トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、利下げがきっかけとなるトルコリラ安を考え「19.20レベルをレジスタンスに18.60レベルをサポートとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が18.64レベル、高値が19.34レベルと利下げをきっかけにトルコリラ安となったものの、その後の買い戻しもきつく、思った以上に買われての週末クローズとなりました。
先週のトルコリラは前トルコ中銀総裁が更迭され、エルドアン大統領の息がかかっているであろう新中銀総裁がどの程度の利下げを行うのかが注目されました。前総裁がそのまま継続していたとしても利下げ自体は行われるというのが今回の金融政策決定会合でしたから、新総裁がどの程度下げるのか、事前の予想としては24.0%から21.5%へと2.5%程度の利下げが行われるのではないかと考えられていました。
実際には、19.75%と4.25%もの想定以上の利下げが行われ、金利が低下したというだけでなく、中銀の独立性への懸念も加わって、トルコリラ円は大きく下げることとなりましたが、直後から買いも出て思ったよりは混乱に繋がらなかった印象です。
利下げ後の日経新聞等の記事によれば、新総裁ということで想定以上の利下げはあり得るということを織り込んでいたというコメントも見られましたが、一方で政治的な圧力が背景に動いていたという見方も強く、どちらにしてもトルコリラにとっては良い材料ではありません。しかし、今週のFOMCで米国も利下げに動くであろうことや、今回の利下げでトルコ中銀は当面様子身になるのではないかなど、どう見てもトルコ中銀あるいはトルコリラに都合よく考えているコメントのほうが多いように思えます。
こうした自信ありげなコメントがどのように出てくるのかはわかりかねますが、エルドアン大統領は利下げ後も、利下げは不可欠で年末に向けて緩やかな利下げを維持すべきと述べています。この発言からしても、次回以降も利下げ圧力を加えてくる可能性は否定できませんし、前総裁更迭の理由が3%を超える大幅利下げを拒んだからと言われていますので、冷静に考えると今回の利下げは、現時点では下げ過ぎと捉えるべきなのではないかと思います。
当面は今回の利下げの悪影響が出ないかどうかを注意深く見守る必要がありますが、状況次第では以前の通貨安再来という懸念がつきまとう利下げとなりました。
他には、エルドアン大統領死亡の噂が流れましたが否定され、トルコのロシアからのミサイル購入に関してトランプ大統領が改めて非難しないとは述べ、前者は目立った影響は無かったものの、後者は週末のトルコリラ買いの支援材料になった様子です。ただ、米国の法律ではロシアからの武器購入は制裁対象と決められているため、今後どこで蒸し返されるかわからないという点にだけは注意が必要でしょう。
今週はトルコ中銀のイベントが過ぎ、次は米国FOMCという流れですが、FOMCの結果は既に織り込み済みということもあって、今週はトルコリラ関連の材料としてはトルコの7月製造業PMI程度ですが、これも一時的に動く程度の材料と言えるでしょう。
テクニカルな観点から、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
利下げ後の急落とその後の7月高値更新の激しい動きが見て取れますが、利下げ後に一時的にサポートラインを下抜いたもののすぐに戻してきたことで、年初来安値からのサポートライン(黄緑)は依然として有効と見てよさそうです。また上側のピンクのラインは6月高値と7月上旬高値を結んだラインですが、現状ではこれら2つのラインで構成される上昇ウェッジの中での動きを考えてよさそうです。
ただ、積極的にトルコリラを買う材料が無い中での先週後半の買い戻しは、円安の動きという面もありますが、本邦個人投資家によるストップも今回は出ていなかったという面も大きいと思われます。つまり、依然として高水準のトルコリラ買いが残っている状況を考えると、ここから上の水準では売りも出てきてもおかしくはなさそうです。そうしたことも併せて考え、今週は19.00レベルをサポートに19.40レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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