今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、ドル円同様に株高によるリスクオンの動きからユーロ円の買いがユーロドルの上昇につながった一週間となりました。イタリアの財政規律遵守といったポジティブな材料も見られましたが、史上最高値を更新したNYダウや日経平均の上昇がユーロ円の買い、そしてユーロドルにも買いが出たと一言でまとめてよさそうです。
しかし、英国のメイ首相をはじめブレグジットに関わる要人の発言には気になるものが多く、おそらく当初予定の10月にはEUと英国との間で協議がまとまらないという流れであると考えられます。その後、どこまで期限を延ばせるかはわかりませんが、後ろが来年3月と決まっている以上は遅くとも11月下旬という線が多くの人の見方です。おそらく、実際に合意というニュースが出て来るまでは、合意無しの離脱という懸念材料が常に付きまとうことによるポンド安、そしてそれがどの程度ユーロ安に影響するかというのが今後のテーマとなりそうです。
さて今週は欧州関係も連日材料が多いのですが、先週末に前後して日米、米欧の通商協議が行われることが決まり、今回だけでまとまるとは思えないものの米中間やNAFTAにおける交渉を見ている限り、米国は強気で出て来ることは間違いありません。しかし、ここまでの動きを見ても分かる通り、最近ではユーロ円の動きの影響が大きく今週に関しては引き続きユーロ円の動きが材料とされやすいと考えられます。
そして日米間、米欧間、これら2つの通商協議を比べた場合、米国の圧力に弱そうなのは日本です。日本側としては自動車への追加関税は避けたいと言っていますが、果たしてそう簡単に米国側が納得するとは思えません。ライトハイザーUSTR代表は対日強硬派でしられますので、日本に圧力をかけやすいとなるとそれが円買いとなり、ユーロ円でも円買い、つまるユーロドルも下げ圧力が加わりやすいと考えています。
また先のポンドの動きも金曜から売りが強まっているため、ユーロ売りにつながっての週末クローズでしたから、もう一段のポンド売りが出て来る場合にもユーロは下げやすいと言えるでしょう。そうしたバイアスもかけながらチャートをご覧ください。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
9月中旬以降のユーロの上げは、8月安値を起点に8月末までの上げ、その後9月安値までの押しを挟んで、8月高値を抜けたことで上昇N波動のパターンを完成させました。この場合のターゲットをフィボナッチエクスパンションで考えると61.8%エクスパンションが1.1793(青のターゲット)とほぼ先週高値に重なる水準です。また、この水準は7月高値1.1791とも重なりますので、ここに至る上昇相場の転換点と考えることが可能です。
材料的にユーロの上値が抑えられやすいことから、先週高値が今週もレジスタンスとなりやすいと言えます。また下方向では6月高値から引いたレジスタンスライン(ピンク)が上抜けの後に現在は1.16台後半を下降中です。多少の幅を見て1.16台半ばが最初のサポート、そして9月レンジの半値とも重なる水準です。次のサポートとしては9月レンジの61.8%押しにあたる1.1632(赤のターゲット)、今週はこの後者の水準がサポートとなりそうです。
今週のユーロドルは、引き続きユーロ円の影響を受けやすく1.1630レベルをサポートとしながら、先週高値圏1.1800レベルをレジスタンスとするもみあいを継続を考えています。
今週のコラム
ここに来て改めて合意なき離脱というハードブレグジットのリスクが高まってきています。もちろん急転好材料が出て来る可能性もありますが、目先のポンドは下値をトライしやすい地合いにあると言えます。今週はポンドドルの日足チャートから短期的な下値のターゲットを見てみましょう。
ポンドドル日足
ポンドは8月安値を起点に8月末までの上げ、その後9月安値までの押しを挟んで先週高値をつけるという上昇N波動自体はユーロドル同様です。127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションにあたる1.3270(青のターゲット)に近い1.3299で高値をつけ大陰線を出現させました。9月レンジの半値1.3042には至近ですから、次の61.8%押しの1.2982(赤のターゲット)が視野に入っていると言えます。大台1.30ともほぼ重なりますので、現状のポンドは1.30の大台を試しやすい展開にあると考えられます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
9月24日(月)
17:00 ドイツ9月ifo景況感指数
22:00 ドラギECB総裁講演
**:** 日米通商協議
9月25日(火)
15:00 ドイツ8月PPI
17:10 プラートECB理事講演
**:** 米欧通商協議
9月26日(水)
15:45 フランス9月消費者信頼感
27:00 FOMC結果発表
27:30 パウエルFRB議長会見
9月27日(木)
15:00 ドイツ10月GFK消費者信頼感
17:00 ECB月報
18:00 ユーロ圏9月消費者信頼感確報値
21:00 ドイツ9月CPI速報値
22:30 ドラギECB総裁講演
23:00 英中銀総裁講演
26:05 プラートECB理事講演
9月28日(金)
08:01 英国9月GFK消費者信頼感
15:45 フランス9月CPI速報値、8月PPI
16:55 ドイツ9月失業率
17:30 英国4〜6月期GDP改定値
18:00 ユーロ圏9月CPI速報値
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.1624 1.1803 1.1618 1.1753
ユーロ円 130.14 133.13 130.10 132.30
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
9月17日(月)
ユーロドルは東京市場では動意薄だったものの、欧州市場序盤にイタリアの財政赤字がGDPの1.6%維持と市場参加者の思惑よりもはるかに良い内容だったことをきっかけにユーロ買いが先行しました。その後もユーロはじり高の展開を辿り、トランプ大統領が引け後に対中関税について発表すると発言したことがドル売り(ユーロ買い)となりました。
9月18日(火)
ユーロドルは、基本ユーロ円の動きに沿った動きを続け底堅い展開、欧州市場序盤にEU大統領によるハードブレグジットの可能性についての言及で押しを挟んだ後、NY市場では1.1725レベルと先週高値を上抜けました。しかし、引けにかけてはダウが大きく上昇する中、ドル円のドル高の動きにつられてドル買いの動きから1.16台半ばへと日中安値を更新したのちにやや戻して引けました。
9月19日(水)
ユーロドルは東京市場では堅調、ブレグジット懸念後退と堅調な株式市場を見てユーロ円で買いが出たこともユーロ買いにつながりました。しかし、1.17台では昨日同様に売りが出てきたところで、メイ首相がEUが提示したブレグジット案を拒否したことからポンド売り、それにつられてユーロも行って来い。その後は1.16台後半でもみあいのまま引けました。
9月20日(木)
ユーロドルは東京市場では動きは見られなかったもの、欧州市場に入ると1週間ほど上値の重かった1.1720レベルを上抜け、ストップオーダーも巻き込みながら1.17台後半へと上伸、NY市場では米欧間の通商協議が始まることとNYダウの上昇がユーロ円の買いにつながり、ユーロドルも1.1785レベルの高値をつけ高値圏での引けとなりました。
9月21日(金)
ユーロドルは、東京市場ではユーロ円の買いが主導して底堅いものの値幅は狭く1.1803と一時大台に乗せての海外市場入り。英国メイ首相のブレグジットに関する発言を前に警戒感も高まる中、悪い合意よりは合意なしでの離脱と述べたことからポンドが売られ、ユーロも足並みを揃えて下げる結果となりました。NY市場では1.17台前半まで水準を下げ安値圏での引けとなりました。
ディスクレーマー
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