トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、上がったところでは売りが出る流れを考え「18.50レベルをサポートに、19.20レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が18.23レベル、高値が19.12レベルと予想よりも下値方向を拡げる展開となりました。
先週のトルコリラは、前週までの流れを受けて週初から上値の重たい流れで始まりましたが、そうした中で19日にトルコ内務省がクルド系住民の多い主要都市の3市長を解任し、また治安維持強化のため400人超を拘束というニュースが流れました。これは、反政府テロ組織に関わっていた容疑によるものですが、市場参加者の反応としてはエルドアン大統領による政治的な圧力を疑ってトルコリラ売りで反応しました。
その後は、週末まで安値圏で落ち着いていましたが、金曜NY市場で中国による報復関税の発表があり、トランプ大統領がそれに対する報復措置を発表するとの発言をしたことで、18.23レベルの安値をつけ安値引けでの週末クローズでした。しかし、トランプ大統領がこれまでの第3段までに加え、12月に延期されていた第4弾まで含め一律5%の追加関税を報復として発表したことから、週明けはリスクオフの円買いが強まり、ドル円は104円台に入り込みました。
当然のようにクロス円も軒並み円買いの動きとなりましたが、流動性の低いトルコリラは1月のフラッシュクラッシュの時のようにドルトルコリラが先週末高値5.79レベルから一気に6.30レベルへと9%近い急騰を見せ、多くのトルコリラ円がストップに引っかかったり、強制決済の憂き目にあったりしたと考えられます。
トルコリラ円は早朝相場で一時17.26レベルと先週安値から1円近い急落を見せていますが、流動性が低い状況下にインターバンク勢がレートを考えずにカバーしたことで、ストップ狩りのような状況になってしまったと考えられます。そしてストップ一巡後は、18.19レベルとほぼ急落前の水準にまで戻し、月曜昼現在では参加者激減で動きが鈍っているという状態です。
トルコリラに限ったことではありませんが、新興国通貨はいったん何かあると急激に流動性が低下するために値が飛びがちですが、ほとんどの場合、新興国通貨売りの方向でそうした事象が発生しています。今回は12日のアルゼンチンペソ急落以降、新興国通貨全般に下げるリスクが高まっていましたが、週明けの薄い中でミニクラッシュが発生してしまったと言えます。
さて、今朝の急落でトルコリラ買いポジションがかなり減ったと考えられますが、市場が落ち着いてくると本邦個人投資家はすぐにまた買いで動きます。日本の金利を考えると仕方がないとも言えますが、米中貿易摩擦激化による年後半の世界的な景気後退リスクが高まってきていることは言うまでもありません。そうなると、どうしてもリスクオフの方向に反応しやすくなりますので、今後も常に円買いの動きには注意が必要でしょう。
トルコとしての材料は、クルド系市長解任や拘束の動きが、いったん収まるのかどうかが気になります。今後も続くようであれば、いまはいったん落ち着いている米国との関係にも影響してくる可能性があります。また今週はトルコの経済指標として貿易収支の発表がありますが、予想はほぼ前月同様となっていて、よほどズレた数字が出ない限りは大きな材料とはならないと思われます。
次にチャートですが、今朝の下げで年初来安値を再び割り込んでいますので、週足チャートをご覧ください。
トルコリラ円週足
今朝の水準は2018年9月以来の安値で、ここから下のターゲットは2018年安値15.48とその後の戻し高値22.04からの押しを考えることとなります。既に61.8%押しは達成していますので、次は78.6%(61.8%の平方根)押しである16.89となります。中期的には17円割れも想定しておく必要がありそうです。
トルコリラ円4時間足
16.89はメインチャート下限に赤の水平線で示してありますが、短期的にはまだ距離がある感じです。また今朝のストップが一巡したことで今朝の安値は今週に関しては安値となってくると考えられます。いっぽう上値に関しては、これまでの下降チャンネルを下抜けたことで戻りは弱く、先週後半のもみあい水準では売りが出やすいと言えるでしょう。
そうしたことを考えると、下値不安は残るもののいったんもみあい、ただしレンジはやや広めに想定し、17.30レベルをサポートに、18.30レベルをレジスタンスとする週を見ておくことにします。
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