トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、中銀の独立性に不安を感じさせる人事行ったことだけでトルコリラ安を考えざるを得ず「19.00レベルをレジスタンスに18.50レベルをサポートとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が18.71レベル、高値が19.12レベルと思ったよりは底堅い動きとなりましたが、前週末とのギャップは埋めることができませんでした。
先週は週末にエルドアン大統領が中銀総裁を更迭するという暴挙から月曜は大きくギャップダウンして始まりましたが、その早朝の安値が週間安値となり翌日には19円の大台を回復と、悪材料にも関わらず下がったところでは買いたい向きが目立つ週前半となりました。実際に東京の個人投資家は今回のトルコリラが下がった月曜には買いを増やした動きが見られ、金曜よりも月曜の方が若干買いポジションが増えていました。
そのため、インターバンクの売りに対して東京個人の買いが向かった構図となり、当初は個人の買いが優勢という動きだったのですが、週後半に入るとロシアからのS400ミサイル納入が開始され、今のところ沈黙している米国がいつまた制裁を行うかもしれないという懸念、さらに週後半はドル円での円高が進行したこともあって、ほぼ週初の水準に押しての週末クローズとなりました。
週末にはフィッチが前週の中銀総裁更迭等を理由にトルコの格付けを下げる動きもありましたが、トルコ自体が既に投資不適格であることや、ムーディーズ、S&Pに比べるとトルコに限らず影響力が小さいこともあり、週明け早朝は目立った動きも起きませんでした。そして今週ですがトルコ国内の経済指標はそれほど目立ったものは無く、来週25日のトルコ中銀会合に向けて利下げ圧力、あるいは利下げに繋がるようなニュースが出てくるかどうかが注目点となりそうです。
エルドアン大統領は中銀総裁更迭後も利下げについて言及していますが、トルコ国内の状況から考えても7月会合では利下げが行われる可能性が高いのではないかという見方が増えてきています。現在のトルコも政策金利は24%ですが、1〜2%程度の利下げが行われるという見方が現時点でのコンセンサスです。ただ、実際に利下げの動きが見えてくるとトルコリラにとっては売り材料となりますので、米国からのS400関連での制裁懸念とともに今週はトルコリラの上値が抑えられやすい地合いが続くものと見ています。
材料的には上記の通りですが、テクニカルに少し長期のチャートをご覧ください。
週足チャートを1月ごとに青の四角で囲んであります。
偶然とはいえ2週前に昨年12月初めからのレジスタンスラインに近づいたところで、中銀総裁更迭ニュースで反落したことで、長期の下降ウェッジの動きの中に戻された格好となっています。また、これまで5月初めの安値から上昇トレンド(黄緑のフラッグパターン)を示していましたが、先週の下げで今まさにこのサポートライン上に位置していることがわかります。
ここから少しでも下げる動きを見せるとサポートを割り込み18円方向に向かいやすいチャートと言えます。いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
黄緑のサポートラインが先ほど示したフラッグのサポートです。またギャップダウンする前の高値と先週の戻り高値を結んだレジスタンス(ピンク)も引け、短期的には同水準(今週は19円の大台を下回ってくる)が上値を抑えられやすい水準と言えます。
トルコリラにとって好材料が出てくる可能性も否定はできませんが、現状では悪材料に囲まれる中で本邦個人投資家のトルコリラ買いポジションが高水準にあるということを考えると、下げる時のリスクが気になって仕方ないというのが個人的な感覚です。今週はサポートをトライして下げる可能性が高いと見て、19.00レベルをレジスタンスに、18.50レベルをサポートとする流れを見ておきます。
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