金融政策決定会合に注目。想定外の利下げ幅となればトルコリラ急落の可能性も
今週のレビュー(7/15−7/19)
今週のトルコリラ・円(TRYJPY)相場は、週初18.866円で寄り付いた後、@ロシア製ミサイルS400の引き渡し開始報道が米土関係の悪化に繋がるとの懸念や、Aエルドアン大統領による「我々は金利を著しく引き下げるだろう」との発言を材料に、一時18.804円まで下げ幅を広げました。しかし、ボリンジャー・ミッドバンドに続落を阻まれると、その後は、BストルテンベルグNATO事務総長による「トルコはNATOの重要なメンバーのまま」「トルコがF35を取得できないことは良くないこと」等の発言や、Cトランプ米大統領による「現時点で対トルコ経済制裁はないだろう」との発言が支援材料となり、週後半にかけては、約2週間ぶり高値となる19.208円まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、結局19.053円での越週となっております。
来週の見通し(7/22−7/26)
トルコリラを巡っては、@ロシア製ミサイルS400を巡る対米及びNATO同盟国との関係悪化懸念、A外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ経済を巡る先行き不透明感、Cエルドアン大統領による中銀への介入懸念(=利下げ圧力)、Dキプロスを巡るEUとの関係悪化懸念、Eやり直し市長選の敗北で明らかとなったエルドアン大統領の求心力低下など、潜在的なトルコリラ売り圧力を、政府・当局による為替介入や資本規制で下支えする構図が続いております。もっとも、こうしたリラ安防衛策は短期的な効果はあれど、長期的な抑止力には繋がりづらく、一巡後は却って「リラ安圧力」を高める副作用がある点には注意が必要でしょう。
S400を巡る地政学的リスクが一時的に後退したことで今週はトルコリラが急伸しました。週央以降は、一目均衡表転換線や90日移動平均線に加えて、約4カ月ぶりに一目均衡表雲上限の突破にも成功するなど、テクニカル的に見て、上昇リスクが警戒されます。とはいえ、ここからどんどん上値を追っていく展開も想定し辛く、徐々に戻り売りが強まると予想されます。7/25に予定されているトルコ中銀(TCMB)金融政策決定会合の結果次第では、トルコリラが急落に転じる恐れもありそうです。トルコ中銀は前回会合時(6/12開催)に声明文で利下げの可能性を滲ませました(※引き締めの条件である「物価見通しが大幅に改善するまで」の文言を削除)。
また、7/6には、エルドアン大統領の利下げ圧力に応じなかったチェティンカヤ総裁を突如解任する一幕も見られました。これら一連の流れを踏まえると、来週の会合で「利下げ」が行われる可能性は極めて高いと考えられます。利下げが行われた際は、@対外金利差縮小に伴うトルコリラ売りに加えて、A政府による中銀介入を嫌気したトルコリラ売り(※大統領の圧力に屈したとの見方に繋がりかねない)も加わることから、金融政策決定会合への注目度は日に日に増すと予想されます。
以上の通り、来週は、トルコ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。市場予想は250bp(24.0%→21.5%)の利下げとなっておりますが、それ以上の利下げ幅も十分想定されます。事実、エルドアン大統領は今週、「我々は金利を著しく引き下げるだろう」と発言しました。来週のトルコリラは乱高下が必至であり、想定外の値幅拡大に注意が必要でしょう。(来週の予想レンジ TRYJPY 18.40ー19.60)
トルコ円日足
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