ユーロ 今週もスッキリしないもみあい(週報4月第2週)

先週のユーロドルはイースター明けにも関わらず低調な取引が続きました。

ユーロ 今週もスッキリしないもみあい(週報4月第2週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルはイースター明けにも関わらず低調な取引が続きました。米国の材料が米中間の追加関税合戦の様相を呈したことから、リスクオフとその巻き返しが中心地なり、ドル円は日替わりで上下を繰り返したものの、ユーロドルは別の意味で円を中心とした動きからユーロドルの動きに影響を受ける時間と、逆にドル円のドルの動きから影響を受ける時間と、一日の中でも変化があり積極的には手を出しにくい地合いが続いた結果と言えます。

また、需給的にはシカゴ通貨先物の円ポジションが円売りから円買いへと2016年末以来の大転換をする中で、ユーロ買いポジションには一向に変化が見られずいまだ最高水準の買いポジションが維持されたままとなっています。おそらく9月以降のECBによる緩和縮小まで引っ張っていく流れなのでしょうが、短期的にはかなりお腹がいっぱいでこれ以上ユーロ買いを増やすことは困難といった状態です。

そうした中で目立った材料も無く、今週も経済指標もイベントも少ない中で、材料視するとなるとイタリアの連立協議程度しかありません。連立協議は上下院の議長が決定してから5つ星運動を中心に中道右派連合との協議が進んでいますが、先週の段階では協議が進まず、今週以降に持ち越しとなりました。しかし、5つ星運動も中道右派の最大派閥となった同盟も反EUの立場を取っていること、同じ右派のフォルツア(ベルルスコーニ元首相派)が同盟を牽制していること等、まだまだ時間がかかりそうで、ドイツでの連立協議難航がイタリアでも繰り返されそうです。

こうしたEU内での懸念材料が、現在はブレグジットからイタリアの連立協議へと移っていて、ユーロの上値をじわじわと抑える要因になっていると言えるでしょう。そうなると、今週もドル円の動きとは離れて日中相場は見通しにくい流れとなる中で中期的にはユーロ売りが出やすい先週と同じような動きになりやすいものと見ています。

テクニカルにも現状のユーロドルは悩ましい状態にあります。週足レベルの長期チャートで見た場合には上昇トレンドの中でのもみあいとなっていて、今後どこかで上昇トレンドに回帰する展開を考えたいところですが、日足レベルで考えるとまさにもみあいの中にいて方向感がはっきりしない状態となっています。

テクニカルには中期的なもみあいをわずかに下抜けてきた動きとなっています。日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週示した三角もちあい(ピンクのライン)は下抜け、現状は昨年11月から引いてきたサポートライン(赤のサポートライン)を下ひげでトライする動きとなりました。仮にここを抜けて来ると3月安値1.2155(赤の水平線)を目指す流れへと一段安の懸念が出てきますが、かろうじて維持しているところです。

ドル円の週報に書きましたが、日柄的にはまだ方向感が出にくく、かつテクニカルなサポートやレジスタンスが中途半端だったり一時的に抜けたりしやすい時間帯でもあります。材料的に下押ししやすい流れの中で、一時的に下抜けしても戻すという動きはいかにもありそうな展開です。そうなると、今週も先週のレンジ(1.2215〜1.2345)を中心としてすっきりとしない値動きを続けやすいと言えます。今週は1.2200レベルをサポートに、1.2350レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はポンド円日足を見ます。

ユーロドルがはっきりしない横方向への動きを続ける中、ポンドはブレグジット協議の進展や英中銀の利上げ思惑もあって底堅い値動きを続けています。ポンド円もそうした動きに追随して3月安値144.99から順調に上昇し、今朝は151.22と2月後半の戻し高値を上抜ける動きとなってきました。テクニカルにも上昇チャンネルの中で強い動きとなっていますので日足チャートを見て行きましょう。

              ポンド円日足

              ポンド円日足

2月高値156.60から3月安値144.99までは大きな下げとなりましたが、本日の上げでこの下げに対する半値戻し150.79(赤のターゲット)を達成し、現在は61.8%戻しとなる152.16を次のターゲットとする流れになっています。

3月安値から引いたサポートライン(ピンクのトレンドライン)と、それと平行に引いたラインとで構成される上昇チャンネルの中での動きを継続していると言えますので、方向感の出にくいドル円や、上値の重たいユーロドルを他所に、ポンドは対ドル、対円ともに買いが出やすいチャートが継続していると言えそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

4月9日(月)
**:** IMF世界経済見通し

4月10日(火)
 (特になし)

4月11日(水)
17:30 英国2月鉱工業生産、貿易収支
27:00 FOMC(3月21日)議事録公表

4月12日(木)
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
25:00 ドイツ連銀総裁講演

4月13日(金)
15:00 ドイツ3月CPI確報値
18:00 ユーロ圏2月貿易収支

前週のユーロレンジ

       始値  高値  安値  終値

ユーロドル 1.2313 1.2345 1.2215 1.2281
ユーロ円  130.91 131.61 129.98 131.35

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

4月2日(月)
 イースターマンデーということもあり動意薄の展開が続きましたが、ユーロドルはNY市場まではじり高の展開となっていました。NY株の下げがユーロ円の売りとなり、ユーロ円は131円台前半から130円割れまで下げる動きに引っ張られて、ユーロドルは1.2282レベルまで下げた後にやや戻して引けました。

4月3日(火)
 日経平均株価が東京市場以降一貫して上昇する動きからリスクオフの巻き返し相場となり東京市場ではユーロ円の買いが目立ちました。ユーロドルは前日同様ユーロ円が主導しての上昇、東京後場には1.2336まで小幅上昇しました。しかし海外市場に移ってからはドル主導の動きに変わりドル買いからユーロ売りへ、1.2254レベルへと反落後にやや戻して引けました。

4月4日(水)
ユーロドルは、欧州時間序盤に中国が報復関税25%の決定を発表したことをきっかけにドル円を中心にドル売りの動きとなり、ドル売りユーロ買いの場面も見られましたが、その時間帯を除くと低調な動きが続き、東京朝方と同水準での引けとなりました。

4月5日(木)
 ユーロドルは、ドル円でのリスクオフの巻き返しによるドル高の動きに沿ってユーロ売りが継続、1.2219レベルまで下押し後にやや戻しての引けとなりましたが、連日冴えない展開が続いていることから、蚊帳の外といった状態が続きました。

4月6日(金)
 早朝にトランプ大統領が中国への追加制裁検討指示と発言したことをきっかけにドル円と同様にドル売りユーロ買いの動きからスタートしましたが、すぐに売りへと転じ欧州市場序盤には前日安値を下回り1.2215レベルへと下落しました。予想よりも弱い雇用統計後はドル安の流れからユーロ高となり、1.2291レベルまで上伸後に高値圏でのクローズとなりました。

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