ランド円レポート月曜版(18/2/19)

先週のランドの材料は、ズマ大統領辞任のひとつに尽きるかと思います。

ランド円レポート月曜版(18/2/19)

ランド円レポート月曜版

まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は「やや上値の重たい展開を考え、8.90レベルをサポートに、9.20レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が8.95レベル、高値が9.18レベルと、予想通りではありましたが、南ア情勢の割にはレンジとなった印象です。

先週のランドの材料は、ズマ大統領辞任のひとつに尽きるかと思います。これまで、野党を中心に与党ANC内部からも辞任要求が出て、着実に辞任への外堀が埋められてきたズマの大統領ですが、13日に改めて不信任案の話が上り15日にも採決を取るという動きとなっていました。さすがにズマ大統領も進退窮まって翌14日に辞任を発表したことで、12月にANC議長に選出されたラマポーザ副大統領が、15日正式に大統領に就任しました。

ラマポーザ新大統領は16日の就任演説で、南アフリカ経済の立て直しと財政赤字の削減、またズマ大統領辞任のきっかけとなった汚職問題の捜査に取り組むと述べました。南アフリカ経済は低迷が続いていることから、今後は新大統領の手腕が問われますが、最初に注目されるのが、今週21日に発表予定の南アフリカ予算案です。

予算案の内容と財政赤字削減への取り組みを見た上で、ムーディーズは同国の格付けを決定すると言っていることからも今月のイベントとしては、大統領交代に次ぐ重要なイベントです。大統領交代、赤字削減に繋がる予算案、今後の大統領が見せる経済政策と、果たしてムーディーズが同国の格付け維持を決断するかどうか、当面は南アフリカの政治からは目が離せないでしょう。

また汚職問題の捜査ですが、これまでズマ前大統領やその周辺と絡んで、南アフリカのインド系財閥グプタ家やマッキンゼー、KPMGといったコンサルティング会社をも巻き込んだスキャンダルが話題になっていましたが、既にグプタ家には逮捕状が出ていることから、今後ズマ前大統領も含めて大きな捜査へと発展していきそうです。
以前はズマ前大統領に恩赦といった話が上っていた時期もありましたが、大統領から降りた途端に与党以内の声も厳しく、前大統領逮捕といったことも考えられそうです。ただ、仮にそうなったとしても南アフリカの政治が良くなるという見方でランドは買われる動きになる可能性が高いと言えるでしょう。

さて、先週のランド円は思いのほか落ち着いていましたが、最大の理由はドル円での円高進行速度が速かったためです。週初月曜始値と週末金曜終値を比べると、以下のようになっていて、少なくともドルランドではランドが大幅高になっていることがわかります。
 通貨ペア  月曜始値 金曜終値   変動率
 ランド円   9.04   9.13     1.0%のランド高
 ドルランド 12.0205  11.6235  3.3%にランド高
 ドル円    108.84  106.30   2.3%の円高

このようにランドはドル円やその他のドルクロスに比べるとランド高となっていますし、円クロスの通貨が軒並み円高となっている中で1.0%とはいえランド高・円安になっていることはランドが健闘していたことの表れです。

これで目の前の障害(ズマ前大統領)が取り除かれたことで、今後は純粋に南アフリカの経済対策や政治が評価されることとなりますので、実業家としても優秀だったラマポーザ大統領(フォーブスの資産家リストにも登場した経歴)の大統領職の手腕に注目が集まります。

チャートも見てみましょう。いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)です。

       ランド円、ドルランド、ドル円 四時間足

       ランド円、ドルランド、ドル円 四時間足

先にも書いた通り中段のドルランドは下段のドル円以上にドル安が進んでいますが、これは純粋にランドが買われたと考えて良いでしょう。2015年2月以来のランド高水準です。そして上段のランド円は横方向への動きではありますが、高値圏に張り付いていることもあって、予算案の発表をきっかけに上抜ける可能性はありそうです。

今週は引き続きランドが底堅い展開をすると考えらますので、9.05レベルをサポートに、9.25レベルをレジスタンスとしつつ、9.25を上抜けた場合にはランド高が走る可能性もあるという認識でいましょう。

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