ドル円上値は重たいものの踊り場の週(週報2月第四週)

先週のドル円は、前週金曜に安値105.55をつけてからの利食いの買い戻しが目立った週となりました。

ドル円上値は重たいものの踊り場の週(週報2月第四週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週金曜に安値105.55をつけてからの利食いの買い戻しが目立った週となりました。水曜には東京、NYと2度ほど戻し高値となる107.90をつけたものの108円には乗せず、週末には106.51まで押す動きとなりましたが、振り返ると昨年安値107.32を下抜けてから円高トレンドが加速したことを考えると、コストのあまりよくない短期筋のドル売りポジションが切らされ、ニュートラルな水準に戻した動きであったと考えられます。

材料的には株価と米金利と以前の材料に戻った感はありますが、米国サイドの動きとして今月初めの株価急落以降は金利上昇が株価下落に結びつきやすいこともあって、為替市場は金利高をドル高と見る場合と、そこから株安となってのリスクオフの円高と見る場合とで、判断しにくい局面が増えてきたように思えます。そうした中でFOMC議事録もこれまで通り今年は3回の利上げを想定していたことから、次の注目材料は27日のパウエルFRB議長の議会証言となります。

パウエルFRB議長も前回FOMCとは違った発言をするとも思えず、想定内の証言となった場合には材料としにくいのですが、年4回に繋がるような発言となった場合には金利が上昇、株価が下落とここまでは良さそうですが、為替はどうなるかという部分は上記の通りで実際に反応を見てからついていくしかないのが現状です。ただ、需給的にはいまだ円売りポジションが大きいことや、年度末に向けて実需筋のドル売りオーダーが水準を切り下げて来るであろうことを考えると、今週もやや円高方向にバイアスをかけた見方で良さそうです。

なお、雇用統計は2月の日数の関係で3月第2週の金曜となりますので、議会証言以外の細かな経済指標は多少の上下程度で来週に向けて様子見となりやすそうです。また、月末月初の実需動向によっては、東京仲値やLDNフィックスで動きが見られる可能性はありますので、これらも気に留めておくとよいでしょう。

次に日柄ですが、大きな転換としては2月5日の下げと16日の上げで既に終わっていますが、今週も小さな転換として先週金曜の下げに対して週初はやや買い戻しが先行しやすい時間帯となっています。テクニカルな観点からも見て行きましょう。日足チャートをご覧ください。

先週22日のドル円ショートコラムでは、既に21日に戻し高値をつけたスタンスで計算しましたが、現状もその見方は変わっていません。つまり、安値は16日105.55、高値は21日107.90というのが短期的なポイントとなってきます。また、中期的には2月2日高値110.48を高値とした下降トレンドの起点と考えることが妥当です。これら3つの点を今一度見てみましょう。

今週は難しいと思いますが、次に安値105.55を下抜けた時にはいくつかの短期ターゲットが105円台前半から104円台後半に集中しています。つまり、下げる時には105円を改めて視野に入れる動きが考えられます。しかし今週は、上値は重たい流れになっても新値トライにまでは発展しにくいと見ています。大きく107円台後半が売り、105円台後半は買いといった流れの中、勢いが出て安値を下抜けた場合には105円前後をターゲットとするという見方でよいでしょう。

今週は105.70レベルをサポートに、107.50レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月26日(月)
22:00 (セントルイス連銀総裁講演)
22:30 米国1月シカゴ連銀全米活動指数
24:00 米国1月新築住宅販売件数
24:30 米国2月ダラス連銀製造業活動指数
29:15 クオールズFRB副議長経済見通し公表
30:45 NZ1月貿易収支

2月27日(火)
16:45 フランス2月消費者信頼感指数
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感確報値
19:00 ドイツ連銀総裁年次報告書公表
22:00 ドイツ2月CPI速報値
22:30 米国1月耐久財受注
22:30 パウエルFRB議長議会証言原稿公表
23:00 米国12月住宅価格指数
23:00 米国12月ケースシラー住宅価格指数
24:00 パウエルFRB議長議会証言
24:00 米国2月消費者信頼感指数
24:00 米国2月リッチモンド連銀製造業指数

2月28日(水)
09:00 NZ2月ANZきぎょいう信頼感
09:01 英国2月GFK消費者信頼感
10:00 中国2月製造業・非製造業PMI
16:00 ドイツ3月GFK消費者信頼感
16:45 フランス10〜12月期GDP改定値
17:55 ドイツ2月失業率
19:00 ユーロ圏2月CPI速報値
21:00 南ア1月貿易収支
22:30 米国10〜12月期GDP改定値
23:45 米国2月シカゴ購買部協会景気指数
24:00 米国1月中古住宅販売保留件数指数
24:30 米国週間原油在庫

3月1日(木)
10:45 中国2月MarkIt製造業PMI
15:45 スイス10〜12月期GDP
17:00 スペイン10〜12月期GDP確報値
17:50 フランス2月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ2月製造業PMI確報値
18:00 ユーロ圏2月製造業PMI確報値
18:30 英国2月製造業PMI
19:00 ユーロ圏1月失業率
22:30 米国1月個人所得・消費支出
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:45 米国2月MarkIt製造業PMI確報値
24:00 米国2月ISM製造業景況指数
24:00 米国1月建設支出

3月2日(金)
08:30 本邦1月失業率、有効求人倍率
18:00 イタリア10〜12月期GDP確報値
18:30 英国2月建設業PMI
19:00 ユーロ圏1月PPI
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感指数確報値

3月4日(日)
 **:** ドイツSPD連立協定党員投票公表
 **:** イタリア総選挙

前週の主要レート(週間レンジ)

       始値  高値  安値  終値

ドル円    106.26 107.90 106.10 106.86
ユーロ円   131.91 133.06 130.94 131.40
ユーロドル  1.2413 1.2435 1.2259 1.2295
日経平均  21903.66 22152.85 21626.85 21892.78

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

2月19日(月)
 金曜海外市場の流れを受けドル買いが先行しての週明けとはなったものの、香港と中国市場に加えてNY市場も休場となることから積極的な取引は手控えている様子でした。そうした中で日経平均株価が買われて22,000円台を回復したことから、勢いは無いながらもリスクオンのドル買いとなり、NY市場の朝方には106.73まで水準を切り上げやや押しての引けとなりました。

2月20日(火)
 買い戻しが継続し、米長期金利上昇に支えられながらNY市場では107.38レベルの高値をつけました。しかし、金利上昇のいっぽうで米株は上値の重たい展開が続いたこと、また昨年安値107.32を下抜けてから円高が加速した水準に戻してきたことから、107円台半ばではドル売りオーダーも目立っていました。

2月21日(水)
 前日の上昇基調を維持しストップオーダーと日経平均株価が堅調なことも手伝って昼過ぎには107.90レベルの高値をつけました。その後はNY市場でFOMC議事録の発表が控えていることもあり、ポジション調整から欧州市場では朝方の水準まで押しましたが、議事録発表を前にして再びじり高。議事録の内容は一部で年4回の利上げという思惑もあったため、3回の利上げが想定されていたことから発表直後は107.29レベルと日中安値を更新しましたが、全体としては景気の強さを感じさせる内容で引けにかけては高値に近づいての引けとなりました。

2月22日(木)
大幅安となった日経平均株価を見ながら水準を下げ、後場に戻りは入ったものの上値が重く再びドル売りの動きとなりました。海外市場では米金利が低下したことを理由に株価は上昇、為替はドル売りとなり、NY市場では106.60レベルまで安値を広げそのまま安値圏での引けとなりました。

2月23日(金)
東京市場では堅調な株価の動きとともにリスクオンが先行、後場には107.14レベルの高値をつけました。しかし、107円台ではまだ売りたい向きが残っていることと、海外市場に移り株価の上値が重くなったことからじりじりと水準を下げ、NY市場では米金利低下も手伝って106.51レベルまで水準を切り下げました。引けにかけては金利低下から米株が買われる動きに加え、週末前のポジション調整も入り106円台後半へと若干水準を切り上げての引けとなりました。

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