エマージング通貨週報 政局不透明感の高まりを背景にトルコリラ南アランド共に売られ易い地合いが継続か

トルコリラの対円相場は、4/25以降、下げ足を一段と速めつつあります。背景には、@本邦大型連休前のスワップ金利の受け取りを狙った俄かロング勢の投げが続いていること

エマージング通貨週報  政局不透明感の高まりを背景にトルコリラ南アランド共に売られ易い地合いが継続か

政局不透明感の高まりを背景にトルコリラ南アランド共に売られ易い地合いが継続か

トルコリラ:政局不透明感を背景に下値余地を探る展開

トルコリラの対円相場は、4/25以降、下げ足を一段と速めつつあります。背景には、@本邦大型連休前のスワップ金利の受け取りを狙った俄かロング勢の投げが続いていること(※本邦ゴールデンウィークに絡む日柄要因で通常の11倍のスワップ金利が生じた為、25日早朝にトルコリラ・円のロングポジションを造成する投資家が急増したが、日付変更直後に直物相場が急落した為、売りそびれた投資家が多数発生し、19円前後に潜在的なレジスタンスが出来てしまったこと)、A金融政策委員会にて、トルコ中銀が前回まで記載されていた「必要ならば更なる金融引き締めを実施する」との文言の削除に踏み切ったこと(追加利上げ観測後退→利下げへの思惑再燃→トルコリラ安)などが挙げられます。4/30には、一時18.599円まで下げ幅を広げるなど、1/3以来、約4ヶ月ぶりに安値を更新しました。もっとも、同日に発表された、Bトルコ中銀議事要旨にて一部で警戒されていたような「利下げ」に関する議論(記述)が無かったこと、

C四半期インフレリポートにてインフレ見通しが前回1月と同水準に据え置かれたこと(2019年14.6%、2020年8.2%、2021年5.4%)、Dトルコリラと逆相関性の強い原油価格が下げ幅を拡大させたことなどが好感されると、トルコリラは下げ渋る動きとなり、一時18.7442付近まで持ち直す場面も見られました。しかし、5/2に発表された、Eトルコ4月製造業PMI(結果46.8、前回47.2)が冴えない結果となると、Fエルドアン大統領による「金利を望ましい水準まで下げる決意がある」との発言や、Gトルコ4月消費者物価指数(結果19.5%、予想20.36%)の伸び鈍化が重石となり、トルコリラ・円相場は引けにかけて再び反落。結局18.6269付近まで押し下げられての越週となっております。

来週はトルコの経済イベントに乏しいことから、市場の焦点はイスタンブール市長選の再審議を巡るトルコ高等選挙評議会(YSK)の決断に移りそうです(※今週末に発表される予定でしたが本稿執筆時点でYSKからの発表は特段見られず)。再選挙実施となれば、政局不透明感の高まりを通じて、トルコリラを更に押し下げる材料となり得ますので注意が必要です。トルコリラを巡っては、@政局不透明感に加えて、Aロシア製の武器輸入やベネズエラを巡る対米関係の悪化懸念、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への疑念、Cトルコ中銀による利下げ観測の高まりなど、ファンダメンタルズ的に見てトルコリラは売られ易い地合いが続くと考えられます。

また、テクニカル的に見ても、2月以降、ボリンジャーバンドのミッドバンドを下回る水準での値動きが継続している他、一目均衡表で強い売りシグナルを表す三役逆転の出現、更には昨年8月のトルコショック時に付けた安値15.3185と昨年11月に付けた戻り高値22.1325を起点としたフィボナッチ50%押し水準(18.7255)をも割り込み始めるなど、トルコリラ・円相場の地合いは極めて弱いと整理できます。オシレーター系指標のRSIが「売られ過ぎ」を表す30%を下回っていることから、一時的なショートカバーリスクはあるものの、19円手前では先術の通り、短期ロング筋の戻り売りが強まると見られることから、しばらくは同水準が潜在的なレジスタンスとして機能すると考えられます。以上を踏まえ、来週のトルコリラ・円相場は上値の重い展開が続くと予測いたします。

来週の予想レンジ TRYJPY 18.35ー18.95

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トルコ円日足

南アフリカランド:総選挙を控えて安値圏で神経質な展開

今週の南アフリカランド・円相場は急落後に急反発するなど荒々しい値動きが目立ちました。パウエルFRB議長によるタカ派的な発言を受けて対新興国通貨でドル買いが強まる中、南アフリカランド・円相場は、週末にかけて約1ヶ月ぶり安値となる7.6444円まで下げ幅を広げましたが、来週5/8に控える南アフリカの総選挙を前に様子見ムードも根強く、引けにかけては、ポジション調整(ショートカバー)主導で反発し、結局7.7420付近での越週となっております。テクニカル的に見れば、一目均衡表雲下限(7.7101)にサポートされた形となっており、来週の選挙イベントを終えるまでは同水準での様子見ムードが続くと予想されます。

尚、総選挙における注目ポイントは主に2つ。@与党・アフリカ民族会議(ANC)が全体で議席数をどこまで維持することができるか、A与党・アフリカ民族会議(ANC)がハウテン州(首都ヨハネスブルグ)で過半数を死守できるか。前者が50%台前半へ落ち込む場合や、後者が過半数割れとなる場合には、ラマポーザ大統領が進める構造改革路線への悪影響が意識されることから、南アフリカランド・円相場には強い下押し圧力が加えられると考えられます。この場合、心理的節目7.5を試す動きも想定されるため、来週は特にダウンサイドリスクを警戒したトレードが必要となりそうです。

政局不透明感の高まりを背景にトルコリラ南アランド共に売られ易い地合いが継続か 2枚目の画像

南アランド/円日足

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