トルコ中銀は大幅利下げを実施。政府介入が嫌気される中、来週はリラ売り再開に注意
今週のレビュー(7/22−7/26)
今週のトルコリラ・円(TRYJPY)相場は、週初19.061円で寄り付いた後、@チャプシオール・トルコ外務相による「米国がトルコに制裁を課せば報復するだろう」との発言や、Aロシア製ミサイルS400を巡る米土関係の悪化懸念、B7/25に開催されたトルコ中銀・金融政策決定会合での425bpのサプライズ利下げ(結果24.00%→19.75%、予想21.00%)を背景に、週後半にかけて、一時18.723円まで下げ幅を広げました。しかし、ボリンジャーバンド下限や一目均衡表基準線をバックに下げ渋ると、声明文にて、「景気・物価見通しに対する前向きな見解」が示されたことや、「追加利下げの可能性」が示唆されなかったことが支援材料となり、週末にかけては、4/18以来、約3ヶ月半ぶり高値となる19.387円まで急伸しました。もっとも、今回の大幅利下げを「エルドアン大統領の圧力に屈した」と捉える向きも根強く、一巡後は再び売り込まれる展開に。結局、19.160円付近まで押し戻されての越週となっております。
来週の見通し(7/29−8/2)
トルコリラ相場は、@ロシア製ミサイルS400を巡る対米及びNATO同盟国との関係悪化懸念、A外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ経済を巡る先行き不透明感、Cエルドアン大統領による中銀への介入懸念(=利下げ圧力)、Dキプロスを巡るEUとの関係悪化懸念、Eエルドアン大統領の求心力低下など、潜在的に強まるトルコリラ売り圧力を、政府・当局による為替介入や資本規制で下支えする構図が続いております。もっとも、こうしたリラ安防衛策は短期的な効果はあれど、長期的な抑止力には繋がりづらく、一巡後は却って「リラ安圧力」を高める副作用がある点には注意が必要でしょう。
トルコリラは乱高下しつつも、方向感を見出しづらい時間帯が続いております(ボリンジャーバンド下限・上限双方に接触する動き)。一目均衡表転換線や、ボリンジャー・ミッドバンドより上での越週となったことから、テクニカル的に見れば、やや上昇リスクに警戒が必要と言えるでしょう。とはいえ、ファンダメンタルズ的な弱さを考慮すれば、ここからどんどん上値を追っていく展開も想定し辛く、上値余地は乏しそうです。今般の会合では、声明文に「追加利下げ」を示唆する文言が盛り込まれなかったことを材料に反発に転じましたが、@対外金利差縮小に伴うトルコリラ売り圧力や、A政府による中銀介入を嫌気したトルコリラ売り圧力は根強く、一巡後は再び下落に転じる可能性が高いと考えられます。事実、週末のトルコリラ・円はやや長めの上髭を残す形で上げ幅を縮小しました。
以上の通り、来週のトルコリラ・円相場は、テクニカル的にみて上昇リスクが意識されるものの、ファンダメンタルズ的な不安要素を考慮すれば、上値余地は乏しいと判断できます。S400を巡るヘッドラインや、エルドアン大統領の発言に注視しつつも、やや反落リスクに警戒が必要でしょう。(来週の予想レンジ TRYJPY 18.70ー19.40)
トルコ円日足
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