ユーロ イベントを前に上値が重たい(週報2月第四週)

先週のユーロドルは、前週金曜に1.2556レベルの高値をつけて以降調整の売りが目立つ週となりました。

ユーロ イベントを前に上値が重たい(週報2月第四週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、前週金曜に1.2556レベルの高値をつけて以降調整の売りが目立つ週となりました。米国と欧州双方の金融政策の方向性が議事録から明らかとなり、米国はこれまで通り3回の利上げ、ECBは現状の緩和政策を9月末まで継続、ただインフレについて言及していたことから一時的な反発も見られました。

しかし、最近のECB高官の発言をまとめると、9月末まで続ける債券購入が続く間の利上げは行わないと明言していますし、議事録では現段階でフォワードガイダンスを変更することは時期尚早ともありますので、3月8日のECB理事会で緩和縮小について触れられる可能性がやや下がってきた感じもあります。

また今週は、連日ユーロ圏主要国の経済指標の発表が続きますが、週末3月4日の政治イベントに向け方向感が出て来る動きとはなりにくい状況です。まず、ドイツではCDUとSPDの連立協定に対して、SPD党員の投票結果が公表されます。ここに至るまでの世論やSPD執行部の動きを考えると党員投票でも連立協定が認められ、ようやく連立政権がスタートする見込みではありますが、可能性は低いものの党員の反対が多ければどんでん返しで連立協定決裂、再選挙のリスクもゼロではありません。

また、イタリアでは総選挙がありますが、直近の世論調査では「5つ星運動」が支持率1位となっています。また既存政党も中道左派連合(民主党主導)も中道右派連合(ベルルスコーニ元首相が党首のフォルツア)勢いが無いため、どの政党も単独で政権を担うことは出来ません。ちょうどドイツの選挙のようなイメージですが、中道左派か中心となる現行の政治に近い連立、左派と右派の大連立など、様々な思惑が出ていますが、これもドイツと同様で開票結果を見るまでは思惑で動くことは出来ません。ただ、現状よりも不透明感が増していることだけは間違いないといえるでしょう。

こうした2つの政治イベントを前にユーロドルは上値の重たい展開が続いているわけですが、外部要因としてドルが買われる動きの場合には素直にユーロ売りとされるでしょうし、ドルが売られる場合でもそれがリスクオフの円買いに繋がる場合にはユーロ円の売りとなって、ユーロドルは積極的に売られないまでも上値が重たい展開となりやすいでしょう。今週はイベント的に、ユーロは上値が重たくなりやすいというバイアスがかかると思われます。

次にチャートを見てみましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

2月高値1.2555以降は下げに転じていますが、1月高値1.2538と合わせて見るとダブルトップの高値圏を形成中にも見えます。まだ完成前のチャートパターンで判断することは出来ませんが、現在このダブルトップを形成中とした場合、ネックラインは青い線で示した位置となり、同ラインより保守的には2月安値1.2206を下抜けるとダブルトップの完成となり、ユーロの一段の下げに繋がる可能性が出てきます。逆に同ラインに到達せず反発する動きとなれば、ダブルトップが完成せずもみあい、あるいは材料次第では再びユーロ高に動き可能性もあるものの、今週末の政治イベントを控えてテクニカルにもユーロ買いには消極的にならざるを得ないというのが今の立ち位置です。

またポジション的にも一時期よりは減ったものの高水準のユーロ買いポジションが残っていますので、ユーロ円の動きとともに今週末に向けてのユーロドルの動きからは目が離せません。今週は、イベント前で上値が重たいながらももみあいを考えネックラインに重なる1.2225レベルをサポートに、先週高値のやや下1.2425レベルをレジスタンスとする一週間を見ておこうと思います。

今週のコラム

今週もユーロ円のチャートを見てみましょう。先週は最近のレンジ下限となっていた131円台前半を割り込み、一時130.94と昨年9月以来の安値をつけました。材料的にも今週末のドイツとイタリアの政治イベントがユーロの不安材料となっていますし、株安の動きではリスクオフの円買いがユーロ円で目立つ傾向があり、引き続きユーロ円の下値不安が拭えない状態です。

ここ数週間は日足チャートを見ながら、先週の段階では短期的に下げ止まりやすい水準との見方を取っていましたが、上記の通り下抜けし始めてきたことから今一度やや長めに、週足チャートで現在の向かうところを組み立て直すこととしましょう。

              ユーロ円週足

              ユーロ円週足

2016年安値109.59が入るようにしてありますが、同安値を起点に2016年12月高値までの上げ、その後の2017年4月安値への押しを基準とした上昇N波動を考えると、161.8%エクスパンションが138.44(青)と、週足チャートで考えた場合には年初来高値137.50は誤差の範囲とも思えます。そして昨年後半に何度も跳ね返したサポートゾーン(黄色のラインマーカー)をトライしてきています。

そうなると、今度は2017年安値と2018年年始来高値を基準のどの程度のリトレースメントを考えることが出来るのかを計算することとなりますが、38.2%押しが128.85(緑)とまだだいぶ下に位置していることがわかります。同水準の前にまずは大台130円を考えなくてはいけませんが、中期的な動きとしてはいったん高値をつけ、下方向へのリスクが高まっているという認識でのシナリオに変更したいと思います。

また動きが出てきたら、補足あるいは再度シナリオ変更ということもあるかもしれませんが、週末の政治イベントを前に130円の大台が視野に入ってきたというイメージです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

2月26日(月)
29:15 クオールズFRB副議長経済見通し公表

2月27日(火)
16:45 フランス2月消費者信頼感指数
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感確報値
19:00 ドイツ連銀総裁年次報告書公表
22:00 ドイツ2月CPI速報値
22:30 パウエルFRB議長議会証言原稿公表
24:00 パウエルFRB議長議会証言

2月28日(水)
09:01 英国2月GFK消費者信頼感
16:00 ドイツ3月GFK消費者信頼感
16:45 フランス10〜12月期GDP改定値
17:55 ドイツ2月失業率
19:00 ユーロ圏2月CPI速報値

3月1日(木)
15:45 スイス10〜12月期GDP
17:00 スペイン10〜12月期GDP確報値
17:50 フランス2月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ2月製造業PMI確報値
18:00 ユーロ圏2月製造業PMI確報値
18:30 英国2月製造業PMI
19:00 ユーロ圏1月失業率

3月2日(金)
18:00 イタリア10〜12月期GDP確報値
18:30 英国2月建設業PMI
19:00 ユーロ圏1月PPI

3月4日(日)
 **:** ドイツSPD連立協定党員投票公表
 **:** イタリア総選挙

前週のユーロレンジ

      始値  高値  安値  終値

ユーロドル 1.2413 1.2435 1.2259 1.2295
ユーロ円  131.91 133.06 130.94 131.40

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

2月19日(月)
 香港と中国市場、NY市場も休場となる中ユーロドルは、まったく方向感が出ず、ドル円のドルの動きに沿ってユーロの上値の重たい展開となっていました。NY市場前場には一時的にユーロドルの売りが強まったものの、すぐに元の水準へと戻し東京朝方とあまり変わらない水準での引けとなりました。

2月20日(火)
 米長期金利上昇に支えられながらのドル買いの動きがユーロドルの下押し材料となりました。終日ユーロじり安の動きとなり、1.2320レベルまで下押しし、ユーロ安値圏での引けとなりました。

2月21日(水)
 ドル円が週間高値をつける中でユーロドルも前日の流れを受けユーロがじり安の展開となりました。欧州時間に発表されたユーロ圏の経済指標が弱めだったことからFOMC議事録発表まで戻しも無く、発表直後こそ動きは見られましたが、1.2281レベルへと安値と切り下げ安値圏での引けとなりました。

2月22日(木)
ユーロドルは、ECB理事会の議事録発表を前に小動きが続いていましたが、議事録ではインフレ懸念にも言及されていたことからユーロ買い。また米金利が低下したことを理由にしたドル売りの動きも重なって1.2352レベルまで反発後、やや押しての引けとなりました。

2月23日(金)
東京市場ではドル円同様にドル買いの動きから1.2280レベルまで水準を下げましたが、その後はやや戻しが入り海外市場に移ってからは1.23を挟んで狭いレンジの中で、まったく方向感の無いままでの週末クローズを迎えました。

今週のコラム

今週もユーロ円のチャートを見てみましょう。先週は最近のレンジ下限となっていた131円台前半を割り込み、一時130.94と昨年9月以来の安値をつけました。材料的にも今週末のドイツとイタリアの政治イベントがユーロの不安材料となっていますし、株安の動きではリスクオフの円買いがユーロ円で目立つ傾向があり、引き続きユーロ円の下値不安が拭えない状態です。

ここ数週間は日足チャートを見ながら、先週の段階では短期的に下げ止まりやすい水準との見方を取っていましたが、上記の通り下抜けし始めてきたことから今一度やや長めに、週足チャートで現在の向かうところを組み立て直すこととしましょう。

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