ユーロは徐々に上値下値とも切り下げる展開(週報9月第4週)

先週のユーロドルは、ECB理事会後の展開となったものの、1.10の大台割れの買いと1.10台後半の売りに挟まれて方向感がはっきりしない一週間となりました。

ユーロは徐々に上値下値とも切り下げる展開(週報9月第4週)

ユーロは徐々に上値下値とも切り下げる展開

先週のユーロドルは、ECB理事会後の展開となったものの、1.10の大台割れの買いと1.10台後半の売りに挟まれて方向感がはっきりしない一週間となりました。材料的にはサウジアラビアへの攻撃や中国代表団の早期帰国などリスクオフ材料が多かったのですが、どちらもユーロへの影響は見られず、ユーロ円での円の売買の動きが影響した程度でした。

欧州の最大のイベントが経過したことが動きにくくなったということもありますが、ブレグジットに関してはユンケル委員長がバックストップ条項を削除した代替案に積極的となってきたいっぽうで、合意無き離脱の可能性にも言及とEU内での議論で意見が分かれていることを予想させます。

実際にアイルランド外相は英国の代替案要求に対して否定的な見解を示し、当事者国としての意見や全会一致が基本のEUが10月のEUサミットまでに代替案で一致できるのか、それを再開後の英国議会が合意できるのか、次の大きなテーマはいよいよブレグジットに目が向かい始めたという感じです。EUとして代替案は最も英国寄りの妥協となるでしょうから、もし英国がそれで合意しない場合は、ほぼ合意無き離脱に追い込まれるのではないか、というのが現時点での個人的見解です。引き続き、EU側からの発言に注意が必要です。

もう少し短期的なところでは、今週はEU各国の中銀総裁をはじめ、ECB関係者の発言が目立ちます。先のECB理事会ではQE再開には意見が分かれたようですし、実際に直後から反対するような意見も出ていました。統合的な緩和策に対しての反対意見が出てくるとすると、タカ派的でユーロ買いという動きになりそうですが、EU内でも南北格差ともいえる経済状況が現実であることを考えると、現時点では先の決定による効果を見極めていくしかありませんし、次期ラガルド総裁になってからしばらくの間は目立った政策の変更は行われることは無いと思われます。

そうなると、四半期末を控えて今週もユーロは動きにくいとなりますが、こうしたことも含めてテクニカルな点について日足チャートを見てみます。

ユーロは徐々に上値下値とも切り下げる展開

ユーロドル日足

細かなターゲット等は省いて、6月高値からの下降チャンネルのみを表示してありますが、少なくともレジスタンスラインはよく効いています。このレジスタンスラインが今週は1.10台後半から半ばへと下がってきますので、先週よりも一段と上値が重たくなってくる可能性が高いと見ています。

いっぽう下値ですが先週は1.10割れでの買いが目立ちましたが、9月に入ってから1.0927レベルを2度トライしていることを考えると、もし次に同水準を割り込むと大きくユーロ安が進む可能性があり、1.10の大台が鉄板のサポートという状況ではありません。そこまでの材料が見当たらないとは言うものの、テクニカルにはもう一度試したくなる動きです。さすがに一気にそこまでは行かないまでも、1.09台後半から半ばへと下側も水準を切り下げてくる可能性は高いでしょう。今週は1.0950レベルをサポートに、1.1080レベルをレジスタンスとする流れを見ておきたいと思います。

今週のコラム

今週はスイスフランの日足チャートを見ます。

今週のコラム

直近では買い戻しも出ているポンド、現時点では横方向の動きをしているユーロ、これらの通貨に比べてスイスフランはここ2か月一貫して売られていることがわかります。

スイスフランは8月前半までは弱い欧州の経済状況とECBの緩和思惑もあって、4月高値以降はドル売り・スイスフラン買いが目立っていました。しかし、対ユーロでのスイスフラン高に警戒するスイス中銀はスイスフラン売りの介入もしていた様子で、そこからはドル買い・スイスフラン売りへと方向を転じています。

ポンド買い>ユーロ中立からやや買い>スイスフラン売りと欧州通貨内でも全く方向性を異にしていますが、ブレグジットに向けて各通貨の力関係に変化が出てくるのか、興味深いところではあります。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

9月23日(月)
**:** 東京市場休場
16:15 フランス9月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ9月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏9月製造業・サービス業PMI速報値
22:00 ドラギECB総裁議会証言

9月24日(火)
15:45 フランス9月企業景況感
16:00 フランス中銀総裁講演
17:00 ドイツ9月ifo企業景況感

9月25日(水)
15:00 ドイツ10月GFK消費者信頼感
15:45 フランス9月消費者信頼感

9月26日(木)
16:00 クーレECB理事講演
22:30 ドラギECB総裁講演
22:45 英中銀総裁講演

9月27日(金)
08:01 英国8月GFK消費者信頼感
15:00 ドイツ8月輸入物価指数
15:45 フランス9月CPI速報値
15:45 フランス8月PPI
16:15 デギンドスECB副総裁講演
16:16 オランダ中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏9月消費者信頼感
22:00 スペイン中銀総裁講演

今週のコラム 2枚目の画像

前週のユーロレンジ

先週の概況

9月16日(月)
 ユーロドルは、週明け早朝こそサウジアラビアのニュースによるドル円のリスクオフからドル安気味のスタートを切ったものの、ユーロの上値は重く先週後半の買いに対する調整の売りが目立ちました。その後もポンドの売りに引っ張られてユーロは水準を切り下げ、金曜安値を下抜けると一段安、NY市場ではストップも巻き込んで1.10の大台割れ、引けにかけてはもみ合いの中、かろうじて大台を回復して引けました。

9月17日(火)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤に売りが先行する場面も見られましたが、その後はドイツの強めの経済指標も手伝って一貫して買い戻しが続きました。英国の離脱に関して代替案期待も根強くポンド買いの動きもユーロ買いへと波及し1.1075レベルまで水準を切り上げ高値引けとなりました。

9月18日(水)
ユーロドルは、東京市場から上値が重たかったところに、欧州市場序盤にユンケル委員長がブレグジットについて合意無き離脱の可能性にも言及したことで、ユーロ売りが目立ちました。しかしFOMCを前にポジション調整が入ると下げる前の水準に戻してのFOMC待ち。FOMC後はドル買いの動きとなったことから欧州市場安値を割り込み1.1013レベルまで下押し後に若干戻して引けました。

9月19日(木)
ユーロドルは、東京前場のドル円の下げからドル売りユーロ買いが先行、その後のスイス中銀の金融政策が現状維持でスイス買いとともにユーロも買われました。その後の英中銀MPCではこちらも現状維持となり、ポンドが下げる動きとともに下押し、NY市場では方向感がはっきりしないまま引けました。

9月20日(金)
ユーロドルは、欧州市場序盤まではユーロ買いが先行していましたが、アイルランド外相が英国の妥協案に難色を示したこと、メルケル首相が均衡予算について言及し財政出動期待が後退したことからユーロ売りの流れとなり1.0990レベルまで水準を切り下げた後、やや戻して1.10の大台を回復して引けました。

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