ユーロドル 上値は重いものの動きにくい(11月第4週)

先週のユーロドルは、週初こそ前週の流れを受けて買いが先行しましたが、火曜の欧州市場序盤に1.1472レベルの高値をつけ、そこからは反転下落

ユーロドル 上値は重いものの動きにくい(11月第4週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、週初こそ前週の流れを受けて買いが先行しましたが、火曜の欧州市場序盤に1.1472レベルの高値をつけ、そこからは反転下落し週末には1.1328レベルの安値とほぼ一貫してユーロが弱い動きとなりました。

先週のユーロもブレグジットとイタリア予算案という2つの懸念材料がユーロの上値を重くしましたが、英国と欧州の間ではブレグジット案が正式に合意され、次は英国議会での承認を得られるかどうかに注目が集まります。現状では賛成が過半数(320)を超えられるのか、どちらかというと得られないのではないかとの見方も多いのですが、英国議会でメイ首相がこれより良い代替案は無いとの意見を改めて強調する発言を本日にもすると考えられています。

先週後半のポンドの乱高下を見ても、おそらくどちらになるのかは結果を見ないとわからないという状態ですが、承認されれば短期的にポンド買いが入りユーロも追随、いっぽうで否認されれば合意無き離脱が近づくためにポンドとともにユーロも下げる展開が考えられます。

またイタリア予算案については、修正案がそもそも出てくるのかどうかですが、EU側の反発が強く何らかの修正が出てくる可能性は高そうです。しかし修正が小さいものであった場合にEU側がどう反応するのかも含め、いまだ悪材料となりやすいことには変わりありません。ただ、昨日の段階では先週時点で予算案修正に否定的だった同盟でしたが、サルビーニ党首(副首相)が修正に対して柔軟な姿勢を見せています。とりあえず、2.0%という数字を見せてくるとすれば、ユーロは底固め、逆に結局は修正無しだった場合には安値をトライする流れになってきそうです。

この2つの大きな材料が相変わらず不透明である以上、ユーロに関しては大きくは動きにくいものの、上値が重たい展開というまさに先週の動きが今週も続きやすいと言えます。
少し拡大した日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

長期的には9月高値1.1815を起点とした下降トレンドを続けていますが、中期的には10月高値1.1622からのレジスタンスラインが上値を抑えやすい流れにあります。先週の戻り高値1.1472は9月高値と11月安値1.1217の38.2%戻し1.1446(赤のターゲット)にも近く、現状は11月安値と先週高値との押しの動きをどこまで試すかの段階にあると考えています。この場合、78.6%(61.8%の平方根)押しの1.1271(青のターゲット)が目安になります。

いっぽうで上値の戻りは限定的で先週後半の戻りである1.14台前半で上値は抑えられやすいと見ています。今週は1.1275レベルをサポートに1.1425レベルをレジスタンスとここ2週間のレンジ内で上値の重たい展開を見ておきます。もし、ブレグジット、イタリア双方で悪材料が飛び出してきた場合には、11月安値を更新する底割れリスクも考えておいてください。

今週のコラム

今週のコラム

ユーロドルの行方もポンドが握っているといった雰囲気がありますので、長期的な考えをまとめるためにも今週はポンドドルの週足チャートを見てみましょう。


大きな流れとしては2017年初からの上昇トレンドが今年4月で終わり、下降トレンド入り後のもみあいの踊り場にあるというチャートです。このもみあいはコンティニュエーション(継続)パターンのひとつで、可能性としては以前のトレンドを再開しやすい、つまり下げに回帰しやすいパターンと考えられます。ターゲットとしては水色の線で示した逆N波動で、昨年安値と今年高値の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.2499つまり1.25の大台を試す可能性があげられます。

現状の材料ではまだどちらに動くのかははっきりしませんが、テクニカルには下値トライの懸念が強く、であるとすれば英国議会でブレグジット案が否認され、合意無き離脱へと向かうリスクを考えた方がよいかもしれない、という気がしています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

11月26日(月)
18:00 ドイツ11月ifo企業景況感
18:00 プラートECB理事講演
23:00 ドラギECB総裁欧州委員会出席
27:30 英中銀総裁講演
**:** G20D(〜29日)

11月27日(火)
16:45 フランス11月消費者信頼感

11月28日(水)
21:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
25:00 メルシュECB理事講演
26:00 パウエルFRB議長講演

11月29日(木)
15:45 スイス7〜9月期GDP
16:45 フランス7〜9月期GDP改定値
17:00 ドラギECB総裁講演
17:55 ドイツ11月失業率
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感
22:00 ドイツ11月CPI速報値
28:00 FOMC(8日)議事録公表

11月30日(金)
09:01 英国11月GFK消費者信頼感
16:00 ドイツ10月小売売上高
16:45 フランス11月CPI速報値
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値
19:00 ユーロ圏10月失業率
**:** G20(〜1日)、米中首脳会談

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

11月19日(月)
ユーロドルは、東京市場ではやや押しが入ったものの欧州市場以降は買い戻される動きとなりました。ポンドがメイ首相不信任を懸念した神経質な展開となる中、ユーロポンドが買われたことからユーロが上昇、NY市場ではドルが全般に売られた動きから1.1465レベルまで上昇しやや押して引けました。

11月20日(火)
ユーロドルは、東京市場では動意薄だったものの欧州市場に入りイタリア予算案に対する懸念が再浮上する形でイタリア国債の売り、さらには欧州株全般に売りが広がりユーロドルは水準を切り下げる展開となりました。このユーロ売りの動きはNYの引けまで続き、1.1359レベルの安値をつけそのまま安値圏での引けとなりました。

11月21日(水)
ユーロドルは、イタリア予算案に対してEUからどのような言及があるのかを警戒していましたが、イタリア副首相が修正に応じる構えを見せたことからユーロ買い、その後連立の同盟が否定したことでユーロ売りとなりました。しかし米国の休日を前に取引は手控え気味で1.13台後半を中心とした小動きに留まる1日でした。

11月22日(木)
NY市場が休場となることから基本的に小動き。ユーロドルは、ドル円同様にドルの上値の重たさから底堅い展開で始まり、欧州市場では英国と欧州の間でブレグジット案での大筋合意に一時的な買いも見られました。しかしイタリア予算案が不透明なこともあってユーロは元の水準へと行って来いの引けとなりました。

11月23日(金)
東京市場が休場でアジア市場は小動きでしたが、欧州市場序盤に発表された経済指標が弱かったことをきっかけに売りが先行。その後ブレグジット案の大筋合意はあくまでも対欧州の話で、英国内では依然として議会承認が得られるかどうかの懸念が残っていることから、ポンドが前日に上げる前の水準へと反落し、ユーロの売りとなりました。NY後場には1.1328レベルと週間安値を更新し安値圏での週末クローズとなりました。

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