今週のレビュー(8/5−8/9)
今週の南アフリカランド(対円相場)は、週初7.207円で寄り付いた後、直後に高値となる7.235円まで上昇しました。しかし、@米中貿易摩擦の激化を背景にリスク回避的な「ランド売り・円買い」が活発化すると、A人民元相場が約11年ぶりに心理的節目7.00突破したこと(→グローバルな通貨安戦争への警戒)や、BNZ中銀が50bpのサプライズ利下げに踏み切ったこと(→グローバルな利下げドミノを連想)、C南ア7月SACCI景況感指数(結果92.0、予想93.0)が市場予想を下回ったこと、D南ア6月製造業生産高(結果▲1.5%、予想0.4%)が冴えない結果となったこと等が重石となり、週末にかけては、2016年7月以来、約3年1ヵ月ぶり安値となる6.889円まで下げ幅を広げました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局、6.923円近辺での越週となっております。
来週の見通し(8/12−8/16)
南アフリカランド(対円相場)は、本年6月に記録した直近安値7.148円を下抜けると下げ足を速め、心理的節目「7円丁度」の大台割れを実現しました。強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」や、強い下落トレンド入りを示唆する「バンドウォークの発生」など、テクニカル的に見て、「下落リスク」が強く意識される状況です。RSIなどオシレータ系指標に一部過熱感(売られ過ぎ感)が見られるものの、トレンドが明確に出ている状況下、安易な逆張りは危険と考えられます。ランド安・円高トレンドは不変と見られ、次のターゲット(下値)としては、2016年6月に記録した安値6.407円が視野に入ります。
ファンダメンタルズ的にみても、@南アフリカにおける景気後退リスク(リセッション入り)の高まりや、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B南アフリカ中銀(SARB)による追加利下げ観測、C米中対立激化を通じた南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念、D大手格付け機関の中で唯一投資適格級を付与しているムーディーズによる格下げリスクの高まり等、ネガティブ材料は山積みです。特に上記Cについては、米財務省が中国を制裁対象とする「為替操作国」へ認定したことで、南アフリカ経済への負の連鎖が一段と警戒されるようになってきました。また、Dについても、「南アフリカ国債の格下げ→グローバル債券指数構成国からの除外→同国債券市場からの資本流出加速→南アフリカランド売り」への波及が連想されることから予断を許さない状況が続いております。
以上の通り、南アフリカランドは、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒されます。米中貿易摩擦が解消に向かわない限り、対中依存度の高い南アフリカランドには下落圧力が加わり続けると予想されます。米中に絡むヘッドラインや、8/14に予定されている南ア6月小売売上高を睨みつつも、南アフリカランドの続落をメインシナリオとして予想いたします。(来週の予想レンジ ZARJPY 6.500ー7.100)
ZAR円日足
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