VIX指数とボラティリティ連動商品
先週金曜から始まったダウ急落は6日火曜でいったん収束したように見えます。一般的な見方としてはこれまで調整らしい調整も無く上昇いっぽうの相場にちょうどいい調整が入ったとの見方が大勢です。
今回のダウ急落には、突然入った調整に対してアルゴリズム取引が下げを加速させた面がありますが、それ以外にもデリバティブ関連商品の動きがかなり大きかったと考えられています。そのひとつにボラティリティ連動商品があります。
米国の主要株価指数のひとつにS&P500がありますが、ダウと日経平均、S&P500とTOPOIXが日米の株価指数としては近いイメージです。そのS&P500のボラティリティがVIX(ボラティリティインデックス)です。VIXは恐怖指数とも呼ばれますが、株価と株価ボラティリティは通常、株価上昇→ボラティリティ低下、株価下落→ボラティリティ上昇という関係にあります。
日足チャートで見てみましょう。上段がS&P500、下段がVIXです。今回は木曜の13.64%から6日には50.30%へのボラティリティ急騰と株価急落がよくわかります。
S&P500、VIX 日足
VIX上昇時は株価下落局面ということでこうした名前が生まれたわけですが、ボラティリティがもっとも低下しやすい動きとして、毎日着実に少しずつ株価が上昇していくパターンがあり、米国の主要株価指数は2016年以降2年以上の長期に渡ってその状態が続いていました。当然、VIXも下がることとなり、最近ではほぼ10%台前半、時によっては一桁というボラティリティも見られました。
こうした低ボラティリティにかけた金融派生商品も大量にあったわけですが、今回のダウ急落においてクレディスイスの販売していたVIX逆連動(VIXが下がると価格が上がる)は期限前償還をせざるを得なくなり、投資家がこの商品に投資していた金額は2000億円以上で、その大部分が損失となりました。
さらに、米国の市場関係者にはこうした商品を含めたボラティリティ関連の残高は200兆円を超えているとの分析もあり、これが事実だとするとデリバティブによる米国株の更なる下落という可能性も否定はできません。しばらくは米国の株価から目が離せない状態が続きそうですが、穏やかな収束となって欲しいものです。
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