ユーロ週報 ユーロはもみあいも、ユーロ円は一段の下げ(8月第1週)

ユーロドルはほぼFOMC前の水準へと戻し、ユーロ円は117円台後半と、年初来安値を更新中です。

ユーロ週報 ユーロはもみあいも、ユーロ円は一段の下げ(8月第1週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、FOMC前は狭いレンジではあったものの緩やかに上昇していましたが、FOMC声明が緩和の始まりでは無く、成長維持のための調整と市場参加者の市場判断に比べるとかなりタカ派な印象であったため、ドル買いの動きがユーロ売りを招き、一時1.1027レベルの年初来安値更新となりました。

しかし、1.10の大台をトライするかと思ったところでトランプ大統領による対中制裁関税発動の発言により、ドル売り・円買いの動きがユーロドルとしてはユーロ買い。ユーロ円としてはユーロ売りとなり、双方の売買の結果、ユーロドルはほぼFOMC前の水準へと戻し、ユーロ円は117円台後半と、年初来安値を更新中です。

今週のユーロはあまり目立った材料がありませんが、対EU協議において牛肉分野はとりあえず合意、その他の自動車等の分野は協議継続となっています。今週はEU最大の輸出国であるドイツの貿易収支が発表されますので、数字次第ではまたトランプ大統領が何か口を挟んでくる可能性はあるでしょう。

そして、英国ではジョンソン新首相が相変わらずの強硬離脱の面を見せていますが、議会ではメイ前首相の時に合意無き離脱は回避するという採決をしていたはずです。議会の合意を無視してまで首相がハードブレグジットを決断することは、不信任につながりますし、現状では与党側にもジョンソン首相の不信認に賛成すると思われる議員もいますので、万が一にも不信任となると、総選挙の可能性も否定できません。

EU側はメイ首相の時に出された離脱案に対して変更はしないと繰り返していますので、まだ10月末までは日があるというものの、英国の離脱に関連するニュースがポンドを振れさせて、ユーロにも波及するという流れは想定しておいたほうが良いでしょう。基本的にはポンド売りの材料が出やすいと考えるべきですが、ひょっとして総選挙ということになると、国民投票のやり直しという展開もあながち否定できず、その場合には離脱なしでポンド買いという展開も考えられます。欧州通貨全体を揺るがす中期的な材料として要注意です。

それ以外には、ユーロ単体としては材料が少ないのですが、ここに来てユーロ円の年初来安値更新の動きも加わっていますので、ユーロドルという組み合わせでは中立なスタンスが良いように思えます。テクニカルな観点からユーロドルの日足チャートを見てみましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロドル日足

ピンクのラインは先週示した週足チャートにおける下降ウェッジ(ピンク)ですが、先週の安値はこのラインを下ヒゲで抜いたものの、その後のドル売りの動きから反発してウェッジの中に戻しています。また6月高値からの下降チャンネルでも先週の安値は下ヒゲで抜いた後に戻しているため、今週はこれらのラインはそのまま生かしておきます。

つまり、サポート側の水準としては、改めてピンクのラインを試し、ユーロ売りが強まる場合には明確にこのラインを下抜けし、改めて年初来安を試すこととなりますが、今週というよりは今後数週間という時間で考えるべきかと思います。次に上値ですが、これは6月高値と7月中旬の高値を結んだラインが依然として有効ですから、着実に下降していくものの同水準をレジスタンスと考えることとなります。

結論として、今週のユーロドルは、1.1050レベルをサポートに1.1180レベルをレジスタンスと、先週と同じレンジの週を見ておくこととします。

今週のコラム

先週の金曜にユーロ円が年初来安値を更新したため「テクニカルに大きくは115円を目指す流れになってきた」ことを週足チャートから見ました。

今週のコラムでは改めて日足チャートでユーロ円の現在の立ち位置を見てみましょう。

今週のコラム

ユーロ円日足

ユーロ円は、テクニカルには5月後半以降のトライアングル(三角もちあい、赤のライン)を7月中旬に下抜け、その後の戻し高値もサポートがレジスタンスとなっている綺麗なチャートパターンです。このパターンではコンティニュエイション(継続)を考えますので、4月の戻し高値を起点とした逆N波動(ピンク)からエクスパンションのターゲット(青)を求めます。

その中の100%エクスパンション117.31が目先のターゲットとなり、127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが115.67と、先週の週足チャートで示した2016年安値109.59から2018年高値137.50までの上げに対して78.6%(61.8%の平方根)押しとなる115.56とほぼ一致していることがわかります。
中長期的に115円台を目指す流れが確定したように思えます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

8月5日(月)
16:50 フランス7月サービス業PMI改定値
16:55 ドイツ7月サービス業PMI改定値
17:00 ユーロ圏7月サービス業PMI改定値
17:30 英国7月サービス業PMI

8月6日(火)
08:01 英国7月小売売上高
15:00 ドイツ6月製造業新規受注

8月7日(水)
15:00 ドイツ6月鉱工業生産
15:45 フランス6月貿易収支

8月8日(木)
 (特になし)

8月9日(金)
15:00 ドイツ6月貿易収支
15:45 フランス6月鉱工業生産
17:30 英国4〜6月期GDP速報値
17:30 英国6月鉱工業生産
17:30 英国6月貿易収支

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月29日(月)
ユーロドルは、東京市場ではドル円同様にドル売り後の買い戻し(ユーロ買い後の売り)となっていましたが、欧州市場に入り英国閣僚からEUが譲歩しない場合は合意無き離脱もやむを得ないとの発言が続き、ポンド売りがユーロの売りへと波及しました。しかし、NY市場ではユーロ円の買いがユーロドルを買い戻す動きとなり、ユーロドルは1.1151レベルへと上昇後、そのまま高値圏での引けとなりました。


7月30日(火)
ユーロドルは、東京市場ではドル円に加えユーロ円でも売りが目立ったことから上値の重たい展開となっていましたが、海外市場に移ってからは逆に底堅い動きとなり、先週後半からの安値を切り上げる動きを続けました。ただ、じり高とは言っても終日のレンジは30pipsに留まり、欧州通貨の注目はポンドに向かっている印象でした。ポンドは合意無き離脱の可能性が高まっていることから1.2119レベルと2017年3月以来の安値をつけました。

7月31日(水)
主要通貨ペアはFOMCを控えて動意薄の無い展開が続きました。FOMCの結果は全体としては市場予想よりタカ派な印象を与えた声明となっていたことから為替市場はドル買いで反応、特にユーロドルはNY市場に入り実需のユーロ売りが出て上値の重たかった状況があったことから、一気に1.10台半ばへと年初来安値を切り下げ、そのままユーロ安の地合いのまま引けました。


8月1日(木)
ユーロドルはドル円同様にドル買い・ユーロ売りが先行、その後も上値の重たい流れが続き欧州市場の昼頃には1.1027レベルの安値をつけました。NY市場ではドル売りの動きも入り、ユーロドルは底堅さも出て、後場のトランプ大統領による対中関税発動発言によるドル急落局面ではユーロドルも上昇しました。しかし、ユーロ円が1月3日以来の118円台に入り込んだこともあって、上げ幅も限定的なものとなりました。

8月2日(金)
ユーロドルは、ドル円でのドル売りの動きに沿ってじり高の単回が続きました。NY後場に対EUの通商協議についての発表があるとのニュースも積極的なユーロの取引を手控えさせることとなりました。対EUに関しては米国産牛肉購入の合意が発表された一方で、自動車関税は検討対象から外さないと述べ、好材料悪材料双方のニュース敏江捉えられ、結局は目立った動きには繋がりませんでした。ユーロ円の売りが前日に続いて目立ったこともあって、ユーロドルとしての上げ幅は前日同様限定的なものとなりました。

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