ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は短期的には高値(9.29)安値(8.76)を見てのもみあいを考え「8.88レベルをサポートに、9.17レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が8.83レベル、高値が9.09レベルと、予想よりもややランド安の動きとなりました。
先週のランドの材料は、特に目立った材料は無かったものの引き続き、土地収用問題に対する懸念と今週23日に発表予定のムーディーズによる格付け発表を前にしたポジション調整が対ドルでのランド売りの動きとなっていました。また、ドル円をはじめクロス円の下げもランド円に対して下値トライしやすい状況を作り、金曜には8.83レベルと前週につけた年初来安値となる8.76に近づいてきました。
今週は全ての注目がムーディーズの格付け発表に集まりますが、前回11月の段階ではBaa3と格付けを維持し、見通しはネガティブなもののジャンクまで1ノッチの首の皮1枚で繋がっている状況を続けています。仮にジャンクとなるとS&Pが既にジャンクに下げていることもあって、世界国債インデックスから外れ南アフリカから巨額な資金逃避が起こる可能性があることは以前書いた通りです。
前回の格付け維持の段階では今年2月の予算を見てという動きでしたが、その後与党ANC議長がラマポーザ副大統領(当時)となり、その後ラマポーザ大統領が政権を取ったことで政治的な面では改革が望まれる状況となっています。また予算案も今後の財政赤字削減の道が示されたことで11月時点に比べて南ア情勢は改善の兆しが見えてきていることは間違いありません。
今週の格付けについては多くの投資家が現状維持を見込んでいます。可能性としてはポジティブなものとして見通しを現状維持へと上げること、またネガティブなものとしては格付け引き下げということになるでしょうが、少なくとも現状維持の可能性が圧倒的に高く、投資家が南アフリカ国債のヘッジに出ている動きはまったく見られません。
こうした国債の状況を知るのによく使われるのが安定的な国の国債(主に米国とドイツ)と他の国とのリスクプレミアムです。ギリシャ危機の時にはギリシャ国債とドイツ国債とのリスクプレミアムが連日のように話題になったので覚えている方も多いかと思います。対象国の債券に対する信用が下がればリスクプレミアムは上昇するため、今週は南アフリカ国債と米国債とのリスクプレミアムを見てみることとします。
米国債との比較における南ア債のリスクプレミアム
こうして見ると昨年の秋ごろまでは640前後で安定、その後ズマ大統領の汚職問題などが懸念された時期にプレミアムが急拡大し11月中頃には708まで広がりました。その後12月のANC議長選、ラマポーザ大統領の誕生で今年2月には504まで縮小、今月は517〜533の推移と2月と同水準での推移となっています。
この米国債とのリスクプレミアムを見る限りにおいて、南アフリカ国債に対しての投資家の動きは何ら懸念をしていないと判断することが出来ます。逆にまさかの格付け引き下げとなると市場が大混乱になるでしょうが、その可能性はそれこそ万が一といったところではないかと私も考えています。
今週はムーディーズイベントがあるため、週を通して動きにくい展開が続きそうですが、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。
ランド円、ドルランド、ドル円 四時間足
チャート中央部分が年初来安値ですが、かなり水準的に近いため一度くらいはポジション調整か、あるいはドル円で大台トライといった動きが出た時にはチャート内のフィボナッチ・エクスパンションで示した8.68レベルあたりまでの下げはあるかもしれません。格付け発表で現状維持となれば大きく反発し9.10〜20あたりまでの急上昇もあるでしょう。
格付け発表次第ではありますが、今週は上下ともに予想を広げ8.65レベルをサポートに、9.15レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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