今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週初が安値でその後は週末まで、対ドル、対円ともじり高の動きを続け、金曜NY市場で調整の売りが入った一週間でした。先週の見通しでは上昇に限界があり、テクニカルにも下げやすいと見ていましたが、ドル円週報同様に完全に方向を見誤ってしまいました。
これはドル円ではドル高、ユーロドルではユーロ高(ドル安)とドルの方向性以上に外貨買い的なリスクオンの動きが目立ったためと考えられます。先週は225先物の到達確率チャートを見ても分かるように、月曜週初の安値(GLOBEX12月限)22080円から金曜高値の23095円まで1000円以上の上昇を見せました。株価指数の上昇はダウやDAX等の主要株価指数でも同様で、DAXも安値圏から反転する動きに繋がりました。
完全にリスクオンの動きから来るものですが、イタリアの財政問題とブレグジットと欧州関連の懸念が後退したことに加え、米中間の貿易摩擦後退思惑も株式市場に好材料と考えられ、ドル円もユーロドルも上昇し、ユーロ円は月曜安値127円台後半から金曜高値131円台前半まで3円以上も上昇する動きとなりました。こうした一連の動きからユーロドルはテクニカルにも下降トレンド入りを否定される動きにもなったわけです。
今週のユーロドルは、週前半のドラギECB総裁講演と週末の欧州主要国PMI速報値程度で週の間には目立った材料がありません。ただ、21日に予定される第2回日米通商協議に向けてトランプ大統領の発言が対EUについても出て来る可能性はあり、その場合は調整の株安がユーロ売りとなるのか、あるいは先月の対ユーロでのドル高牽制発言を意識したユーロ買いとなるのか、市場参加者の初動を見ないと何とも言えないところがあります。ただ、発言が出て来るかどうかは未知数ですから、今週は先週のユーロ高トレンドを継続するのか調整が入るのか、このあたりを考えることになるでしょう。
材料面では何とも言えないため、テクニカルな観点から見てみます。ユーロドルの日足チャートをご覧ください。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
8月下旬から9月上旬までのヘッド&ショルダーの形状は、結局はネックライン(黄色のラインマーカー)で反発上昇、下げ方向への動きを否定されたことがわかります。しかし、金曜の上げも中途半端で高値1.1722と8月高値を超えることが出来ませんでした。つまり現在のユーロドルは、9月安値1.1526と8月高値1.1734との間で次の方向性を探りつつ、先週の上げに対する調整が入りやすいという位置にあります。
今週のユーロドルは、同レンジの78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.1568レベルをサポートとしながら、先週高値1.1722レベルをレジスタンスとするもみあいを継続しやすいと言えるでしょう。
今週のコラム
ユーロ円が強い地合いが続いています。株高によるリスクオンもありますが、主要欧州通貨の対円での動きを見ていると、ユーロ円はまだそれほど上がっていないとも見ることが出来ます。上からユーロ円、ポンド円、スイス円の3つの日足チャートを並べて見ましたのでご覧ください。
8月末の高値からはピンクの点線で、4月高値からは水色の点線で先週金曜高値との比較のラインを引いてあります。
ユーロ円とポンド円を比較すると、8月末の高値との比較では最近のブレグジット協議進展の思惑もあってポンド円がリードしています。しかし4月高値との比較ではどちらもまだ低い水準にとどまっています。連動している通貨ペアでの値動きの差程度ですが、ユーロ円が今後ポンド円についてくるとしたらもう少し上値が残っていそうです。
いっぽうスイス円は、8月高値からの上昇ももっとも大きく、また4月高値との比較では既に7月段階で上抜け、かなり高い水準にあります。これはスイスフランが避難通貨として見られることから新興国通貨が売られる中でスイスフランに買いが出ていたことが主な理由と言えます。同じ欧州通貨でもあまり連動という考え方はし難い通貨ということがわかります。ただ、スイス円が欧州通貨をリードすることもありますので、時々チェックしておきたい通貨ではあります。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
9月17日(月)
18:00 ユーロ圏8月CPI
9月18日(火)
16:15 ドラギECB総裁講演
9月19日(水)
17:00 ユーロ圏7月経常収支
17:30 英国8月CPI、PPI
22:00 ドラギECB総裁講演
9月20日(木)
16:30 スイス中銀政策金利発表
17:30 英国8月小売売上高
23:00 ユーロ圏9月消費者信頼感速報値
**:** EU首脳会合
9月21日(金)
15:45 フランス4〜6月期GDP確報値
16:15 フランス9月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ9月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏9月製造業・サービス業PMI速報値
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.1561 1.1722 1.1526 1.1622
ユーロ円 128.23 131.11 127.87 130.23
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
9月10日(月)
ユーロドルは、東京市場では前日の下げを継続し後場には一時1.1526レベルと前週安値を割り込みましたが1.15の大台はトライしきれず欧州市場入り。欧州市場では英国の強いGDPを受けポンド買いがユーロの買い戻しを誘い、その後ブレグジットに関してEU首席交渉官が6?8週間での合意見通しに言及するとポンドが大幅高となり、ユーロドルもさらに上値を切り上げる展開となりました。またイタリア財務相の財政規律の遵守見通しも好感され、日計り組のストップも巻き込みながらNY前場には1.1616レベルの高値をつけ、その後は高値圏でもみあいのまま引けました。
9月11日(火)
ユーロドルは、東京前場こそ全般的なドル買いの動きで下押しする場面も見られましたが、イタリアとブレグジットの懸念が薄れていることから、その後欧州市場に向け買いが強まり、前日高値を抜けるとストップオーダーも巻き込みながら1.1644レベルの高値をつけました。その後は大口の売りが出て下げの動きも大きく、日計りでコストの悪い買いを持った筋の投げも重なり1.1566レベルまで下げる動きとなりました。NYの引けにかけては押し目買いも見られ1.16台を回復して引けました。
9月12日(水)
ユーロドルは東京市場では上値が重たい流れとなっていましたが、欧州市場序盤以降はドル円と足並みを揃えてのドル売り、ユーロがじり高の動きとなる中で弱い米国PPIにも反応して週間高値を更新しました。しかし前週同様に1.1650レベルでは売りオーダーも並んでいて引けにかけてはやや押して引けました。
9月13日(木)
ユーロドルは、欧州市場序盤まではドル円同様ドル高がユーロ売りとなっていましたが、英中銀MPC、ECB理事会と重要イベントを無風通過、ドラギECB総裁の会見もサプライズが無かったことから海外市場に入ってからは買い戻しが目立ちました。トルコ中銀の大幅利上げ決定や株高の動きからユーロ円が大幅高となった影響もあって、ユーロは引けまで対ドル、対円ともに買いが強まり、ユーロ円は131円目前まで上昇後に高値圏で引けました。
9月14日(金)
ユーロドルは欧州市場序盤に一時的な買いが見られたものの後が続かず、NY市場に入ると強めの米国経済指標に反応しドル買い・ユーロ売り、その後も地区連銀総裁のタカ派発言も重なり、ユーロドルは週末前のポジション調整により高値から100pipsほど下げた後そのまま安値圏でのクローズとなりました。
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