今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、1.17台半ばでの上値の重さを再確認したという印象が強く、月曜は前週からのドル売りの動きが続かず反落、木曜はECB理事会のハト派的な結果で反落と、きっかけはあるものの1.17台ではユーロ売りが残っていそうな値動きを見せました。
先週は米欧首脳会談に続きECB理事会と重要なイベントは続いたのですが、方向感が出るには至らずで、米欧首脳会談で米国側が得られたという譲歩を今後具体的にどのように展開していくのかは何も決まっていませんし、長引くNAFTAとの交渉や中国に対する異常なまでの追加関税といった動きを見ていると、ようやくこれから始まるというところです。
また、ECB理事会の結果も前回の決定事項を再確認した程度で、何かが変わったわけではありませんし、時間はかかるものの緩和縮小の動きが続くことも事実です。ユーロ圏の金利上昇はトランプ大統領が望むドル安と方向性は同一にするものの、材料的には長期的ですから今すぐどうという話にはなりません。
今週は英中銀MPCで利上げが予想されていますが、利上げについては市場参加者の思惑がわかれていることもあって、実際に利上げされた場合にはポンド買いで反応しやすいことから、一時的にはユーロ買いとなりますが、冒頭に書いた通り1.17台半ばの売りをこなして上昇というところまでは期待でき無さそうです。ただ、トランプ大統領のドル高牽制発言は、今後も影響が残っていくことから、どこかでドル売り・ユーロ買いの動きとなって1.17台半ばを上抜ける動きに繋がる可能性は高いでしょう。
いっぽう下値は1.15の強いサポート、現状では1.16水準にユーロ買いが残っている動きとなっています。今週は経済指標も連日発表されますので、大きくはレンジを抜けることは困難と思うものの、日替わりで上下するような動きは十分に考えられます。
テクニカルにはかなり煮詰まって来ていて、もみあいの値幅を着実に狭める動きとなっています。日足チャートをご覧ください。
ユーロドル日足
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
先週も示したピンクの三角もちあいを上抜けする可能性を考えると、トリプルボトムの値動きとなる可能性が高まりますが、いっぽうで三角もちあいを下抜ける可能性も否定できず、その場合にはもちあい形成前のユーロの下げがきつかったことからコンティニュエイション(継続)パターンとしてユーロ売りの再開を考えることとなります。
材料を考えると、前者の上抜け後のボトム形成の可能性の方が高いのですが、テクニカルには抜けた方について行くというスタンスが正しいと言えます。現時点では材料的にもどちらにも抜け得る状況が今週も続きやすく、それぞれのラインが位置する1.1600レベルをサポートに、1.1730レベルをレジスタンスとする値動きを考えておきます。そして、かなり煮詰まってきていますので、抜けた場合にはそちらに50〜100pips程度の動きが出やすいと考えておくとよいでしょう。
今週のコラム
今週は2日木曜に英中銀のMPCが開かれ、前回MPCの内容や現時点での英国の状況を考えると不透明な部分は残るものの、今回は0.5%から0.75%へと利上げが行われる可能性が高いMPCとなります。以前から8月利上げ思惑は結構強かったのですが、直近ではだいぶ利上げ思惑が下がり、五分五分よりは利上げの可能性が高そうだという程度となっています。
それだけ織り込まれていないという見方をするならば利上げとともにポンドが対ドル、対円で買われる可能性も高いでしょうから、今週はテクニカルにポンドが目指す水準を考えてみることとします。ユーロドルと同様の日足チャートを見てみましょう。
ポンドドル日足
ユーロドルの三角もちあいと異なりポンドドルは着実に水準を切り下げています。ここ2か月ピンクのラインで示したような、やや拡散型の下降チャンネルの中での推移を続けています。長期的には東京のGWの時期に変形トリプルトップのネックライン(ピンクの水平線)を下抜け、そこから下降トレンドが明確になっています。
まだ下降トレンドを継続していますが、2週前に1.30割れの1.2958で短期的安値をつけたとすると、4月高値1.4377とのフィボナッチ・リトレースメントのうち23.6%戻し(赤のターゲット)が1.3293となり、ちょうど下降チャンネルの上側のレジスタンスラインと一致します。いったん1.33前後までポンドが上昇し、そこから下げる動きに回帰すると見るとテクニカルにはきれいですが、果たして利上げとポンド買いの動きが出るでしょうか。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
7月30日(月)
18:00 ユーロ圏7月消費者信頼感確報値
21:00 ドイツ7月CPI速報値
7月31日(火)
08:01 英国7月GFK消費者信頼感
15:45 フランス7月CPI速報値
16:55 ドイツ7月失業率
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏7月CPI速報値
8月1日(水)
16:50 フランス7月製造業PMI改定値
16:55 ドイツ7月製造業PMI改定値
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI改定値
17:30 英国7月製造業PMI
8月2日(木)
17:30 英国7月建設業PMI
18:00 ユーロ圏6月PPI
20:00 英中銀MPC結果公表、四半期インフレ報告
8月3日(金)
16:50 フランス7月サービス業PMI改定値
16:55 ドイツ7月サービス業PMI改定値
17:00 ユーロ圏7月サービス業PMI改定値
17:30 英国7月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏6月小売売上高
21:30 米国7月雇用統計
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.1740 1.1750 1.1620 1.1657
ユーロ円 130.41 130.46 129.13 129.40
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
7月23日(月)
ユーロドルは、東京前場はユーロ円の売りも出て上値が重たいスタートを切りましたが、海外市場に入ってからはドル円の買い戻し同様にドル全般での買いが目立ちました。ユーロの底堅さは残るものの1.17台は維持できずに引けました。
7月24日(火)
ユーロドルは方向感が定まらない展開となり、東京市場ではドル円とともにユーロ円の売りが出たことからユーロ売りが先行しました。しかし、欧州市場に入ると強い経済指標も手伝って反発上昇、メイ首相がEU離脱に関してリーダーシップを取る流れを好感したポンド買いもユーロ買いに結びつきました。しかしその買いも続かずNY市場では前日引けの水準に収束しての引けとなりました。
7月25日(水)
ユーロドルはNY市場まではドル円と歩調を合わせドル売り(ユーロ買い)が先行していましたが、NY市場で自動車関税の話が出た際にはユーロ売りで反応し一時1.1664レベルの安値をつけました。その後、米欧首脳会談においてトランプ大統領がEUからの譲歩を得たとのニュースにユーロは買い戻しが目立ち1.1739レベルまで上伸後に高値圏での引けとなりました。
7月26日(木)
ユーロドルは、東京市場では動意薄、欧州市場序盤に売りが先行しましたが、ECB理事会では来年夏まで利上げが行われないことが再確認されたこと、またトランプ大統領が本日の米国GDPで何が起きるかわかると発言したことをドル買いと捉え、1.1640レベルまで下押ししてユーロ安値圏で引けました。
7月27日(金)
ユーロドルはあまり目立った動きは見られませんでしたが、欧州市場ではブレグジット交渉の難航を嫌気したポンド売りや、米国GDP期待によるドル買いなど、ユーロを下押しする動きも見られました。しかし、GDPが予想通りだったことからNY市場では下げる前の水準へ戻し、その後も方向感が出ず狭い値幅でもみあいのまま一週間を終えました。
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