来週の為替見通し −本邦大型連休明けでもドル円のリスクは依然下向きか−(5/4朝)

4/29週のドル円相場は、週を通して上値の重い展開が継続しました。

来週の為替見通し −本邦大型連休明けでもドル円のリスクは依然下向きか−(5/4朝)

来週の為替見通し −本邦大型連休明けでもドル円のリスクは依然下向きか

4/29−5/3の振り返り

4/29週のドル円相場は、週を通して上値の重い展開が継続しました。週初111.61で寄り付いた今週のドル円相場は、@ムニューシン米財務長官による米中貿易協定に前向きな発言や、A米3月個人消費支出(結果0.9%、予想0.7%)の改善を背景に、一時111.91まで上値を伸ばしました。しかし、112円手前では戻り売り意欲も根強く、続伸が阻まれると、B米4月ダラス連銀製造業活動指数(結果2.0、予想10.0)や、C中国の主要経済指標(中国4月製造業PMI_結果50.1、予想50.7、中国4月非製造業PMI_結果54.4、予想55.0、中国4月財新製造業PMI_結果50.2、予想51.0)、D米4月ISM製造業景況指数(結果52.8、予想55.0)が軒並み総崩れとなる中、ドル円は111円台前半へと押し下げられる結果となりました。

E注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利の据え置き(2.25%ー2.50%)、景気判断の上方修正(economic activity rose at a solid rate)、インフレ判断の下方修正(overall inflation and inflation for items other than food and energy have declined and are running below 2 percent)、IOER(超過準備の付利)の引き下げ(2.40%→2.35%)が決定されました。この内、インフレ判断の下方修正と、IOERの引き下げがネガティブサプライズとなり、ドル円は一時約3週間ぶり安値となる111.05まで下落する場面も見られました。しかし、FパウエルFRB議長の記者会見にて、「インフレ低下は一過性の要因」「IOERは小幅な技術的調整で政策シフトではない」との見方が示されると、米利下げ観測の後退を背景に下げ渋る動きとなりました。週末にかけては、G良好な米4月非農業部門雇用者数(結果26.3万人、予想19.0万人)に下支えされつつも、H米4月平均時給(結果+0.2%、予想+0.3%)の伸び鈍化や、I約1年半ぶり低水準となった米4月ISM非製造業景気指数(結果55.5、予想57.0)が重石となり、ドル円は結局安値圏111.11近辺での越週となっております。

一方、ユーロドル相場は、週初1.1153で寄り付いたあと、@ユーロ圏第1四半期GDP速報値(結果0.4%、予想0.3%)や、Aドイツの4月消費者物価指数(結果1.0%、予想0.5%)の予想比上振れを好感する形で、早々に1.12の大台を回復しました。その後も、B冴えない米4月ISM製造業景況指数を受けたドル売りや、C米FOMCでのインフレ判断の下方修正・IOERの引き下げを材料に、週央にかけて一時約2週間ぶり高値となる1.1265まで上昇する場面も見られました。しかし、DパウエルFRB議長記者会見を経てドル買い圧力が強まると一転、俄かユーロロングのロスカットを巻き込む形で反落し、E週末の米雇用統計直後には、一時1.1135まで下げ幅を広げました。もっとも、引けにかけては反発に転じ、結局1.1186付近まで戻してのクローズとなっております。

5/6−5/10の展望

ドル円はこれまでサポートとして機能してきた一目均衡表転換線(111.73)や21日移動平均線(111.68)、200日移動平均線(111.51)や、一目均衡表基準線(111.47)を全て割り込むなど、地合いの悪化が鮮明となりました。111円台を辛うじて死守したとはいえ、リスクは依然下向きと考えられます。特に、パウエルFRB議長記者会見後の「ドル独歩高」の局面においても、ドル円の上値が重かった点に注目すべきでしょう。「ドル買い・米金利の上昇」は本来ドル円を支援する材料であるものの、足元のような局面においては、「ドル買い・米金利上昇→商品市況・株式相場・新興国通貨の下押し→リスク回避の円買い」との波及経路で却ってドル円を押し下げる効果を持つ点に留意が必要です。実際、今週はドル高の局面において、原油安や株安、資源国通貨やエマージング通貨の下落を通じてクロス円が全般的に押し下げられ、その結果ドル円が連れ安となる場面が度々見られました。

一方、ドル安の局面においては素直にドル円が売られるなど、ドル高時・ドル安時、いずれのケースでもドル円の上値が抑えられたのが印象的でした。本邦勢が大型連休から戻ってくる来週以降もこうした動きは続くと見られ、米CPIや米PPIなど米国の物価関連指標の結果を睨みながらも、ドル円は下値余地を探る動きが想定されます。目先は、4/10に付けた直近安値110.84や、一目均衡表雲上限(110.81)を試す動きが強まりそうです。

一方、ユーロドルは安値更新後に反発するも、結局1.12台を回復できないままでの越週となりました。欧米貿易摩擦の激化や、ユーロ圏景気の先行き不安など、潜在的な悪材料は未だ多く残存しており、来週6日に発表される欧州圏の製造業PMIが冴えない結果となれば、「欧州経済の先行き懸念の高まり→ECBによる金融緩和の再開観測→欧州金利の低下」といった波及経路で再びユーロドルが押し下げられるシナリオも想定されます。当方では引き続き、ユーロドルの続落をメインシナリオとして予測いたします。

ドル円の予想レンジ:109.75−112.25
ユーロドルの予想レンジ:1.1050−1.1250

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ドル円日足

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