ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、一段のランド安を考え「7.70レベルをレジスタンスに、7.45レベルをサポートとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.19レベル、高値が7.70レベルと一段どころか、最近のランド円としては大幅安と言ってよい動きを見せました。
先週のランドは7月末までは前週のレンジの中で上値は重たいものの、レンジ内でのもみあいを続けていました。しかし、先週は米国発の2つのニュースがランド円にとってどちらも悪材料となりました。
ひとつはFOMCですが、こちらの詳細はドル円の週報をご覧いただくとして、利下げはあったものの声明の内容が思ったよりもタカ派であった点です。これをきっかけにしてドルが全面高の動きとなりましたが、ドルランドも例外ではありませんでした。FOMC前に14.20水準だったドルランドは直後に14.40まで上昇、翌日には更に14.60まで上昇を続けました。
そして、もうひとつはトランプ大統領による対中制裁関税第4弾を9月1日から発動するという発言です。南アにとって中国は輸出入とも第1位の最大貿易国ですから、中国の通商問題は南アにとっても大問題です。ドルランドはこれをきっかけに更に14.795まで上昇し、高値引けとなりました。そして、この米中貿易摩擦は当然のようにリスクオフ材料となり、ドル円は大きく円高となったことはご存知の通りです。
FOMC直後に109円台だったドル円は、週明けには105円台に突入し、ドルランドもここまで14.888の高値をつけています。
こうなると、すべての動きがランド円にとって逆風となっています。
そして、もうひとつ気になるのは一時減少していたランド円のポジションが、先週のランド円下げの中、急速に買いが増えたことです。かなり大雑把かもしれませんが、7月1日時点のランド円の買いポジションを100とすると7月24日前後には76くらいまで減っていたところ、先週の下げの中で改めて買い戻されて104くらいになっていました。
今年最も買いポジションが増えた時点では7月1日比で124くらいでしたので、まだ余裕があると見るか、思いのほか下げ局面でナンピン買いが入ったと見るか、個人的には後者のイメージです。本邦個人投資家は虐張りナンピンの傾向があるとはいえ、今回のランド安局面での買いポジション大幅増は気になります。
南アフリカは電力会社エスコムの債務問題が常につきまといますが、ムーディーズがもし格付け引き下げということにでもなれば大量の資金流出につながりますし、米中貿易摩擦の行方もひょっとしたら合意という可能性もあるのですが、結果を見るまでは安易に楽観的な見方をすることは出来ません。引き続き国内材料、米中問題がランドにとっての悪材料であり続けることは何ら変わりがありませんし、米中問題が南アの国内経済に打撃を与えることにでもなれば、財政問題だけでなく経済情勢も格付け引き下げの材料とされる可能性も否定できません。
テクニカルにも現在のランド円はかなり危ない水準にあります。まず、週足チャートをご覧ください。
ランド円週足
2018年高値からのレジスタンスと同じく安値からのサポートをピンクのラインで示してありますが、週明けのドル円105円台入りがきっかけとなって、サポートラインを下抜けトライ中となっていることがわかります。こうなると最安値6.42と2018年高値9.29との78.6%(61.8%の平方根)押しとなる7.04、そして7円の大台をまず視野に入れ、その後は長期的な可能性にしか過ぎないものの100%押しとなる6.42も視野に入れる可能性を考えなくてはならないでしょう。
いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。
それまでの動きに比べて、どの通貨ペアもFOMC以降動きが大きくなってきていることがわかりますが、まだトレンドが出てから数日しか経過していないため、短期的にもランド安と円高のトレンドは継続しやすいと考えざるを得ません。今週ももう一段の下値トライがあると見て、大台7.00をサポートに、7.40をレジスタンスとする週を見ておくこととします。
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