基本はレンジか、ただドル下落にも要注意
<< 東京市場の動き >>
週明け23日の東京市場は、揉み合い。東京休場もあり、薄商いのなか動意に乏しい。107円後半の20ポイント足らずのレンジ取引に終始している。
先週末は、事務レベルでの米中貿易協議が実施されていたが、複数報道で「米国を訪れている中国代表団が予定を早めて帰国した」と報じられ、期待されていた協議の進展に暗雲が垂れ込めたとの見方が広まった。
そうした状況下、ドル/円は若干の円安スタート。週明けの取引は107.65-70円と下方向にわずかなギャップを空けて寄り付いている。ただ、東京休場もあってか積極的な動意に乏しく、レンジを脱せず。107.60-75円という20ポイントにも満たない揉み合いに終始。16時時点では107.70-75円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中貿易協議」と「イラン情勢」について。
前者については、前述した「訪米していた中国代表団が予定を早めて帰国」とのニュースに加え、トランプ米大統領から「部分合意ではなく完全な合意を望む」とのコメントが聞かれ、中国による農産物購入に限定した合意だけでは満足しない考えが改めて示されている。やや楽観に傾き過ぎていた市場の揺り戻しがドルの上値抑制要因に。
それに対して後者は、トランプ氏が「48時間以内に制裁発表」としていた内容を公開。「過去最高の制裁」を科したと発表したが、具体的な内容は乏しいうえ、「軍事攻撃の予定はない」としたことで、最悪の状況も想定していた向きはやや拍子抜けの感も。ただ、イランは外相が「米が協議を不可能にしている」、同大統領「誰であっても我々の国境を侵すことは許さない」といった米国への批判を強める反面、トランプ氏も「国連総会に合わせて、イランのロウハニ大統領と会談するつもりはない」と発言するなど、口頭ベースではバチバチとやり合う姿が観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末は107円半ばと形成していたボックスの下限ギリギリで取引を終え越週となったが、本日アジア時間は同レベルがサポートになっての推移。つまり、相撲でいえばなんとか徳俵上で踏みとどまった感も否めない。予断は禁物だが、やはり過去2週間近く推移している107.40-108.50円といった約1円レンジのなかで次の方向性を探る展開が、いましばらく続く可能性も否定出来ないようだ。
材料的に見た場合、継続案件として「北朝鮮情勢」や「イラン・サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」など注目要因が目白押しの状況。そのいずれも要注意だが、とくにとなると「イラン・サウジ情勢」と「米貿易問題」が気掛かりだ。とくに後者は、先で取り上げように米中で再び不穏な空気が台頭しているだけでなく、合意間近とされる日米についても産経新聞が「政府、自動車の高関税発動なら協定破棄の意向を米側に示す意向」、朝日新聞も「自動車関税は交渉継続、部品を含めて自動車分野では早期に関税が引き下げられない可能性」−−などと報じるなど、一筋縄ではいかない悩ましい状況を呈している。25日に予定されている日米首脳会談で果たして決着をみるのかどうか、動静をしっかりと注視したい。
テクニカルに見た場合、短期的には107.40-108.50円という1.1円ほどのボックスを形成、そのなかでの一進一退となっている。材料面を考慮すると、若干円高方向にバイアスが掛かりそうな気もするが、先週末のNYなども107円半ばでは取り敢えず下げ止まるなど、目先底堅い。ただ、107円半ばあるいは107.40円レベルを下回ると、移動平均の25日線が位置する107円前後がターゲットとなりそうだ。
一方、材料的に見た場合、8月のシカゴ連銀全米活動指数や9月の製造業PMI速報といった米経済指標が発表されるほか、ウィリアムズNY連銀総裁による講演など複数連銀関係者の発言機会が予定されている。先週末に、クラリダFRB副議長から「リスクの存在を踏まえると、FRBは毎回のFOMCでその都度、金利の道筋を決定していく」との発言が聞かれており、改めて米経済指標や要人発言に対して関心が高まりつつ感も否めないだけに、その内容には要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.20-108.10円。ドル高・円安方向は、107.80円レベルに弱い抵抗が位置しており、超えれば108円前後、そして直近のドル高値108.48円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末にも下げ止まった107円半ばの攻防にまずは注視。ただ、割り込んでも直近安値107.44円や一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する107.20円レベルなど下方向にはテクニカルポイントが連続している。かなり底堅そうなイメージ。(了)
オーダー/ポジション状況
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