ムーディーズによる格下げリスク再燃で南アランドは急反落。来週は続落リスクに要警戒
今週のレビュー(7/22−7/26)
今週の南アフリカランド・円(ZARJPY)相場は、週初7.726円で寄り付いた後、翌7/23に、5/1以来、約3ヶ月ぶり高値となる7.809円まで上昇しました。しかし、@ムボウェニ南アフリカ財務相による「国営電力会社エスコムは現時点で財政上、維持できない状態」「財政構造において最大のリスク」「南アフリカの対GDP比債務は受け入れられない水準」との発言や、A格付け会社ムーディーズによる「南アフリカ政府による国営電力会社エスコムへの支援策(590億ZAR)は格付けにとってネガティブ」との見解が重石となると、週末にかけて、6/28以来、約1ヶ月ぶり安値となる7.593円まで急落しました。特に後者の影響は極めて大きく、ムーディーズが格下げに転じると、3大格付け会社全てでジャンク級となるため(フィッチやS&Pは既に南アフリカの格付けを投機的等級に引き下げ済み)、同国への資金流入が一段と細る恐れが警戒されます。
来週の見通し(7/29−8/2)
先週の南アフリカランド・円相場は、週後半にかけて急落し、一目均衡表転換線の下抜けに成功した他、トレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドも29営業日ぶりに割り込みました。一目均衡表基準線や、ボリンジャーバンド下限、一目均衡表「雲」上限付近でひとまず下げ止まりましたが、テクニカル的に見て「下落リスク」が意識されつつあります。@南アフリカにおける景気後退リスク(リセッション入り)の高まりや、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B政府による中銀干渉を受けた南アフリカ中銀(SARB)の独立性に対する疑念、C南アフリカ中銀(SARB)による利下げ再開を経て、高金利通貨の優位性が薄れつつある点、D米中貿易摩擦の先行き不透明感を背景とした南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念、Eムーディーズによる格下げリスクなど、ファンダメンタルズ面での不安要素を考慮すれば、しばらくは、南アフリカランドの下落リスクに警戒が必要でしょう。
来週予定されている米中通商交渉に進展が見られれば、一時的に南アフリカランド買いで反応する可能性もありますが、テクニカル面、ファンダメンタルズ面での弱さを考慮すれば上値余地は乏しく、ランド買いの動きは長続きしないと考えられます。来週は、南アフリカランドの続落をメインシナリオとして予想いたします。(来週の予想レンジ ZARJPY 7.400ー7.800)
南アフリカランド円日足
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南ア国内の材料ですが、今週はCPI、PPIといった物価関連指標があります。
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