今週の週間見通しと予想レンジ
今週は東京市場がゴールデンウィークとなりますので、ドル円週報と同様に簡単にまとめておきたいと思います。
先週のユーロドルは、週前半はドル円同様に米金利主導のドル高相場となり、週後半は3月安値を下回ったことからテクニカルなユーロ売りが目立つ一週間となりました。五週間が終わってみると、先週指摘した三角もちあいは週初の段階で下抜け、テクニカルに一段安が懸念されたところに3月安値を下抜ける動きがユーロ売りを加速させる結果となりました。
ECB理事会はあったもののあまり注目されず、ドラギ総裁会見でも「金融政策そのものは討議されなかった」、「一部の経済指標の低下は大幅」とハト派な内容となったもののハト派代表のドラギ総裁としては想定内の発言、また「ユーロの相場について討議しなかった」と最近の動きについても気にしていない様子でした。
先週は材料的には米金利の影響が大きかったのですが、それ以上に大きかったのはテクニカルな要因だったと考えられます。日足チャートをご覧ください。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
先週示した「三角もちあい(薄いピンクのライン)を抜けた方」は、月曜の段階で下抜けし、その後木曜には3月安値(1.2155)も下抜けたことで、当面のユーロ安の流れが確定したと言えます。ここからどこまで下がるかの目安として2つの値幅観測を示しました。
ひとつは、3月高値から4月前半安値までの押し、その後の4月高値までの戻しから計算される逆N波動のフィボナッチ・エクスパンション(青のターゲット)です。もうひとつは、昨年のユーロ上昇相場において比較的深い調整となった11月安値から2月高値までの上げに対するフィボナッチ・リトレースメント(赤のターゲット)です。
前者の127.2%エクスパンションが1.2081、後者の半値押しが1.2055と1.20台半ばから後半が最初のターゲットで、ここは先週すでに見たところです。次のターゲットは前者の161.8%エクスパンションとなる1.1991、後者の61.8%押しとなる1.1937と1.19台半ばとなりますが、その手前には心理的に大きなサポートとなる1.20の大台があります。
現状は1.20の大台をターゲットとしながら、同水準をブレークした場合は上記1.19台半ばの水準を試しに行きやすい流れにあると言えるでしょう。いっぽう上のレジスタンスは3月安値の1.2155、そして4月前半安値の1.2215があります。
今週は各国で休場も多く雇用統計を控えていることから、引き続きユーロ安トレンドを継続しやすいものの大きくは知ることは想定せず、大台1.20のやや手前1.2020レベルをサポートに、4月安値のやや下1.2200レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円のチャートを見てみましょう。
ユーロ円は3月安値(128.95)から上下しながらもユーロ高トレンドを継続し、先週24日にはこの流れにおける高値133.49を示現しました。しかし、ユーロドルが三角もちあいを下抜ける動きからユーロ安の流れが確定し、そのユーロ安の動きがユーロ円でも上昇に短期的には終止符を打った格好となっています。
日足チャートをご覧ください。
ユーロ円日足
3月安値から上昇ウェッジ(ピンクのライン)が形成され、それを下抜いている様子がわかります。ドル円日足で形成に失敗した上昇ウェッジの下抜けです。つまり、このウェッジを下抜けた動きは売りが継続(ウェッジ形成前の下げを継続)するパターンであり、短期的にはユーロ安を考えるチャートです。
ターゲットとして考えられるのは、3月安値(128.95)と4月高値(133.49)の半値押しにあたる131.22です。すでに38.2%ターゲット(131.75)はほぼ達成していますので、今後は均衡表の雲の中で上値の重たい流れを継続し、半値押しを目指す展開が考えられます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
4月30日(月)
21:00 ドイツ4月CPI速報値
5月1日(火)
**:** ドイツ、フランス、スイス市場休場
17:30 英国4月製造業PMI
5月2日(水)
16:50 フランス4月製造業PMI確報値
16:55 ドイツ4月製造業PMI確報値
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI確報値
17:30 英国4月建設業PMI
18:00 ユーロ圏3月失業率
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP確報値
18:00 イタリア1〜3月期GDP速報値
27:00 FOMC結果公表
5月3日(木)
17:30 英国4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏4月CPI速報値
18:00 ユーロ圏3月PPI
21:00 コンスタンシオECB副総裁講演
21:30 クーレECB理事講演
25:00 スイス中銀総裁講演
5月4日(金)
16:50 フランス4月サービス業PMI確報値
16:55 ドイツ4月サービス業PMI確報値
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI確報値
21:30 米国4月雇用統計
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.2274 1.2290 1.2055 1.2130
ユーロ円 132.41 133.49 131.89 132.32
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
4月23日(月)
ユーロドルもドル円同様に米金利上昇によるドル買いが目立ちました。欧州市場以降は大幅安となり、NY市場では1.2198レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。
4月24日(火)
米国10年債利回りが3%超えとなりユーロの上値も重たい(ドルが底固い)展開ではあったものの、金利上昇を懸念した米国株の急落が最終的にドル売りとなり、ユーロドルもユーロ買いとなりました。安値1.2182レベルから1.2245レベルまで反発し高値圏でのクローズ。
4月25日(水)
前日とは逆に再びドル買いの動きが目立ち、ユーロドルもユーロ売りが先行しましたが、翌日のECB理事会では緩和縮小の議論は進まないとの見方も重なって安値1.2160レベルと3月安値(1.2155レベル)に迫り安値圏での引けとなりました。
4月26日(木)
ユーロドルはECB理事会を前に上値の重たい展開が続きましたが、理事会では予想通り特に変化は無くこれまで同様の言葉が繰り返されました。ユーロドルの動きも最初は買いで反応し1.22台に乗せる場面も見られましたが、その後は一転売りに転じ3月安値を下回るとストップオーダーや、テクニカルな仕掛け売りも加わって1.21割れ、引けにかけてはやや戻してのクローズとなりました。
4月27日(金)
東京市場では小動きとなっていましたが、弱い英国GDPに押されユーロも連れ安となり、NY市場の朝方には米国GDP速報値が予想よりも強かったことから一時1.2055レベルまで下落。しかし、それ以降は米金利低下の影響も大きく、引けにかけては1.21台前半へと戻しての高値引けとなりました。
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