トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は「上下ともに限定的な動きを想定し、28.80レベルをサポートに、29.40レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が28.12レベル、高値が29.31レベルと、予想以上にトルコリラ安が進む一週間となりました。
先週のトルコリラの材料は、5日のCPIが予想よりも落ち着いた数字となっていたことから中銀によるさらなる引き締めは現状では無さそうだということ、これはトルコにとっては好材料と言えます。いっぽうで、継続しているシリアクルド人地区への攻撃は現状のようにアフリーンのテロ掃討に留まっている内はよいものの、米国が懸念しているという点ではトルコにとって悪材料です。
これは今週15日に米国国務長官がトルコを訪れる際にテーマのひとつとなることは間違いなく、マネーロンダリング問題でも対立している米国との関係悪化につながるリスクは常に抱えていると考えるべきと思われます。
さて、先週のトルコリラは、ドルトルコリラがじりじりとドル高となる一方で、ドル円がじりじりと円高になる動きが重なって、トルコリラ円は28.12レベルと、昨年11月につけた史上最安値の28.02レベルまでわずか10銭まで近づき、その後も戻りが弱い展開が続いています。
このトルコリラ売りと円買いの犯人は不安定な株式市場であり、リスクオフの動きではそれまで高金利通貨買い(低金利通貨売り)の巻き戻しから、低金利通貨である円が買われ高金利通貨であるトルコリラが売られるという典型的な動きを見せることとなりました。このリスクオフの動きは、主要通貨でもユーロ円に顕著でユーロ円は先週だけで5円12銭、率にして3.7%もの下落を演じました。
ポジション的に史上最大レベルのユーロ(対ドル、対円が中心)と同様に、トルコリラ円のポジションもまた金融取(クリック365の取組高)に限定されるものの史上最大レベルにあります。トルコリラ円の主要取引層が日本の個人投資家であることを考えると、先週の値幅1円19銭(4.0%)は、ユーロ円と比べても同程度と言えますので、新興国通貨としては健闘したと言ってもよいのではないかと思います。
今週もトルコや米国、日本といったファンダメンタルよりも株式市場がどうなるか、特に株価のもう一段の下げがあった場合には、史上最安値を更新する可能性が高いという点で十分な注意が必要です。もしもの場合を想定して、テクニカルな観点からトルコリラ円の下値目途を予め考えておくことは重要ですから、今週は日足から見て行きます。
トルコリラ円日足
大きな流れは9月高値32.37から11月の史上最安値28.02への下げ、その後の1月初めの戻り高値30.30というポイントから現在は下降トレンドの逆N波動を想定することが可能です。すると、フィボナッチ・エクスパンションで求められるターゲットの内、50%エクスパンションが28.13とほぼ先週安値との一致を見ています。
次のターゲットは61.8%エクスパンションとなり、これは27.61です。28.02を割り込む動きが出てきた場合の目途として27円台半ばという水準が視野に入ってくるということになります。これは、株式市場次第としか言えませんが、現状の株式市場における調整は終わったとは思えず、いまだリスクが残っている以上下値の目途として意識しておくべき水準です。
次に4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円 四時間足
先週同様に今週も対ドルよりもリスクオン・リスクオフの観点からトルコリラ円を中心に見た方が良いのですが、トルコリラ円はピンクの平行チャンネルで示した緩やかな下降トレンドを形成していて、現在はちょうどチャンネルの中ほどにいると見ることができます。
上値としてはレジスタンスラインが位置する水準28円台後半、いっぽうで下値は史上最安値に近いことから一度は試す可能性を考えると27円台後半という水準が見えてきます。今週も先週同様下値リスクを警戒しつつ27.80レベルをサポートに、28.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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