南アのリスクプレミアム補足
月曜のランド円レポートでリスクプレミアムを取り上げましたが、質問もありましたので簡単に補足しておくこととします。
リスクプレミアムというのは一般的にリスク資産と無リスク資産の差を示すプレミアムですが、金融業界における無リスク資産というのは通常ドルLIBORとドルスワップ金利(ドルの変動金利と固定金利を交換する際に使われる金利)を指します。つまりドル金利を無リスクと想定した場合、他の商品にどの程度のプレミアムを払えば同等となるのかに置き換えた金利(単位bp、1bp=0.01%)と考えていただければわかりやすいと思います。
さて、ここでひとつ問題があります。そもそも米国のカントリーリスク自体が無いのかという点です。これは実際には米国にもリスクプレミアムが存在します。通常、国どうしを比較する場合には米国との比較というのが一般的でしたが、2010年以降でしょうか米国自体のリスクも考量して、よりリスクの少ない国との比較が行われることも一般的となりました。
スイスと日本のように更にリスクの少ない国はありますが、米国以外ではユーロ圏の盟主であるドイツが参照されることが一般的です。ドイツと米国とのリスクプレミアムを見ると2011年末にゼロだったプレミアムが年々拡大し、2013年半ばには100、2016年の大統領選で更に拡大し200、直近では231と2016年12月に最も拡大した235とほぼ並ぶ水準となっています。つまり、ドイツと比較した場合の米国自体のリスクプレミアムがこの6〜7年で大きく拡大したことがわかります。
ここで、今度はドイツと南アフリカのリスクプレミアムを比較するとどうかですが、2015年12月に987をピークに昨年9月に796まで縮小、ズマ大統領汚職問題で一時的に910まで拡大を見せましたが、ラマポーザ大統領が与党ANC議長となりズマ大統領から大統領職も引き継いだことで726まで縮小しました。2015年以来のプレミアム縮小と言えます。
明日のムーディーズによる格付け発表次第では一段と縮小する可能性も高そうですね。
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