ドル円 はっきりしない展開が続きやすい(4月第2週)

先週は月水金と米中間の追加関税合戦をきっかけてとしたリスクオフを挟みながらも、週を通して見るとドルが堅調な一週間となりました。

ドル円 はっきりしない展開が続きやすい(4月第2週)

今週の週間見通し

先週は月水金と米中間の追加関税合戦をきっかけてとしたリスクオフを挟みながらも、週を通して見るとドルが堅調な一週間となりました。ドル円の場合、先週は新年度入りしたことから株式市場での買いがやや強まり、その動きに沿ったリスクオンの円売りの動きと、以前ほどドルを売るポジションが無くなってきていることが要因となっています。

まず、ファンダメンタルな面では、米中間を主に日本も含めた米国の関税問題がどこまで広がるのかはっきりしないという懸念がリスクオフの最大要因です。当面は中国への追加関税が無いとは言うものの今後の協議次第では新たな制裁が飛び出す可能性も否定できません。また対日交渉では来週17〜20日に安倍首相が訪米して日米首脳会談が行われますが、それに向けて追加関税を見送ってもらうために何らかのお土産を用意すると思われます。当然日本にとっては好ましくない協議になりますので、その思惑は円買い材料になります。

その後、5月中には米朝首脳会談が行われる予定となっていますが、こちらは北朝鮮非核化も含めて現状では朝鮮半島の地政学的リスクが無くなるといった期待先行のリスクオンとなっていますが、開催地も含めて首脳会談までどのような話が出て来るかわからず、現時点での円売り材料とするには先過ぎるテーマだと思います。全体としてはややリスクオフ的な立ち位置にいるという見方でよいでしょう。

次に需給面ですが、4月に入ってからの株式市場での買いがドル円でもリスクオンに動いていますが、先週はひとつ大きな変化が見られました。シカゴの通貨先物の円ポジションです。2016年11月のトランプ大統領当選とともに円売りポジションへと転じ、これまで1年4ヶ月近くに渡って円売りポジションとなっていましたが、3月に入り急速に円売りポジション解消が進み、6日のNY引け時点で発表された3日時点のポジションは、わずかとはいえ円買いポジションへと転じました。

シカゴの通貨先物ポジションは為替市場の縮図ともいえ、4月に入り円売りから円買いへと転換したことで、これまでのように円売りポジションを整理するような動きは出なくなります。いっぽうで、いったんポジションが転換すると通常はある程度は継続する多いため、トレンド的には円高(円買い)の流れが続きやすいと言えます。この動きは明らかに米国発の貿易戦争を懸念した動きであると考えられます。

テクニカルに入る前に今週は日柄について先にコメントしておきます。私が参考にする日柄分析のもっとも重要なものとして天体サイクルをベースにしたアストロ・サイクル分析がありますが、短期的な相場に影響を与えるもののひとつに水星逆行があります。この水星逆行は3月23日から4月14日までと今週いっぱい続きますが、水星逆行中は方向感が出にくく振れやすい、テクニカルなポイントが未到達・行き過ぎなど起こりやすい、といった傾向があります。

まさにそうした状態が続いていると言えますが、この現象も今週いっぱいで終わりますが、逆に今週いっぱいは続くわけです。おそらく今週も方向感が出にくく、ファンダメンタルやテクニカルともにどうも様子がおかしいといった週になりやすいと言えるでしょう。そうしたことを加味した上でチャートを見て行きます。

日足チャートをご覧ください。

大きなチャートのパターンでは2月下旬からのレジスタンスラインが、同じく2月中旬からの変形トリプルボトムのネックライン(ピンクの太線)となっていて、同水準を上抜けるとドル高方向への動きに転じる可能性が高まります。いっぽうで、3月年初来安値から引いたサポートラインと、それに合わせて引いた上昇チャンネルが上昇ウェッジ型のパターン―となっていて、このサポートを下抜けるとコンティニュエイション(継続)パターンとなってそれまでの土安トレンド再開となります。

現状では、明確に抜けたと言うためには上側が107円台後半、下側が106円台前半と、107円を挟んでどちらも行きそうで行き切れないというまさに今の相場状況を反映しているチャートパターンになっているわけです。明確に抜けるとすると日柄とも合わせて今週末から来週といったあたりになりそうですが、それまではタイトル通り今の「はっきりしない展開が続きやすい」ということになります。

今週は106.30レベルをサポートに107.70レベルをレジスタンスとし、仮に抜けても多少ならば元に戻しやすい一週間を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月9日(月)
08:50 本邦2月国際収支(貿易収支)
**:** IMF世界経済見通し

4月10日(火)
10:30 豪州3月NAB企業景況感
17:30 (ダラス連銀総裁講演)
20:00 南ア2月製造業生産
21:30 米国3月PPI
23:00 米国2月卸売在庫

4月11日(水)
07:30 アトランタ連銀総裁講演
10:30 中国3月CPI、PPI
14:05 豪中銀総裁講演
17:30 英国2月鉱工業生産、貿易収支
21:30 米国3月CPI
23:30 米国週間原油在庫
27:00 FOMC(3月21日)議事録公表

4月12日(木)
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国3月輸入物価指数
25:00 ドイツ連銀総裁講演

4月13日(金)
06:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
10:30 豪中銀金融安定化報告公表
15:00 ドイツ3月CPI確報値
18:00 ユーロ圏2月貿易収支
**:** 本日より米国金融機関決算発表
20:30 (ボストン連銀総裁講演)
22:00 (セントルイス連銀総裁講演)
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感指数速報値

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値   高値   安値  終値

ドル円  106.32 107.49 105.66 106.94
ユーロ円 130.91 131.61 129.98 131.35
ユーロドル 1.2313 1.2345 1.2215 1.2281
日経平均 21441.57 21742.84 21056.02 21567.52

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

4月2日(月)
 イースターマンデーということもあり、NY市場が始まるまでは動意薄の展開が続きました。NY市場の朝方こそドル買いが先行したものの、中国の128品目に対する報復関税の発動を嫌気してNY株式市場は大幅安、それに伴いドル円もリスクオフから105.66レベルまで水準を切り下げ、引けにかけては株がやや戻した動きからドル円もやや戻してのクローズとなりました。

4月3日(火)
 ドル円は朝方こそ前日の下げの流れを受け上値の重たい展開からスタートしましたが、日経平均株価が夜間取引での下げから上昇へと転じ、東京市場以降一貫して上昇した動きからリスクオフの巻き返し相場となりました。ドル円は東京後場には106円台を回復、その後も株価とともに上昇、NY市場ではダウも前日の下げをほぼ戻す行って来いの動きとなったため106.66レベルまで上昇後に高値圏での引けとなりました。

4月4日(水)
 東京市場では106円台半ばで動きの見られなかったドル円は、欧州市場序盤に中国が報復関税25%の決定を発表したことをきっかけに急速にリスクオフの動きとなりました。一時105.99レベルまで水準を切り下げたものの、105円台では買いも出てその後はじり高。NY市場に入りトランプ大統領が米中間の問題を貿易戦争ではないと発言したり、ホワイトハウスも新たな措置を考えていないと発表したりで、米国株は安値圏から急反発、ドル円もリスクオフの巻き返しに短期筋のストップが重なって106.85レベルまで上伸後に高値圏での引けとなりました。

4月5日(木)
ドル円は前日NY後場のリスクオフの巻き返しの流れが継続する中で、株価が堅調に推移したことを好感し終日じり高の展開となりました。NY市場に入ってからも米株高とドル円が月間高値を更新する動きに伴うストップも出て107.49レベルの高値をつけ、やや押しての引けとなりました。

4月6日(金)
トランプ大統領が中国への追加制裁検討指示と前日までの追加制裁は無いとの発言とは異なったことに反応、ダウ先物の大幅安とともにリスクオフの動きから107円水準へと下押してのスタートとなりました。その後USTRが大統領発言を否定し、また夜には雇用統計を控えていることもあって徐々に買い戻され欧州市場序盤には高値圏へと戻しての雇用統計待ち。雇用統計は予想よりも弱かったこと、またその後も米国発の保護主義政策に懸念が多いことから引けにかけてはダウの大幅安とともにドル円も106円台後半へと押しての週末クローズとなりました。

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