今週の週間見通し
先週のドル円は日米の祝日が週後半にあったことも大きいとは言え、一週間の値幅がわずか85銭とほとんど動きは見られませんでした。金融市場では世界的な景気減速の懸念も広がりリスクオフ方向へ動きやすい地合いの中、ドル円相場はほとんど影響が無く年末に向けて次の材料探しという状態が続いています。
次の材料として今週はパウエルFRB議長をはじめとする各地区連銀総裁の講演が続きますし、週末には米中首脳会談も含めてのG20が開催されます。前者は最近の景気減速懸念から来るハト派的な発言が更に弱気なものとなるかどうか、12月の利上げは織り込み済みであるものの来年の利上げは果たしてこれまでの想定通りのものとなるのか、最終的には12月19日のFOMCを待たねばなりませんが、思惑的には非常に神経質になりそうな週です。
また、G20では米国の保護主義が変わることは無いとしても、これまでの対中通商政策に対して何か出てくるのか、これは26〜29日のG20D(事前の事務レベル会議)で漏れ聞こえてくる可能性もありますので、米国が対話姿勢を見せるかどうかで、それ以降の日米あるいは米欧の通商協議への思惑が出てくると言えそうです。
ただ、最近のドル円を見ていると、それでも動かないのではないかと早くもクリスマス相場になってしまったのではないかという印象です。2018年はここまでのレンジがわずか9円88銭と変動相場制に移行した1973年以降で最小値幅に留まっていますし、年末までにこのレンジを広げる可能性も消えつつあります。おそらく為替市場参加者はドル円よりもユーロやポンドに興味が移っているでしょうし、より広くは株式やコモディティでの取引にシフトしていると考えられます。
日足チャートもご覧ください。動きも少ないので拡大してみましょう。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
少なくとも10月レンジを抜けだすことは無いでしょうが、10月後半の安値111.38から11月高値114.20までの上げに対し11月安値はほぼ61.8%押しの水準で下げ止まりました。直近では11月高値と11月安値112.30との戻しを考えると半値戻しが113.25、61.8%戻しが113.47、おそらく後者の水準となる113円台半ばでは売りが出やすくなりそうです。そして、下値は11月安値を抜くことも難しそうなので1円レンジを考えるなら112円台半ばです。
今週は材料はあり一時的に動く可能性はありますが、112.50レベルをサポートに、113.50レベルをレジスタンスとする週を見ておこうと思います。なお、他の金融市場ではリスクオフが目立っているという認識だけは持っていた方がよいですし、大きく動く場合も円高となりやすいはずです。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優12先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
11月26日(月)
06:45 NZ7〜9月期小売売上高
07:15 豪中銀総裁講演
18:00 ドイツ11月ifo企業景況感
18:00 プラートECB理事講演
23:00 ドラギECB総裁欧州委員会出席
27:30 英中銀総裁講演
30:45 NZ10月貿易収支
**:** G20D(〜29日)
11月27日(火)
16:45 フランス11月消費者信頼感
19:00 南ア10〜12月期企業信頼感
23:00 米国9月住宅価格指数
23:00 米国9月ケースシラー住宅価格指数
22:30 クラリダFRB副議長講演
24:00 米国11月消費者信頼感
25:00 メルシュECB理事講演
11月28日(水)
16:00 南ア7〜9月期消費者信頼感
21:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
22:30 米国7〜9月期GDP改定値
24:00 米国11月リッチモンド連銀製造業指数
24:00 米国10月新築住宅販売件数
24:30 週間原油在庫統計
26:00 パウエルFRB議長講演
29:30 (アトランタ、カンザスシティ、シカゴ各地区連銀総裁講演)
11月29日(木)
07:00 NZ中銀総裁会見
09:00 NZ11月企業信頼感
15:45 スイス7〜9月期GDP
16:45 フランス7〜9月期GDP改定値
17:00 ドラギECB総裁講演
17:55 ドイツ11月失業率
18:30 南ア10月PPI
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感
22:00 ドイツ11月CPI速報値
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国10月個人所得・消費支出
24:00 米国10月住宅販売保留件数
28:00 FOMC(8日)議事録公表
28:00 (シカゴ連銀総裁講演)
11月30日(金)
08:30 本邦11月東京区部CPI
08:30 本邦10月失業率・有効求人倍率
09:01 英国11月GFK消費者信頼感
10:00 中国11月製造業PMI
16:00 ドイツ10月小売売上高
16:00 トルコ10月貿易収支
16:45 フランス11月CPI速報値
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値
19:00 ユーロ圏10月失業率
21:00 南ア10月貿易収支
23:00 NY連銀総裁講演
23:45 米国11月シカゴ購買部協会景気指数
**:** G20(〜1日)、米中首脳会談
*訂正:27日と28日の予定を一部修正致しました。
前週の主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
11月19日(月)
東京市場のドル円は動意薄でほとんど動かない状況がNY市場まで続きました。NY昼前にダウが下げる動きとともにリスクオフでドル円にも売りが入り112.42レベルの安値をつけた後、若干戻して引けましたが一日のレンジも40銭強と基本的に静かな一日でした。
11月20日(火)
ドル円は前日の下げの影響が残りNY前場までは安値圏でのもみあいが続き、NYの朝方には一時112.30レベルの安値をつけました。しかし、株式市場が大きく下げる中でも112円台前半を積極的に売る動きは見られず、ユーロドルの売りに引っ張られる形でドルの買い戻しが入り、112.84レベルと前日のもみあい水準を回復後に若干押して引けました。
11月21日(水)
ドル円は前日夜間取引を含めて大きく下げた日経平均株価が行って来いとなったことから終日リスクオンの動きとなりました。しかし日米の祝日を控えていることもあって値幅は伴わず、113.15レベルの高値をつけた後も113円近辺での小動きで引けました。
11月22日(木)
NY市場が休場となることから基本的に小動きとなったものの、ダウ先物が夜間取引で上値の重たい展開となっていたことを受けドル円は売りが先行しました。その後も上値は重たかったものの海外市場ではほとんど動きのないまま引けました。
11月23日(金)
東京市場が休場となることから同意薄ではあったものの、アジアの主要株価指数が下げる動きから前日同様にリスクオフの動きが続きました。欧州市場に入るとユーロが対ドル、対円で大きく売られたことからドル円にも売りが目立ち、NY市場の朝方には112.67レベルまで水準を切り下げましたが、ユーロが続落する動きがドル買いにつながり、またNY市場ではユーロ円が底固めする動きとなったことから買い戻、113円近くまで戻しての引けとなりました。
ディスクレーマー
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