今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週初の段階で5月から続くトライアングルを下抜けたことで上がっても下がってもユーロ売りに結びつきやすいスタートを切りましたが、木曜東京市場までは一貫した押し目買いの動きが続きました。これまでも1.15の大台手前で反発する動きを繰り返してきましたが、月曜に売りが強まった時にも1.1530レベルとトライしきれなかったことから、改めて買いが出た印象です。
しかし、木曜にトルコリラ円が史上最安値を更新する動きから、クロス円全般に円買いが目立つ動きとなりユーロ円でもユーロ円の売りが強まったことからユーロドル売りと、連鎖する動きによりユーロが月曜安値をトライして金曜に入りました。そこにECBが欧州の銀行が保有するトルコ資産に懸念を示したことで、ユーロ売りがトルコリラ売り、またユーロ売りとこちらも連鎖する動きをトルコとユーロの間で繰り返しました。
結局トルコリラが暴落相場となったことでユーロドルも1.13台後半へと水準を大きく下げ、昨年7月以来の安値を見ての週末クローズとなったのですが、この1年ぶりの安値水準に入ってきたことで、ユーロドルは更に地合いが悪くなってきています。
今週はユーロ各国の経済指標が出てきますが、焦点が米国対トルコの情勢となりますし、なんといっても長期のチャートの形の悪さが、今週も上がっても下がってもユーロ売りの動きに繋がるのではないかとの懸念しか持てません。
まずは次のユーロドル週足チャートをご覧ください。
水色の点線で示したような変形ヘッド&ショルダー型のリバーサル(反転)パターンと見ても良いでしょう。トライアングルが数か月程度のパターンに対して、こちらは1年超の長期チャートパターンです。ネックラインをピンクの点線1.1508と考えると、ターゲットは1.0461とかけ離れた水準となってしまいますので、ここでは2017年安値1.0338と2018年高値1.2555をベースにフィボナッチリトレースメントを考えます。
既に半値押しの1.4447は下抜けていますので、61.8%押しを考えます。この61.8%押しの1.1185が中期的なユーロドルのターゲット(赤のターゲット)になってくると考えています。
次に日足チャートもご覧ください
日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
収支チャートの拡大版ですから、トライアングルの下抜けがよくわかります。ご丁寧に下抜けた後のプルバック(ダマシの戻し、ピンクの丸印)でサポートライン近辺へと戻してから下げたことで、下げがよりきつくなるパターンです。ここでは、6月高値から6月安値への押し、その後に7月高値への戻しを3点とした逆N波動によるフィボナッチエクスパンションを考えます。すると、100%エクスパンションの1.1447が先の半値戻しと一致することがわかります。
先の61.8%押しの手前では127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが1.1354となっていて週初は同水準を試し、その後の展開次第では161.8%エクスパンションにあたる1.1235レベルをトライしやすい地合いにあると言えます。今週は更なる下げの可能性を考え、1.1250レベルをサポートに、1.1450レベルをレジスタンスとする値動きを考えておきます。
今週のコラム
先週時点では「上値の重たい展開を継続しやすく、まずは128.30、次に127円台半ばをターゲットとする流れ」を考えましたが、ことごとくターゲットを下抜け既に125円台に入ってきています。
先週のチャートから抜けてしまったターゲットを消し、新たなターゲットを示した日足チャートをご覧ください。
現在のターゲットは5月安値の124.61であることは明確です。しかし、同安値を下抜けた場合には目立ったサポートが無いことも事実で、あえてあげるとなると昨年6月安値の122.40くらいです。そこで前回も示した7月高値を起点とした逆N波動にフィボナッチエクスパンションを計算すると127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが123.70となります(青のターゲット)。
現在のユーロ円は、ユーロドル同様にトルコリラ情勢も見ながら一段安を考えるべき地合いにあると考えるべきでしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
8月13日(月)
特になし
8月14日(火)
15:00 ドイツ4〜6月期GDP速報値
15:45 フランス7月CPI改定値
17:30 英国7月失業率
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP改定値
18:00 ドイツ8月ZEW景況感
8月15日(水)
17:30 英国7月CPI
8月16日(木)
15:00 ドイツ7月PPI
17:30 英国7月小売売上高
18:00 ユーロ圏6月貿易収支
8月17日(金)
18:00 ユーロ圏7月CPI改定値
前週のユーロレンジ
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
8月6日(月)
ユーロドルは、東京市場では動きが無かったものの欧州市場に入り売りが強まったポンドの動きを見て1.1530レベルへと安値を切り下げましたが、その後はユーロポンドでの買いや相変わらず1.15台前半に残っているユーロ買いオーダーに阻まれて反発、1.1570レベルと日中高値を更新後にやや押しての引けとなりました。
8月7日(火)
ユーロドルは、基本的にドル円とドルの歩調を合わせる動きとなり、NYの朝方まではユーロ買いが目立ちました。その後は米国株が上昇する動きも手伝ってドル買い・ユーロ売りとはなったものの、リスクオンによるユーロ円の買いも強かったことで、比較的底堅い地合いのまま引けました。
8月8日(水)
ユーロドルは、東京後場まではドル売りの動きで買いが先行していたものの、ポンド売りに引っ張られて売りへと転じ、NY朝方には1.1574レベルの安値をつけた後に米株安によるドル売りからユーロの買い戻しが入って引けました。
8月9日(木)
ユーロドルは、東京市場では動きが見られませんでしたが、欧州市場に入りユーロクロスの売りが目立ちじり安の動き、その後は対新興国通貨での円買いがリードする形でユーロ円が大幅安。ユーロ円の売りがユーロドルへと波及しNY市場では一貫して売りが続き1.1526レベルと週間安値を更新しての安値引けとなりました。
8月10日(金)
ユーロドルは、トルコに資産を持つ欧州系銀行に対してECBが懸念を示したことからユーロ売りが先行、米国のトルコに対する制裁関税からトルコリラが急落するとさらにユーロが売られと、ユーロドルは1.1388レベル、ユーロ円も126.02レベルの安値をつけました。
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。