来週の為替相場見通し 『米大幅利下げ観測が引き続きドル円の重石に。ユーロはECB理事会に注目』(7/20朝)

ドル円は週前半にかけて上昇するも、一目均衡表転換線に続伸を阻まれる形で反落に転じました。

来週の為替相場見通し 『米大幅利下げ観測が引き続きドル円の重石に。ユーロはECB理事会に注目』(7/20朝)

『米大幅利下げ観測が引き続きドル円の重石に。ユーロはECB理事会に注目』

今週のレビュー(7/15−7/19)

今週のドル円相場は、週初107.88で寄り付いたあと、@良好な中国経済指標を受けたリスク選好ムードの高まりや、A米7月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果4.3、予想2.0)の良好な結果、B米中協議再開に向けた期待感の高まり、C米6月小売売上高(結果0.4%、予想0.1%)の力強い結果を材料に、週央にかけて、108.38まで上値を伸ばしました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、その後は、Dトランプ米大統領による「自分が望めば中国からの輸入品に追加関税を課すことができる」との発言や、EパウエルFRB議長による「米景気拡大を後押しするため、適切に行動する」との発言、Fニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「FRBは積極的に行動すべき」との発言、Gトランプ米大統領による「米海軍がイランの無人機を撃墜した」との発言が重石となり、月末FOMCでの大幅利下げ(50bp)を織り込む形で、約3週間ぶり安値となる107.21まで急落しました。もっとも、米中電話会議を経てリスク回避ムードが幾分和らぐと、週末にかけて持ち直す展開に。結局107.80付近まで押し返されての越週となっております。

今週のユーロドル相場は、週初に高値1.1285まで上昇するも、ボリンジャー・ミッドバンドや一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、@ドイツ7月ZEW期待指数(結果▲24.5、予想▲22.3)の冴えない結果や、A同現況指数(結果▲1.1)のマイナス転化(※2010年6月以降最低水準)、B良好な米経済指標を受けたドル買い圧力、CクーレECB専務理事による「ユーロ圏の成長見通しを巡るリスクはダウンサイドに傾斜」との発言が重石となり、週央にかけては、約1週間ぶり安値となる1.1199まで下げ幅を広げました。しかし、心理的節目1.12をバックに押し目買いが強まると、週後半にかけては再び持ち直す展開に。ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁によるハト派的な発言を受けた「ドル売り」も重なる中で、一時1.1282まで急伸する場面も見られました。もっとも、週初に付けた高値1.1285を抜け切れず失速すると、来週のECB理事会での追加緩和観測を背景にユーロ売りが再燃し、結局1.1220付近まで押し戻されての越週となっております。

来週の見通し(7/22−7/26)

ドル円は週前半にかけて上昇するも、一目均衡表転換線に続伸を阻まれる形で反落に転じました。週後半にかけては、21日移動平均線やボリンジャー・ミッドバンド、一目均衡表基準線の下抜けに成功するなど、テクニカル的に見て、下落リスクが強まりつつあります。ドル円スポットが同水準を維持できれば、来週中には強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転の再出現も視野に入ります。米中貿易摩擦の長期化懸念や、世界経済を巡る先行き不透明感、英国情勢の不安定化、イタリア財政問題・政局不透明感、イランを巡る地政学的リスク、日本とその他各国との金融政策格差の縮小(欧米をはじめ主要中銀がハト派に傾斜する一方、日銀は副作用を警戒して次の一手に踏み込めない状況)などファンダメンタルズ面での不安要素も、ドル円の上値を抑制する一因と考えられます。事実、通貨オプション市場ではリスクリバーサルが急拡大するなど(円コールオーバーの拡大)、ダウンサイドを織り込む動きが足元で広がりを見せつつあります。

月末・FOMCでの大幅(50bp)利下げ観測が燻る中で、来週のドル円は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも下落リスクに注意が必要でしょう。状況次第では、心理的節目107円割れや、6/25に記録した直近安値106.78割れも視野に入ります。耐久財受注や第2四半期GDP速報など一連の米経済指標の結果を睨みながらも(※ブラックアウト期間に入ったことで米当局者発言はありません)、ドル安・円高基調の継続をメインシナリオとして予想いたします。(予想レンジ:106.50ー108.50 )

ユーロドルは、週後半にかけて持ち直すも、ボリンジャー・ミッドバンドや一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、結局、90日移動平均線や一目均衡表転換線、一目均衡表雲下限を下回る位置まで押し戻されました。15営業日連続でボリンジャー・ミッドバンドを下回る位置での推移が継続するなど、テクニカル的に見て、上値の重さが意識されます。トランプ米大統領による「ユーロ安」批判や、米大幅利下げ期待の高まりがユーロ高・ドル安要因として燻るものの、@ECBによる根強い追加緩和観測や、A欧米貿易摩擦を巡る警戒感の高まり、B米独関係の悪化懸念、Cユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Dイタリアの財政問題・政局不透明感、E英国を巡るハードブレグジット懸念など、ファンダメンタルズ面での弱さが、ユーロドルの上値を抑制している状態です。

こうした中、7/25に開催されるECB理事会に注目が集まります。先月後半以降、ドラギECB総裁やクーレECB専務理事よりハト派的な発言が相次いだこともあり、来週の理事会でECBが何かしらの緩和アクションに踏み切る可能性は高いと考えられます。選択肢としては、@フォワードガイダンスの変更や、A資産買い入れの再開、Bマイナス金利の深掘りなどが挙げられますが、市場では上記@(利下げへの地ならし)に留まるとの見方が優勢です。但し、ドラギECB総裁はこれまでもドラギマジックとして様々なサプライズを演出してきましたので、一部ではマイナス金利の深掘り(10bp)などに踏み切るのとの見方も燻っております。このように、上記@以外の緩和策が発表された場合、市場では「予想よりハト派的(=サプライズ)」と受け止め、欧州債利回りの低下を通じてユーロ売りに拍車をかける恐れもあるため、注意が必要でしょう。当方では、ECB理事会を経て、ユーロドルが下げ足を早める展開をメインシナリオとして予想しております。(ユーロドルの予想レンジ:1.1075−1.1350)

 『米大幅利下げ観測が引き続きドル円の重石に。ユーロはECB理事会に注目』

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