ランド円レポート月曜版(2018/3/19)

先週のランドの材料は、特に目立った材料は無かったものの引き続き、土地収用問題に対する懸念と今週23日に発表予定のムーディーズによる格付け発表を前に

ランド円レポート月曜版(2018/3/19)

ランド円レポート月曜版

まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は短期的には高値(9.29)安値(8.76)を見てのもみあいを考え「8.88レベルをサポートに、9.17レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が8.83レベル、高値が9.09レベルと、予想よりもややランド安の動きとなりました。

先週のランドの材料は、特に目立った材料は無かったものの引き続き、土地収用問題に対する懸念と今週23日に発表予定のムーディーズによる格付け発表を前にしたポジション調整が対ドルでのランド売りの動きとなっていました。また、ドル円をはじめクロス円の下げもランド円に対して下値トライしやすい状況を作り、金曜には8.83レベルと前週につけた年初来安値となる8.76に近づいてきました。

今週は全ての注目がムーディーズの格付け発表に集まりますが、前回11月の段階ではBaa3と格付けを維持し、見通しはネガティブなもののジャンクまで1ノッチの首の皮1枚で繋がっている状況を続けています。仮にジャンクとなるとS&Pが既にジャンクに下げていることもあって、世界国債インデックスから外れ南アフリカから巨額な資金逃避が起こる可能性があることは以前書いた通りです。

前回の格付け維持の段階では今年2月の予算を見てという動きでしたが、その後与党ANC議長がラマポーザ副大統領(当時)となり、その後ラマポーザ大統領が政権を取ったことで政治的な面では改革が望まれる状況となっています。また予算案も今後の財政赤字削減の道が示されたことで11月時点に比べて南ア情勢は改善の兆しが見えてきていることは間違いありません。

今週の格付けについては多くの投資家が現状維持を見込んでいます。可能性としてはポジティブなものとして見通しを現状維持へと上げること、またネガティブなものとしては格付け引き下げということになるでしょうが、少なくとも現状維持の可能性が圧倒的に高く、投資家が南アフリカ国債のヘッジに出ている動きはまったく見られません。

こうした国債の状況を知るのによく使われるのが安定的な国の国債(主に米国とドイツ)と他の国とのリスクプレミアムです。ギリシャ危機の時にはギリシャ国債とドイツ国債とのリスクプレミアムが連日のように話題になったので覚えている方も多いかと思います。対象国の債券に対する信用が下がればリスクプレミアムは上昇するため、今週は南アフリカ国債と米国債とのリスクプレミアムを見てみることとします。

米国債との比較における南ア債のリスクプレミアム

米国債との比較における南ア債のリスクプレミアム

こうして見ると昨年の秋ごろまでは640前後で安定、その後ズマ大統領の汚職問題などが懸念された時期にプレミアムが急拡大し11月中頃には708まで広がりました。その後12月のANC議長選、ラマポーザ大統領の誕生で今年2月には504まで縮小、今月は517〜533の推移と2月と同水準での推移となっています。

この米国債とのリスクプレミアムを見る限りにおいて、南アフリカ国債に対しての投資家の動きは何ら懸念をしていないと判断することが出来ます。逆にまさかの格付け引き下げとなると市場が大混乱になるでしょうが、その可能性はそれこそ万が一といったところではないかと私も考えています。

今週はムーディーズイベントがあるため、週を通して動きにくい展開が続きそうですが、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。

       ランド円、ドルランド、ドル円 四時間足

       ランド円、ドルランド、ドル円 四時間足

チャート中央部分が年初来安値ですが、かなり水準的に近いため一度くらいはポジション調整か、あるいはドル円で大台トライといった動きが出た時にはチャート内のフィボナッチ・エクスパンションで示した8.68レベルあたりまでの下げはあるかもしれません。格付け発表で現状維持となれば大きく反発し9.10〜20あたりまでの急上昇もあるでしょう。

格付け発表次第ではありますが、今週は上下ともに予想を広げ8.65レベルをサポートに、9.15レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る