今週の週間見通し
先週のドル円は、日米通商交渉に注目が集まりましたが、早期から交渉が続いているNAFTAでさえまとまっていませんし、対中国の貿易摩擦は激化するばかりの中、日本だけがまとまるとは到底思えません。やはり次回9月の交渉に持ち越しと、具体的な内容は特に出て来なかったという点では米欧間の首脳会談と似た結果と言えます。次回以降に具体的な方向性が出て来る可能性はあるものの、それまでの間は円高材料として思惑が独り歩きするのではないかと考えられます。
それ以上に影響が大きかったのはトルコリラの暴落です。ECBがEUの銀行が持つトルコの資産に対して懸念を示したことからユーロとトルコリラ双方が大幅安となっているところに、米国トランプ大統領が対トルコの追加関税を倍増させる制裁を加えたことから、トルコリラは暴落相場となりました。トルコリラ円は1日で20%弱の売りが出たことで、トルコリラ円、ユーロ円をはじめクロス円ではリスクオフの円買いとなりました。
週明けもこのリスクオフ相場が再開し、前場の段階で110円の大台をトライするような動きを感じさせます。今週は材料的には米国の経済指標が連日出て来るものの、方向性を決定づけるようなものも無く、先週末からのトルコリラ暴落をきっかけとしたリスクオフ相場がどこまで続くのか次第の週となってくるでしょう。
いまのところ米国人牧師が解放されるかどうかが最大の焦点ですが、トルコ側も米国に対して意地になっているようにも見えますので、一度状況が悪化しそこから打開策を探るようなこれまでにも見てきたような流れになるのではないかと予想します。
チャートもご覧ください。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
テクニカルには日足チャートをご覧いただくとわかりますが、5月安値からのサポートライン(青)を水曜に下抜け、現状では7月高値からの下降チャンネル(水色)内での動きに変化してきています。この下降チャンネルの中でのドル安の流れを継続しながら、まずは年初来安値(104.64)と7月高値(113.18)の38.2%押しにあたる109.92(赤のターゲット)を試す段階にあると言えます。
110円の大台とも近いため110円の大台トライを今週前半にしながら、更に円高地合いが強まる場合には半値押しとなる108.91(同じく赤のターゲット)をも視野に入れる展開が考えられますし、仮にトライに失敗したとしても下降チャンネルのレジスタンスラインが位置する111円レベルを戻しの限界点としやすい流れです。
今週も上値が重たい地合いの中、レジスタンスラインは上髭で超える程度として111.10レベルをレジスタンスに、大台トライ後は一時的に突っ込む動きを想定し109.50レベルをサポートとする一週間を考えておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
8月13日(月)
特になし
8月14日(火)
10:30 豪州7月NAB企業景況感
11:00 中国7月小売売上高、鉱工業生産
15:00 ドイツ4〜6月期GDP速報値
15:45 フランス7月CPI改定値
17:30 英国7月失業率
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP改定値
18:00 ドイツ8月ZEW景況感
21:30 米国7月輸出入物価指数
8月15日(水)
16:00 トルコ5月失業率
17:30 英国7月CPI
20:00 南ア6月小売売上高
21:30 米国8月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国4〜6月期単位労働コスト速報値
21:30 米国7月小売売上高
22:15 米国7月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 米国8月NAHB住宅市場指数
8月16日(木)
08:50 本邦7月貿易収支
10:30 豪州7月失業率
15:00 ドイツ7月PPI
16:00 トルコ6月鉱工業生産
17:30 英国7月小売売上高
18:00 ユーロ圏6月貿易収支
21:30 米国8月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
21:30 米国7月住宅着工、建設許可件数
21:30 米国新規失業保険申請件数
8月17日(金)
07:45 NZ4〜6月期PPI
08:30 豪中銀総裁議会証言
18:00 ユーロ圏7月CPI改定値
23:00 米国8月ミシガン大消費者信頼感指数速報値
23:00 米国7月景気先行指数
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
8月6日(月)
ドル円は金曜に下げた動きに対する調整が目立ち、狭いレンジながらも安値を切り上げる展開が続きました。しかし、当初予定より遅れて9日から始まる日米通商交渉を前に、111円台後半を積極的に買うほどの勢いも無く動意薄のまま1日を終えました。
8月7日(火)
東京市場からNY市場の朝方までは一貫してドル売りの動きが目立ちました。特段の材料は無かったものの111.50よりも上の水準ではドル売りが見えていたこと、また9日からの日米通商交渉を前にドルの買い手がいったん引いていたことから、NYの朝方には110.99レベルと一時的に111円割れ。しかし、米国株が上昇する動きからドル円の買い戻しに加え、ユーロ円の買いも見られたことで東京朝方の水準まで買い戻されての引けとなりました。
8月8日(水)
東京市場のドル円は前場こそほとんど動きは見られなかったものの、後場に入り日経平均が反落する動きがきっかけとなって円高に動くこととなりました。ワシントンで始まる日米通商交渉に対する警戒感も重なり、欧州市場序盤には110.84レベルの安値をつけました。海外市場に移ってからは110.75以下に買いオーダーが見られる中、ポンドを中心とした欧州通貨売り(ドル買い)に引っ張られ、ドル円も111円台を回復。NYの朝方には111.19レベルまで回復したものの引けにかけては再び株安とともにじり安の展開となりました。
8月9日(木)
東京前場のドル円は日米通商交渉を控えてリスクオフの円買いが先行しましたが、思惑的なポジションに対して実需のドル買いがぶつかり、後場には反発し逆にドルの買い戻しを誘発する動きが見られました。しかし上がったところではまだまだ売りたい向きが残っていて高値は111.19止まり、その後は予想よりも弱い米国経済指標に反応して110.85レベルまで押した後、買いもまた残っていて引けにかけては111円台に戻して引けました。
8月10日(金)
ドル円は110円台後半で細かく上下に振れながらも上値の重たい展開を続けました。終日リスクオフの円買い材料には事欠かず、株価の下落、トルコリラ暴落、そしてユーロ円をはじめとするクロス円での円買い、日米通商交渉の9月への先送りと、どちらかというとドル円の底堅さの方が不思議なくらいでした。実需のドル買いもそれなりに出ていたのでしょうが、結局110.51レベルを安値に110.89レベルへと戻して引けました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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