演
18:30 メルシュECB理事講演
19:00 ユーロ圏9月小売売上高

11月7日(木)
16:00 ドイツ9月鉱工業生産
21:00 英中銀MPC結果発表、四半期インフレ報告
21:30 英中銀総裁会見

11月8日(金)
16:00 ドイツ9月貿易収支
16:45 フランス9月貿易収支
16:45 フランス9月鉱工業生産

11月10日(日)
 **:** スペイン総選挙

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月28日(月)
ユーロドルは金曜の下げに対する調整もあって東京市場からじり高の展開となりました。ドイツ州議会選ではCDUが左派、極右に続く第3党になったものの反応は無く、その後はポンド買いの動きもあって買い戻しが目立ちました。ブレグジットの期限は英国の希望通り来年1月末まで延期され、それも下支え要因となりましたが、NY市場ではドル高の動きからやや下押し後引けにかけては買い戻される動きとなりました。

10月29日(火)
ユーロドルは、東京では動かず欧州市場に入り売りが先行、にユーロ円の売りが出たことから一時、1.1074レベルの安値をつけました。しかし、先週安値をトライしきれなかったこと、また英国で12月総選挙に労働党が同意したことでポンドが上昇、その動きに沿ってユーロも上昇し1.1119レベルまで水準を上げ高値圏で引けました。

10月30日(水)
ユーロドルはFOMCまでは多少の上下を挟みながらももみあいとなっていましたが、利下げ後の議長会見で利下げ打ち止めと取れる発言がありドル買いの動きに。直後には1.1080レベルまで下押ししましたが、その後の反発が強く1.1152レベルへと大きく上昇し、そのまま高値引けとなりました。

10月31日(木)
ユーロドルは目立った材料がない中で欧州市場序盤まではドル円同様にドル売りの動きがユーロをじり高へと動かし、一時1.1176レベルの高値をつけました。またその後の中国による通商協議に対するネガティブな発言でユーロ円が売られたことからユーロドルも反落、NY前場には1.1132レベルまで下押し後、引けにかけてはドル売りの動きに追随しやや戻して引けました。

11月1日(金)
ユーロドルは東京市場では動かなかったものの、欧州市場に入り特に目立ったニュースが無い中で実需売りに押されてやや水準を下げてのNY市場入り。NYでは雇用統計前後の動きで1.1129レベルまで下げた後に行ってこいとなり、引けまで堅調な動きを見せての週末クローズとなりました。

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