約3年2ヶ月ぶり安値圏から急反発。米中対立緩和期待に南アランドは底堅い動き
今週のレビュー(8/26−8/30)
今週の南アフリカランド・円相場は、@米中貿易摩擦の激化(米中報復関税の応酬)を背景に、週明け早々に、約3年2カ月ぶり安値となる6.781円まで急落しました。しかし、急激に下げ過ぎた反動からショートカバーが優勢となると、A南ア・7月生産者物価指数(結果▲0.2%、予想0.1%)の伸び率鈍化(=インフレの落ち着きを好感)や、Bトランプ米大統領による「これまでと異なるレベルで米中通商協議を再開する」との発言、C上記Bを受けた「米中対立緩和期待→リスク選好の南アランド買い・円売り」の流れが支援材料となり、週末にかけては、約1週間ぶり高値となる7.011円まで急伸し、7.004円で越週しました。
来週の見通し(9/2−9/6)
南アフリカランド・円相場は、急落後に急反発するなど、週を通して「往って来い」の展開となりました。週末にかけては、一目均衡表転換線(6.918円)を突破した他、トレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンド(6.969円)も26営業日ぶりに上抜けしました。テクニカル的に見て、「下落→中立」へのトレンド転換が意識されます。
とはいえ、@南アフリカにおける景気後退リスクの高まりや、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B南アフリカ中銀(SARB)による追加利下げ観測(次回会合は9/19)、C米中対立激化を通じた南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念、D大手格付け機関の中で唯一投資適格級を付与しているムーディーズによる潜在的な格下げリスクなど、ファンダメンタルズ面での不安要素は山積みです。
上記Cについては、中国商務省による「米中両国はこれまで協議していた9月の交渉について話し合っている」との発言や、トランプ米大統領による「米中対立解消に向けて、両国の通商交渉団が本日より協議を行う予定」との発言を受けて、ひとまず米中対立緩和期待→南アランド買いの流れに繋がりましたが、米中交渉が決裂する可能性は少なくなく、まだまだ油断は禁物と言えるでしょう。
上記Dについても、国営電力会社エスコムに対する政府支援策の発表を契機に、「南アフリカ財政の悪化懸念→南アフリカ国債の格下げ→グローバル債券指数構成国からの除外→非居住者による証券投資の逆流→経常赤字の拡大→南アフリカランド売り」への連想が強まりつつあります。ムーディーズによる定例格付け見直しは11/1に行われる見通しであり、時期が近づくに連れて、南アランド売り圧力が強まると考えられます。
以上の通り、南アフリカランドは、テクニカル的に「持ち直し」の兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ面での不安要素を考慮すれば、リスクは依然「下向き」と考えられます。9/3に発表される南ア・第2四半期GDPや、9/5の南ア・第2四半期経常収支が冴えない結果となったり、米中交渉の決裂が報じられれば、リスク回避的な「南アフリカランド売り」が再開する恐れも出てきそうです。米中を巡るヘッドラインや、南アフリカ経済指標の結果を睨みながらも、来週は一巡後の反落リスクに警戒が必要でしょう。(来週の予想レンジ ZARJPY 6.700ー7.300)
南アフリカランド円日足
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