ドル円は「脇役」、レンジ取引続く可能性も(8月2週)

週末にかけては注目の「日米貿易協議」が実施されたが、東京勢が「盆休み」となる前の動意は、ドル/円はレンジ取引を脱却することが出来なかった。

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ドル円は「脇役」、レンジ取引続く可能性も(8月2週)

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先週のドル/円相場は、依然小動き。週末にかけては注目の「日米貿易協議」が実施されたが、東京勢が「盆休み」となる前の動意は、トルコリラやユーロ、ポンド、NZドルなどに持っていかれ、ドル/円はレンジ取引を脱却することが出来なかった。

前週末に、クドロー米NEC委員長から「中国は通商で米を過小評価すべきでない」と発言が聞かれる一方、中国外相による「彼は中国側からより強い反撃を期待しているようだ」と応酬するコメントも聞かれた。米中貿易戦争懸念が再び強まったこともあり、前週に比べ、やや円高気味でオープンしている。

ドル/円相場は、111.20円前後で寄り付いたのち、週間高値である111円半ばを記録するも上値は重い。週間を通して、およそ1円レンジと積極的な動意に欠けるなか、週末にかけてドルはじり安、緩やかな下降をたどっている。結局、110円半ばまで値を下げ、そのまま週末NYは110.80-90円で取引を終え、越週となった。

一方、週間を通して注目された材料は、継続案件である「米貿易問題」と「北朝鮮情勢」。
前者については、米中で前述の行動に続き、「米通商代表部、対中関税第2弾を23日に発動」すると発表したことに対し、中国が即座に同程度の対抗措置に踏み切る姿勢を示すなど、落とし所の見えない泥沼状況に。また、米中だけでなく、10日に実施された「日米貿易協議」に関する報道なども話題に。なお、日米貿易協議は当初一日だけの予定が二日間開催されたものの、それでも個別案件の決着はなく、進展したのは「9月に次回会合を開く」といった内容だけだった。

対して後者は、北朝鮮が日本や米国だけでなく、韓国に対しても再び警戒心を示す行動に動き始めたことが思惑を呼んでいた。一例を挙げると、日本に対しては労働新聞が「日本のプルトニウム保有は人道に対する罪」などと強く批判、米国には北外相が国連で米国を非難したうえで、「一方的な非核化には応じられない」と発言していた。加えて、韓国については、やはり労働新聞が「北朝鮮は南北関係改善の流れに逆行、と韓国軍を非難」と報じていたという。

<< 今週の見通し >>

先週もっとも動いた通貨はトルコリラで、以下はユーロ、ポンド、NZドル−−などとなる。つまり、1週間で1円程度の変動しかなかったドル/円は完全な蚊帳の外に置かれた格好と言えそうだ。今週は週の半ば以降、とくに米経済指標の発表が相次ぐなど材料がまったくないわけではないが、先週までの流れを継ぐ格好でドル/円は基本「脇役」か。東京勢がいわゆる「盆休み」で流動性が乏しくなることもあり、「主役」の座は引き続きトルコリラやユーロなどに譲る形で、狭いレンジ内での一進一退が続く可能性も否定出来ない。

材料的には、引き続き「米貿易問題」と「北朝鮮情勢」といった要因が気になるが、それ以外では「米国とトルコの外交関係緊張」「英国のEU離脱方法の強硬ハードランディング懸念」「カナダとサウジアラビアとの外交関係悪化」−−など、欧州通貨やポンド、カナダドルの動きを警戒すべき要因も目に付く状況となっている。続報などを含む、それらニュースに一喜一憂する展開を予想する声も少なくない。

テクニカルに見た場合、7月4週(23-27日週)は週間を通して1円未満の変動に留まったが、翌8月1週(7月30日-8月3日週)には1.4円ほどの変動と復調の兆しをみせていた。しかし、先週の変動は1週間を通しておよそ1円と、再び膠着の度合いを強めている。完全な夏枯れの様相だ。

そういったここ数週間のレンジを如何に放れていくのかが、今週のひとつのポイントに。ちなみに、下放れるとすれば、次のサポートは移動平均の200日線や52週線などの長期線も位置する110円前後から110.20円レベルとなる。また、日足・一目均衡表の観点では、週末NYクローズが110.40円レベル以下となれば、先行帯の雲を一気に下抜けることになりかねず、ドルの弱気派が勢いを増しそうだ。

一方、材料的に見た場合、8月のNY連銀景況指数や同ミシガン大消費者信頼感指数速報値など、最新8月分の米経済指標が幾つか発表される見込みだ。それら指標には一応要注意。

米経済指標を除くと、新規の材料はやや乏しいが、前記したように継続的な案件は数多く、なかでも「米国とトルコの外交関係緊張」など、欧州関係の要因にとくに注意を払いたい。ドル/円は直接的な動意を示すというより、ユーロなどほかの通貨の動きに連れて動く可能性もある。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.60-111.60円。ドル高・円安については、先週高値の111円台半ばが最初の抵抗。抜けても111.85円や112.15円などがレジスタンスで、ドルの上値は重そうなイメージだ。

対するドル安・円高方向は、過去2週間にわたるドル安値の110.58円をわずかに下回ったが値は走らず。引き続き短期的には110円半ばの攻防に注視。しっかり下回ると、移動平均の200日線などのほか、5月安値108.11円を起点としたフィボナッチでも重要な110円前後がターゲットとなろう。

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