スワップポイント狙いのトルコリラ買いvsファンダメンタルズに即したトルコリラ売り
今週のレビュー(7/29−8/2)
今週のトルコリラ・円(TRYJPY)相場は、週初19.178円で寄り付いた後、ロシア製ミサイルS400を巡る米国からの制裁が緩和されるのではないかとの期待感や、Aアルバイラク・トルコ財務相による「9月には新たな経済プログラムを公表する」との発言、B金利差(スワップポイント)に着目した個人投資家による根強いトルコリラ買いが支援材料となり、週央にかけて、約3ヶ月半ぶり高値となる19.696円まで上昇しました。しかし、Cトランプ米大統領による「残りの3000億ドル相当の中国製品に対しても9/1より10%の追加関税を発動する」との報道を契機にリスク回避ムードが高まると一変、週末にかけて、トルコリラ・円は約1週間ぶり安値となる19.037円まで反落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、19.172円付近での越週となっております。尚、対ドルでは概ね横ばい推移が継続するなど、今般のトルコリラ・円の下落はあくまでドル円の下落に連れた側面が大きかったと整理できます。
来週の見通し(8/5−8/9)
トルコリラを巡っては、@ロシア製ミサイルS400を巡る対米及びNATO同盟国との関係悪化懸念、A外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ経済を巡る先行き不透明感、Cエルドアン大統領による中銀への介入懸念(中銀の独立性への疑念)、Dキプロスを巡るEUとの関係悪化懸念、Eエルドアン大統領の求心力低下など、潜在的に強まるトルコリラ売り圧力を、政府・当局による為替介入や資本規制で下支えする構図が続いております。もっとも、こうしたリラ安防衛策は短期的な効果はあれど、長期的な抑止力には繋がりづらく、一巡後は却って「リラ安圧力」を高める副作用がある点には注意が必要でしょう。
トルコリラ・円相場は、週末にかけて急落し、一目均衡表転換線や一目均衡表基準線を下抜けしました。しかし、トレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドが死守された他、ダウンサイドには一目均衡表「雲上限」「雲下限」も控えており、テクニカル的に見て「下値は堅い」と判断できます。とはいえ、ファンダメンタルズ的な弱さを考慮すれば、上値余地は乏しいでしょう。足元では翌日物金利が(リラ安防衛を目的に)意図的に下げられていないことから、本邦個人投資家を中心としたスワップポイント目的のトルコリラ買いが継続しておりますが、米中貿易摩擦再燃でリスク許容度が低下すれば、高金利通貨ロングの投げ(巻き戻し)が活発化する恐れも警戒されます。来週のトルコリラ・円相場は、市場のリスクセンチメントを注視しつつも、下値余地を探る展開となりそうです。(来週の予想レンジ TRYJPY 18.70ー19.50)
トルコリラ円 日足
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:山中 康司
2019.08.05
トルコリラ円ショートコメント(2019年8月5日)
金曜のトランプ大統領による対中制裁関税発動発言で大きく円高となり、週を通してみると完全に行って来いです。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:山中 康司
2019.07.29
トルコリラ円レポート月曜版(2019年7月29日)
トルコリラは前トルコ中銀総裁が更迭され、エルドアン大統領の息がかかっているであろう新中銀総裁がどの程度の利下げを行うのかが注目されました
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。