ユーロ 今週ももみあい継続か(週報3月第三週)

先週のユーロドルは、ドル円ではリスクオフの円買いが目立ちユーロドルも週初こそドル円と歩調を合わせてドル売り(ユーロ買い)となっていました。しかし、

ユーロ 今週ももみあい継続か(週報3月第三週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、ドル円ではリスクオフの円買いが目立ちユーロドルも週初こそドル円と歩調を合わせてドル売り(ユーロ買い)となっていました。しかし、週央以降はドラギECB総裁のユーロ高牽制発言をきっかけに反転、その後は欧州通貨が全般に弱い動きとなる中、ユーロ円が前週安値を割り込んだことも重なってユール安での一週間となったと言えます。

ドラギ総裁のユーロ高牽制発言は予定外ではあったものの、ユーロ円が火曜に前週高値を超え買いが強まったところで一気に振り落とされ、ユーロ円の売りが先週のユーロ安を加速させた面が大きいと言えます。今週もユーロ圏の景気関連指標が続きますし、週前半はG20、水曜にFOMC、木曜には英中銀MPCとEU首脳会議があります。どれも方向が出て来るほどのインパクトは無さそうですが、上下に振れさせる要因にはなります。

ドラギ総裁のユーロ安牽制発言ですが、米国が先行して仕掛けている貿易戦争と無関係ではないというイメージです。米国側は追加関税の発表以降、中国や日本に対して対米黒字の削減を求める発言をしています。ユーロにも波及してユーロ高に振れるとECBとしてはテーパリングを含めて秋以降の金融政策前進の障害になると捉えているようです。

そうは言っても長期的なユーロ高の流れには変化は無く、現状はその中で中期的な調整局面に入っているという見方が妥当だと思います。確認のため、今週は週足チャートからご覧ください。

             ユーロドル週足

             ユーロドル週足

紫の四角が1年、青の四角が1か月です。長期的には2017年1月安値を起点に2017年9月までの上げ、その後の11月への押しという3点が決まります。今年1月に昨年高値を上抜けたことで上昇N波動が確定し、現在はその上昇の中での三角もちあいとなっていると見ることが出来るチャートです。三角もちあいは通常はコンティニュエイション(継続)パターンと考えられ、それ以前のトレンド(今回は1月からの上げ)を継続しやすいといえ、昨年高値1.2092を下回らなければ、上昇トレンドの芽が消えたとは言えません。

次にこの三角もちあい部分を日足チャートで見てみましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先ほど示した三角もちあいがピンクの細い線で示したトライアングルです。上下ともにだいぶ水準を狭めていますので、そろそろ抜けてもおかしくはない時間帯に来ています。ただ、下値についてはより昨年11月安値からの強いサポート(ピンクの太線)もあり、もちあいを抜けてもこの線で止められる可能性も合わせて考えておくとよいでしょう。

現在、上のレジスタンスラインは1.23台後半から半ばを下降中、下のサポートラインは1.22台半ばから後半を上昇中です。また強いサポートは1.21台後半を上昇しています。またテクニカルには、1月後半以降反転パターンを形成中にも見えるのですが、前回のダブルトップ下抜けを失敗していることや上記週足チャートでは上昇トレンドを崩していないことから、現状では反転パターンの完成はサブシナリオとしておきたいと思います。

今週は両側に位置するラインも考慮しながら、1.2200レベルをサポートに、1.2375レベルをレジスタンスと引き続きもみあい継続、三角もちあいを抜ける準備段階と考えることとします。

今週のコラム

最近ではドル円の下げ以上にユーロ円の下げがきつく、先週は130円の大台目前まで下げ、週明けの相場ではいきなり大台割れと年初来安値129.36レベルをも伺う展開となっています。短期的には下を見る動きに思えますが、果たして長期的にはどうなのか、今週はユーロ円の週足チャートを見てみたいと思います。

              ユーロ円週足

              ユーロ円週足

ユーロ円の安値は2016年6月で、同安値を起点に2016年12月までの上げ、2017年4月への押し、そして上昇N波動(ピンクのN)の161.8%ターゲットにも近い2018年2月の高値、ここまでが一区切りです。ここからの長期的な動きを考えると現在の下げがどこかで止まり新たな上昇N波動へと回帰する可能性が高いと見るのが最も妥当です。

問題は今の下げがどこで下げ止まるかということになりますが、これは2017年安値114.83と年初来高値137.53の38.2%押しにあたる128.86、長期チャートのためある程度の誤差を考え128円台半ばあたりが今回の2月からの下げのターゲットになると見ています。同水準から下には均衡表の雲の上限も位置していますので、今後数週間程度の時間間隔で見ておくとよさそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

3月19日(月)
**:** G20(〜20日)
19:00 ユーロ圏1月貿易収支

3月20日(火)
18:30 英国2月CPI、PPI
19:00 ドイツ3月ZEW景気期待指数
19:00 ユーロ圏3月ZEW景気期待指数
24:00 ユーロ圏3月消費者信頼感速報値

3月21日(水)
18:30 英国2月失業率
18:30 英国2月財政収支
27:00 FOMC結果公表
27:30 パウエルFRB議長会見

3月22日(木)
**:** EU首脳会議(〜23日)
16:45 フランス3月業況感指数
17:00 ユーロ圏1月経常収支
17:00 フランス3月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ3月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏3月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ドイツ3月ifo景況感指数
18:30 英国2月小売売上高
21:00 英中銀MPC

3月23日(金)
 特になし

3月25日(日)
 **:** 英国と欧州が夏時間移行

前週のユーロレンジ

       始値  高値  安値  終値

ユーロドル 1.2309 1.2413 1.2260 1.2290
ユーロ円  131.58 132.43 130.09 130.16

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

3月12日(月)
 東京市場では森友問題のドル円のドル売りに引っ張られてじり高の展開となりました。欧州市場に入り英国とEUとの離脱に関する交渉進展からユーロポンドが売られ、ユーロドルも反転下落。NY市場の引けにかけては再び下げる前の水準に戻しましたが値幅は狭く方向感の出ない週初となりました。

3月13日(火)
 東京市場では前日同様に森友問題後退からドル円のドル買いにややユーロは押されたものの、リスクオンの動きがユーロ円でも目立ったことから海外市場では上昇に転じました。NY前場までは国務長官更迭のニュースに反応しドル売りからユーロはじり高を続けましたが、後場以降はユーロ円の売りも出て上値の重たい展開でのクローズとなりました。

3月14日(水)
 東京市場ではドル円の動きをよそに動意薄となっていたものの、欧州市場に入りドラギECB総裁が講演でユーロ高を牽制する発言をしたことをきっかけに売りが入りました。NY市場でも売りの流れを継続し、1.23台半ばまで下押しした後にやや戻して引けました。

3月15日(木)
東京市場では前日同様に動意薄だったものの、英国のロシアスパイ問題に対する英国の対応からポンド売りが入り、また政策変更は無かったもののスイス中銀の金利発表後はスイス売りも加わって対欧州通貨全般の売りが強まり、ユーロドルでもユーロが売られる展開となりました。NY後場には1.2300レベルまで水準を切り下げ安値圏での引けとなりました。

3月16日(金)
 東京市場では大統領補佐官更迭のニュースから欧州市場序盤まではドル売り・ユーロ買いの動きとなっていましたが、ユーロ圏CPIが予想よりも弱かったことをきっかけにユーロ売りへと転じる流れとなりました。その後のNY市場ではドル買いの動きとなり、ユーロドルはストップオーダーも出て一時先週安値を下回る1.2260レベルの安値をつけ、引けにかけてはやや戻しての週末クローズとなりました。

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