米中対立激化でランドは急反落。エスコム問題やくすぶる格下げリスクもランドの重石に
今週のレビュー(7/29−8/2)
今週の南アフリカランド・円(ZARJPY)相場は、週初7.603円で寄り付いた後、@米中通商協議の再開を好感したリスク選好的なムードや、A国営電力会社エスコムの2018年度の損失額が市場予想より小さな207億ランドに留まった事に伴う安堵感を背景に、7/31には、一時7.703円まで上昇しました。しかし、ボリンジャー・ミッドバンド付近で続伸を阻まれると、その後は、Bタカ派的な米FOMCを受けた「ドル買い・南アフリカランド売り」の流れや、Cトランプ米大統領による「残りの3000億ドル相当の中国製品に対しても9/1より10%の追加関税を発動する」との報道を受けたリスク回避ムードの高まりが重石となり、週後半にかけては、6/14以来、約1ヵ月半ぶり安値となる7.204円まで急落しました。対ドルでも同様に、一時14.793ドルまで南アフリカランド安が進行するなど、6/18以来となる安値圏へ値を落としております。
来週の見通し(8/5−8/9)
今週の南アフリカランド・円相場は、週後半にかけて急落し、一目均衡表「雲上限」「雲下限」を一気に下抜けした他、強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」や、ボリンジャーバンド下限でのバンドウォークも発生しました。テクニカル的に見て「下落リスク」が強く警戒されます。RSIなどオシレータ系インジケータにやや「売られ過ぎ感」が見られるものの、トレンドが明確に出ている状況下、安易な逆張りは危険と判断できます。
ファンダメンタルズ的にみても、@南アフリカにおける景気後退リスク(リセッション入り)の高まりや、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B南アフリカ中銀(SARB)による追加利下げ観測、C米中貿易摩擦の再燃を背景に南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念、D大手格付け機関の中で唯一投資適格級を付与しているムーディーズによる格下げリスクの高まりなど、ネガティブ材料は山積みです。特に上記Dについては、「南アフリカ国債格下げ→グローバル債券指数構成国からの除外→同国債券市場からの資本流出加速→南アフリカランド売り」の波及経路が意識されることから、南アフリカランドのダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。
以上の通り、南アフリカランドは、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒されます。トランプ米大統領の突然の対中関税発動を受けて市場ではリスク回避ムードが俄かに再燃しており、南アフリカランドには来週も下落圧力が加わり易い地合いが続くと考えられます。8/7に予定されている南ア7月SACCI景況感指数や、8/8の南ア6月製造業生産高の結果を睨みながらも、南アフリカランドの続落をメインシナリオとして予想いたします。(来週の予想レンジ ZARJPY 7.000ー7.500)
南アランド円
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ランド円ショートコメント(2019年7月29日)
南アフリカを投資適格級に据え置いているムーディーズが今後ジャンクにするようなことがあれば、大規模な資金流出が南アフリカから起きることになります。
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