来週の為替相場見通し 『米利下げ期待と米中対立激化がドル円の重石に。105円台も射程圏内』(8/3朝)

ドル円はタカ派な米FOMCを受けても尚109円台を維持できなかったことで、週後半にかけてついに急落しました。

来週の為替相場見通し 『米利下げ期待と米中対立激化がドル円の重石に。105円台も射程圏内』(8/3朝)

今週のレビュー(7/29−8/2)

今週のドル円相場は、週初108.69で寄り付いたあと、日銀金融政策決定会合でのフォワードガイダンスの変更見送りや(=日銀の緩和カードの乏しさが浮き彫りとなったことで失望的な円買いに波及)、トランプ米大統領による「中国は米国産農産物を購入する予兆なし」との批判ツイートを材料に、週前半は108円台半ばで上値の重い展開が継続しました。

注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)では、予想通りFF金利の25bpの利下げ(結果2.00%ー2.25%、前回2.25ー2.50%)や、8/1付けでのバランスシート縮小の終了(従来から2ヶ月前倒し)が決定されましたが、一部で50bpの利下げを織り込む動きが根強かったことや、利下げ決定が8対2(カンザスシティー連銀ジョージ総裁と、ボストン連銀ローゼングレン総裁が据え置きを主張)で票割れしたこと、追加利下げを示唆する強いメッセージが見られなかった事などが「タカ派的」と受け止められ、為替市場では直後より「ドル買い」圧力が強まりました。その後も、パウエルFRB議長による「利下げは下方リスクに対する保険として実施」「米経済の見通しは依然として良好」「今般の利下げ決定は利下げサイクルの開始とは異なる(It’s not the beginning of a long series of rate cuts)」等の発言が支援材料となり、ドル円は週後半にかけて、約2ヶ月ぶり高値となる109.32まで急伸しました。

もっとも、90日移動平均線をバックに戻り売りが強まると、その後は、@米7月ISM製造業景況指数(結果51.2、予想52.0)が約3年ぶり低水準を記録したことや、A米6月建設支出(結果▲1.3%、予想0.3%)が2ヶ月連続でマイナスを記録したこと、B根強い米利下げ観測を背景に米10年債利回りが急低下したこと、Cトランプ米大統領が、残りの3000億ドル相当の中国製品に対して9/1より10%の追加関税を発動すると発表したこと、D米中貿易摩擦の再燃を嫌気する形で米主要株価指数が急落に転じた事などが重石となり、ドル円は、週末にかけて、1/3以来、約7ヶ月ぶり安値となる106.50まで下げ幅を広げました。この間、米10年債利回りは、2.075%(7/30)→1.833%(8/2)まで瞬間的に24.2bp急低下。NYダウ平均株価も27281.65ドル(7/31)→26249.22(8/2)へと一時1000ドルを超える下げ幅を記録しました。米・連続利下げ期待を背景とした「ドル売り」と、リスク回避ムードの高まりを通じた「円買い」双方の影響でドル円が押し下げられる一週間となっております。

今週のユーロドル相場は、週初1.1126で寄り付いたあと、ドイツ7月CPI(結果0.5%、予想0.3%)や、ドイツ7月HICP(結果0.4%、予想0.3%)が市場予想を上回ったことや、対英ポンドでユーロ買いが強まったことを背景に、一時1.1163まで上昇しました。しかし、米FOMCやパウエルFRB議長記者会見を経てドル買い圧力が強まると、ECBによる根強い追加緩和観測も重なり、週後半にかけては、2017年5月以来、約2年2ヶ月ぶり安値となる1.1027まで下げ幅を広げました。もっとも、その後は、米長期金利が急低下したことや、米中貿易摩擦の再燃を経てドル売りが強まった事などが支援材料となり、週末にかけては1.1110付近まで反発しての越週となっております。

来週の見通し(8/5−8/9)

ドル円はタカ派な米FOMCを受けても尚109円台を維持できなかったことで、週後半にかけてついに急落しました。一目均衡表雲下限や、ボリンジャー・ミッドバンド、21日移動平均線、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線など主要テクニカルポイントを軒並み割り込んだ他、6/25安値106.78→7/10高値108.98→7/18安値107.20→8/1高値109.32→8/2安値106.50を結んだダブルトップの成立(添付チャート青線)、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表・三役逆転の再開など、ドル円は、テクニカル的にみて「下落リスク」が強く警戒される状況です。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、米中貿易摩擦の再燃や、イランやトルコを巡る地政学的リスクの高まり、英国での合意なき離脱リスク、世界経済の不安定化、世界的な通貨安戦争の恐れなど、ネガティブ材料は山積みです。更に、緩和カードの手札に乏しい日本と、2008年以来の利下げに踏み切った米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円には当面下落圧力が加わり易い地合いが続きそうです。来週は、米国債利回りやグローバルな株価の動向、米7月生産者物価指数など一連の米経済指標の結果や、米中貿易摩擦を巡る各種ヘッドライン(含むツイート)を睨みつつも、ドル安・円高基調の継続をメインシナリオとして予想いたします。(来週の予想レンジ:105.00ー108.00)

ユーロドル相場は、トレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを25営業日連続で下回っている他、強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転も出現するなど、テクニカル的にみて「下落リスク」が強く意識されます。強烈なドル売りを背景にユーロドルは週末にかけてやや値を戻すも、@ECBによる根強い追加緩和観測や、A米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスク、B米独関係の悪化懸念、Cユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Dイタリアの財政問題、E中東を巡る地政学的リスク、F英国のハードブレグジット懸念など、欧州を取り巻くファンダメンタルズ面での脆さを考慮すれば、ユーロドルの上値余地は限られると考えられます。来週は、欧州圏のイベントに乏しく、今週同様、米ドルの動きに振らされる展開が続きそうです。余程強いドル売り圧力が出てこない限り、1.11台前半に控える一目均衡表転換線付近では戻り売りが強まるとみられ、来週もユーロドルは下落基調を辿ると予想されます。(ユーロドルの予想レンジ:1.1000−1.1200)

今週のレビュー(7/29−8/2)

ドル円日足

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