ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、一時的な振れはあっても上昇チャンネル内での動きを続け「8.15レベルをサポートに、8.40レベルをレジスタンスとする週」と見ていました。実際のレンジは、安値が7.90レベル、高値が8.36レベルと週前半こそチャンネル内の動きでしたが、その後チャンネルを下抜けし8.0円の大台まで割り込む下降相場となりました。
先週のランド円は、いくつかの悪条件が重なりました。まず週初からの米国株安によるリスクオフ、リスクオフでは高金利通貨売り低金利通貨買いとなりやすいことは以前にも書きましたが、ランド円は売られやすくなる通貨の代表です。そして、ファーウェイのCFO逮捕をきっかけとした米中間の貿易に加えての政治懸念がランドを直撃しました。南アフリカは輸出入ともに貿易面では中国が1位です。米中間の摩擦の影響をまともに受けたと言えるでしょう。
さらに国内の問題では、南アの国営電力会社エスコムが債務の一部肩代わりを政府に要求するというニュースが出ていましたが、債務の一部(24%程度)とはいえ、ただでさえ格付け引き下げの懸念がある南アフリカが巨額な債務の肩代わりをしたら、おそらくジャンクとなることは目に見えています。問題は国営企業なので、国の債務的な面も強く今後の動向が気になるところです。
そして、個人的にもっとも大きいと思うのはテクニカルな要因です。これまで11月13日の安値から3週間に渡って継続した上昇チャンネルを下抜けたことで、テクニカルにはランド円が売りに転じるシグナルとなりました。さらに短期筋の売りが売りを呼ぶ格好で、材料的にも悪材料が揃う中、11月21日以来の8円の大台割れを見ることとなり、結果として12月3日が高値となっています。
今週ですが、引き続き米中間の状況から米国株式市場がリスクオフへと動きやすい中で、南ア国内ではエスコム問題に何か進展が出てくるのかどうかが気になります。また経済指標も今週は製造業生産、CPI/PPI、小売売上高等、連日のように発表されますので、予想よりも弱い数字が出るような場合には注意が必要です。経済指標事態はニュートラルな材料とはいえ、地合いが弱いために売り材料に反応しやすいと言えるでしょう。
またテクニカルにも3週間ほど続いた上昇トレンドに終止符を打ち、現状はどこまで押す可能性があるのかが懸念される状況と言えます。今週は、まず日足チャートをご覧ください。
中期的には9月安値を起点として先週初まで上昇ウェッジ(ピンク)を形成していたことがわかりますが、先週後半にはこのウェッジを構成するサポートラインも下抜け、9月安値7.10と先週高値8.35の38.2%押しとなる7.88(赤のターゲット)近くに押してきていることがわかります。売りが強まった場合には半値押しとなる7.73(同)がターゲットとなってくると言えます。
これらの2つの水平線を加えた4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。
先週までの上昇チャンネル(ピンクの平行線)が、現状では下降チャンネル(青の平行線)へと転じ、38.2%押しから半値押し(それぞれ青の水平線)を試しやすい流れにあることが見て取れると思います。今週もあまり好材料は考えにくいですし、ブレグジット案の採決も11日から延期される可能性があるものの、世界の金融市場にとってリスクオフ材料とされる可能性が高いものです。
今週は下降トレンドを継続する展開を考え、7.80レベルをサポートに、8.10レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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