利下げ再開も下値は堅い。物価指標を睨みつつもテクニカル主導で底堅い動きが継続か
今週のレビュー(7/15−7/19)
今週の南アフリカランド・円(ZARJPY)相場は、週初7.703円で寄り付いた後、全般的なリスク選好ムードに下支えされる形で、翌7/16に、約2カ月半ぶり高値となる7.808円まで上昇しました。しかし、イランを巡る地政学的リスクを背景に「リスク回避の円買い」が強まると、南アフリカ準備銀行(SARB)理事会を前にしたポジション調整の動きも重なり、7/18には、週間安値となる7.673円まで下げ幅を広げました。もっとも、注目された南アフリカ準備銀行(SARB)理事会にて利下げ幅が市場予想通りの25bp(6.75%→6.50%)に留まると、安堵感から南アフリカランドの買い戻しが活発化。クガニャゴ総裁による「ランドは若干過小評価されている」「0.50%の利下げについて議論しなかった」との発言も支援材料となる中、結局7.726円まで持ち直しての越週となっております。尚、南アフリカ中銀の利下げは昨年3月以来、約1年4か月ぶり。カシム副総裁は「我々はおおよそ(GDP見通しや物価見通しの)目標範囲にいる」と発言し、市場で燻る追加利下げ期待を打ち消す構えを見せました。対ドルでは一時13.816までランド高が進行するなど、2/25以来、約4カ月半ぶり高値を更新しております。
来週の見通し(7/22−7/26)
先週の南アフリカランド・円相場は、一目均衡表転換線(7.720)に続落を阻まれる形で上昇に転じました。強い買いシグナルを表す三役好転が出現していることや、24営業日連続でトレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを上回っていることを考慮すれば、南アフリカランド・円相場の上昇モメンタムは強く、テクニカル的に見て、来週は上昇リスクに注意が必要でしょう。とはいえ、@南アフリカにおける景気後退リスク(リセッション入り)の高まりや、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B政府による中銀干渉を受けた南アフリカ中銀(SARB)の独立性に対する疑念、CSARBの追加利下げ観測、D米中貿易摩擦の先行き不透明感を背景とした南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念など、ファンダメンタルズ面での不安要素を考慮すれば、一方向の上昇も想定し辛い状況です。
また、南アフリカ中銀による利下げ再開を経て、金利差に着目した南アフリカランド買いの優位性も徐々に薄れてくると考えられます。来週7/24に発表される6月消費者物価指数や、7/25の6月生産者物価指数が市場予想を下回る結果となれば、追加利下げ観測の高進を通じて、南アフリカランド・円を押し下げる可能性もあり、注意が必要です。以上の通り、来週は、テクニカル主導で「ランド高」地合いの継続を予想しつつも、ファンダメンタルズ面での不安要素が上値を抑えると見られ、上昇幅、上昇速度は緩やかなものに留まりそうです。(来週の予想レンジ ZARJPY 7.550ー7.950)
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