トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、前週高値圏をレジスタンスにしつつ利上げ前の水準をサポートと考え「18.60レベルをレジスタンスに17.60レベルをサポートとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が17.32レベル、高値が18.26レベルと30銭ほど予想よりも弱い水準での推移となりました。
先週のトルコリラは、エルドアン大統領が変わらず引き締め政策を非難する発言をしたことにより、週初から大きく下げて始まりました。週半ばには前週のトルコ中銀による利上げ前の水準へと完全に行って来いとなり一段のトルコリラ安懸念が広がりましたが、経済計画の発表が控えていることもあり、それ以上の売りは出ませんでした。しかし、経済計画自体は市場の期待には届かず、発表前後には細かく上下し週初の水準よりも若干低い水準での週末クローズを迎えました。
今週はトルコ自体の経済指標などのイベントは無いものの、国連総会にエルドアン大統領が出席し演説をすることとなっていますし、それに前後して米国に滞在するためエルドアン大統領がどのような発言をするのかに注目が集まっています。そうした中で、WSJ紙が23日トルコ国内で拘束されている米国人牧師についての観測記事を載せました。
同記事によると、トルコのオフィシャル(関係筋)の話として米国人牧師ブランソン氏は10月12日にトルコの裁判所に出廷するが、米国側のトルコに対する制裁を解除すれば、トルコも米国人牧師解放を決定する可能性がある、という趣旨の内容です。あくまでも観測記事ですが、ニュースソースが関係筋の話であることや、ちょうど国連総会に合わせてエルドアン大統領が米国滞在していることもあって期待は高まっています。
週明けのトルコリラは上記記事を好材料として買いが先行し、昨日のトルコリラは対ドルでは先週のドル安値(トルコリラ高値)を下抜け、対円では先週、先々週の高値を上抜け18.60レベルまで高値を切り上げる動きを見せました。先々週のエルドアン大統領の発言による下げを、今回の記事が取り返した格好となり、エルドアン大統領がネガティブな発言をしなければ、いったんトルコリラ安の動きは終わったということになりそうです。
ただ、蓋を開けてみなければわかりませんし、10月12日まではまだ半月ありますので、現時点では経過を見守るしか無いと思います。またトルコリラに限ったことではありませんが、今週のFOMCによる利上げは織り込み済みというものの、新興国通貨にとっては一段の米国への資金還流を招く恐れがあり悪材料です。今回は四半期末とも重なりますので、こうした投資家筋の需給面での動きにも気をつけたいところです。
それでは、テクニカルな観点からも考えてみましょう。いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
下段ではドル円の円安の動きが2週間以上続いていますし、中段のトルコリラは3週間以上ドル安・トルコリラ高の動きをピンクのレジスタンスラインの下で続けています。結果としてトルコリラ円も3週間上昇トレンドを継続していることとなります。幅は広いですが現在のトルコリラ円はピンクの上昇チャンネルの中での動きとなっていて、上に見える青の水平線を視野に入れ始めたところです。
この水平線19.40はトルコリラ急落後の戻り高値となっていて、テクニカルにはこの水準を上抜けて初めてトルコリラ円は底を打ったという判断が確定します。そういう意味で、今後も19.40を明確に上抜けられるかどうかが、トルコリラ円の重要なポイントと言えます。今週はまだ距離がありますが、昨日の上げもあって上昇トレンドに弾みをつける可能性も出てきました。エルドアン大統領次第ではありますが、期待先行が今週は続くと見て昨日安値の17.70レベルをサポートに18.80レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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