トルコリラ円レポート月曜版
東京10連休で1週間飛んでいますので、今週はいつもと若干書き方を変えて、まずここ2週間のトルコリラの動向について書いていくこととしましょう。
先々週のトルコリラは、週前半こそ落ち着いた値動きとなっていましたが、米国のイラン産原油の全面禁輸に対してトルコが批判したことから、改めて米国との関係悪化が懸念されました。トルコリラの上値が重たくなり始めたところに25日のトルコ中銀会合の声明です。政策金利自体は予想通り据え置きとなりましたが、今後の引き締めに対する文言が削除されたことで、将来的な利下げ思惑が台頭し、トルコリラは対ドル、対円ともに大幅安となりました。トルコリラ円は安値18.57レベルまで下がり、週初の水準から70銭ほどの下げとなりました。
先々週末から先週は目立った材料が無かったこと、本邦個人投資家も動かなかったことから先週は安値圏でのもみあいとなり、18.53〜18.76の20銭強の狭い値幅での取引に終始していました。しかし、先の地方選で野党がイスタンブール市長に当選したことに難色を示していたエルドアン大統領と与党AKPに対して、選挙管理委員会が継続して審議しているため、その結果次第では上下どちらにも動きうるということも動きが鈍い材料でした。
そして、今週連休最終日の昨日、トルコの選挙管理員会はイスタンブール市長の再選挙を6月23日に行うことを決定しました。トルコの民主主義は国民ではなくエルドアン大統領のものかという不審が一気に広がり、トルコリラは先々週に続いての大幅安、NY市場では一時17.96レベルと18円の大台を割り込み、その後やや戻しての本日7日という状況です。
これまでもエルドアン大統領の強権政治に対しての不満はありました。しかし先々週の中銀声明を見ると、利下げを望んでいる大統領への気遣いではと勘繰りたくなりますし、選挙管理委員会に至っては、再選を行ってもよい理由が確かにあったとはいえ、これも大統領の圧力に屈したと見られても仕方ありません。野党候補は改めて戦うことを表明しているものの、海外投資家から見たら投資を控えたくなる政治が行われていることを確認したようなものです。
米国との関係悪化懸念、中銀が利下げを行う可能性、そして再選挙と今のトルコリラには買い材料が見当たりません。
また、テクニカルにも1月3日のフラッシュクラッシュ時の安値を試す流れになっていくでしょう。1月3日は、それこそ瞬間の出来事であったため、業者により安値は17.05〜99レベルと17円台で広く分散していますが、どの業者の安値をも更新するということは16円台を見ることを意味します。今すぐではないにせよ、17円の大台をトライする展開をそう遠くないうちに見る可能性が高いと考えていた方がよさそうです。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
こうして見ると3月高値からのレジスタンスライン、そしてそれに平行に引いたラインとで構成される下降チャンネル(ピンクの平行線)の中での推移を現在でも継続していることがわかります。また中段の対ドルレートも昨日ついに1ドル6リラの大台乗せ(高値6.1511レベル)を見ることとなり、トルコリラの一段安を考えざるを得ない展開と言えます。
現在、下降チャンネルの上限が18.60レベルから今週末には18.30レベルへと下がってきます。このレジスタンスラインの下での推移を考えざるを得ませんし、下限に至っては今週末には17.50を割り込んできます。東京の10連休を前に安易にスワップを取りにいったトルコリラ買いのポジションに対する調整も入りやすいため、常に下げに注意が必要です。
今週は更なる下げを考え18.40レベルをレジスタンスに17.60レベルをサポートとする週を見ておきます。
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