今週のレビュー(8/5−8/9)
今週のトルコリラ・円(TRYJPY)相場は、@米中貿易摩擦の激化を背景に、週明け早々に安値となる18.825円(週間安値)まで下げ幅を広げましたが、90日移動平均線(18.827円)をバックに下げ渋ると、A金利差(スワップポイント)に着目した個人投資家による根強い「リラ買い」や、Bロシア製ミサイルS400を巡る制裁措置が未だ発動されていないことに伴う安堵感が下支えとなり、週後半にかけて19.505円(週間高値)まで上値を伸ばしました。もっとも、週末にかけて、ドル円が下げ足を速める局面では、トルコリラ・円も連れ安となり、結局19.242円まで押し戻されての越週となっております。尚、トルコ7月消費者物価指数(結果16.65%、予想16.90%)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(8/12−8/16)
トルコリラの対円相場は、週明け早々にボリンジャー・ミッドバンドの下抜けに成功するも、90日移動平均線や、一目均衡表雲上限をバックに押し目買いが強まると、週半ば以降、反発に転じました。週後半にかけては、ボリンジャー・ミッドバンドを再び上抜けした他、一目均衡表基準線も突破。テクニカル的にみて、「下値の堅さ」が確認された格好です。
とはいえ、@ロシア製ミサイルS400を巡る対米及びNATO同盟国との関係悪化懸念や、A外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ経済を巡る先行き不透明感の高まり、Cエルドアン大統領による中銀への介入懸念(中銀の独立性への疑念)、Dトルコ中銀による連続・大幅利下げ観測、Eキプロスを巡るEUとの関係悪化懸念、Fエルドアン大統領の求心力低下など、ファンダメンタルズ面でのネガティブ要素を考慮すれば、上値余地は限られそうです。
以上の通り、トルコリラは、テクニカル的に見て「底堅さ」が意識されるも、ファンダメンタルズ的には「下落リスク」が警戒されます。翌日物金利が高止まっている為、本邦個人投資家を中心としたスワップポイント目的のトルコリラ買いが継続しておりますが、米中貿易摩擦を背景にリスク回避的なムードが極度に高まる場面や、トルコ中銀による大幅利下げ観測が強まる場面では、高金利通貨ロングの投げ(アンワインド)が強まり、トルコリラに強烈な下落圧力を加える恐れも警戒されます。特に来週は、8/11ー8/14までが犠牲祭で休場となるため(※8/15、8/16も法定休日となる可能性あり)、トルコリラ市場は流動性が極端に薄くなり、プライスが飛び易くなる危険性も出てくることから注意が必要です。市場のリスクセンチメントを注視しつつも、来週はトルコリラ・円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。(来週の予想レンジ TRYJPY 18.85ー19.65)
トルコ円日足
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