フラッシュクラッシュ後に急反発するも戻りは鈍い。クルド系を巡る政情不安が重石に
今週のレビュー(8/26−8/30)
今週のトルコリラ・円相場は、週明け早々にフラッシュクラッシュ(流動性が極端に薄い中での急落)が発生し、一時16円台半ばへ暴落する場面が見られましたが、すぐに買い戻しが強まると、その後は終始一貫して18円台での横ばい推移が継続しました。トルコ国内における政情不安を背景としたリスク回避的な「リラ売り圧力」(トルコ内務省は8/19、トルコ東部3都市のクルド系市長の職務を一時停止。イスタンブール市長も解任に追い込まれるとの観測が高まりつつある)と、米中対立緩和期待を背景としたリスク選好的な「リラ買い圧力」に挟まれ身動きが取りづらく、結局18.220円近辺での越週となっております。尚、エルドアン大統領は8/27、プーチン露大統領と会談し、ロシア製兵器の購入や共同生産などにおける合意が報じられましたが、相場への反応は限定的となりました。
来週の見通し(9/2−9/6)
スワップ金利の受け取りを目的に7月後半以降、トルコリラ・円相場は異常な底堅さを見せておりましたが、5/9に付けた17.539円をボトムに始まった中期上昇トレンドの終焉を経て、売り遅れた投資家による「ロスカット」が週明け早々のフラッシュクラッシュを引き起こしました。トレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを15営業日連続で下回っている他、強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転も継続するなど、テクニカル的に見て、「下落トレンド」の継続が意識されます。
ファンダメンルズ的に見ても、@ロシア製ミサイルS400を巡る対米及びNATO同盟国との関係悪化懸念や、A外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ経済を巡る先行き不透明感の高まり、Cエルドアン大統領による中銀への介入懸念(=トルコ中銀の独立性を巡る疑念)、Dトルコ中銀による大幅利下げ観測(次回政策決定会合は9/12)、Eキプロスを巡るEUとの関係悪化懸念、Fエルドアン大統領の求心力低下、Gクルド系民族を巡る政情不安など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ・円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。米中貿易摩擦を巡っては、足元楽観的な見方が広がりつつあるものの、交渉決裂となれば、「リスク回避ムードの高まり→新興国ショック→高金利通貨ロングのアンワインド」の再開も警戒されます。9/2のトルコ・第2四半期GDPや、9/3のトルコ・8月消費者物価指数、トルコ・8月生産者物価指数、米中を巡るヘッドライン、市場のリスクセンチメントを睨みつつも、来週はトルコリラ・円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。(来週の予想レンジ TRYJPY 17.80ー18.50)
トルコ円日足
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今週も流れとしてはトルコリラ円は戻り売り出やすい地合いとなりそうです。
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トルコリラ円レポート月曜版(2019年8月26日)
どうしてもリスクオフの方向に反応しやすくなりますので、今後も常に円買いの動きには注意が必要でしょう。
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