ドル円 株安リスク継続でドル円も戻しきれず(2/8)

7日は日経平均が前場で大幅上昇したものの後場には、ほぼそれを解消する下げとなり、夜のNYダウも大幅続伸分を終盤に解消して前日比マイナスで終了する等、

ドル円 株安リスク継続でドル円も戻しきれず(2/8)

【概況】

2月2日深夜からのNYダウ急落を発端とした世界連鎖株安により、ドル円は2月2日深夜高値110.48円から6日昼安値108.45円まで下落した。株暴落が一服したことで7日午前には109.71円まで戻したが、まだ日米の株式市場は乱高下にあり、ドル円も楽観的な強気へと進み切れず、7日夜に108.91円まで反落、8日未明に109.69円まで戻すも8日午前は109円台序盤まで再び失速気味となっている。
7日は日経平均が前場で大幅上昇したものの後場には、ほぼそれを解消する下げとなり、夜のNYダウも大幅続伸分を終盤に解消して前日比マイナスで終了する等、まだ株式市場の動揺は続いている。

【ユーロ円の下落】

7日はユーロが一段安している。ドイツでは昨年の総選挙以降、連立政権が樹立できずに不安定な状況が継続している中、第1党のメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第2党の社会民主党(SPD)による大連立交渉が進んでいるが、7日の原則合意では財務相ポストがSPDへ引き渡された。SPDの財務相では財政引き締め感が懸念されるとしてユーロ安要因とされたようだ。
ユーロドルは1月25日深夜高値1.2535ドルと2月2日の戻り高値でダブルトップ型を形成して下落している。株安不安によるリスク回避もユーロ売りを助長した。ユーロ安はドル高要因ではあるが、ユーロ円は2月2日深夜高値から急落し、7日午前戻り高値の後に一段安しており、ユーロ安円高がドル円の上昇を抑えている印象がある。

【株暴落不安、まだ解消しきれず】

日経平均は2月2日211.58円安、5日592.45円安、6日1071.84円安と大幅続落し、7日は35.13円高と下げ止まった。ただいったんは743円高まで上昇した分をほぼ帳消しとしており、反騰開始というよりも暴落一服に見える。
NYダウは2月2日665.75ドル安、5日1175.21ドル安と暴落した後、6日は567.02ドル高と反騰した。7日はいったん381ドル高まで続伸したが引けは19.42ドル安とマイナスで終わっており、これも暴落一服ではあるが、まだ楽観的な強気が復調したとまでは言えない。

株暴落のきっかけは2日夜の米雇用統計が強かったことで米連銀の利上げペースが加速するのではないかとの懸念だった。非農用部門就業者数は20万人増で予想の18万人増を超えたが、サプライズ的な数字ではなかったのだが、それでもバブル的な上昇で高所恐怖症状態にあった米国株市場には一刺しとなり、パニック売りの連鎖を巻き起こした。暴落したところでは買い戻しも入るが、それが続かないようだと一段安への不安感が再燃する。
今回のダウ下落は値幅では最大級だが、下落率は10%強であり、1987年10月のブラックマンデーにおける40%強の大暴落と比べれば小さい。2000年のITバブル崩壊時におけるナスダック総合指数は当初の2週間で凡そ30%暴落し、1週間で22%戻したが、その後にさらに一段安となり、落ち着くまで2か月強で結局は天井から40%の暴落となった。

今回も短期的な急落からV字回復して高値更新にまで至れば事なきを得るが、暴落を解消しきれず、半値強の戻しなら下げ渋りに止まり、もう一段安へ崩れるリスクが残る。

株暴落のきっかけを作った米長期金利=10年債利回りは2日に2.885%へ上昇して4年振り高水準となり、6日には株安から2.648%まで低下したが、株反発で7日には2.861%まで戻した。依然として高水準であり、株暴落のきっかけとしてはまだ継続している。
NY連銀のダドリー総裁は7日の討論会における発言で「これくらいの(株安)変動では私の経済見通しに変更はない」「1年前と比較すればまだまだ高水準だ。市場にとっては大きな出来事だったが、FRBにとってはそうではない」と述べた、米連銀の今年三回利上げ姿勢は変わらないとのスタンスを示した。強がりかもしれないが、米連銀が利上げペースを落とすようなサインを出さないと株式市場の不安感が拭えないのではないかと思う。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

2月2日深夜高値、5日深夜戻り高値、7日午前高値と高値ラインが切り下がっている。6日安値、7日安値と安値ラインは切り上がっており、三角持合い型を形成している印象だ。109.71円を8日未明には超えられていないので、小規模なダブルトップにも見えるので、7日安値108.91円割れからは三角持合い下放れ、109.71円超えからは持ち合い上放れと考えられる。

60分足の一目均衡表では、8日未明への上昇で先行スパンを一時的に上抜いたがその後は再び転落している。6日以降は三角持合い型で往来しているため先行スパンはレンジが薄く、上下いずれへも抜けやすい。遅行スパンも実線と交錯を繰り返す状況にあるので、109円割れからの続落なら両スパン悪化として安値試し優先、109.71円超えから続伸なら両スパン好転として高値試し優先という切り分けになるのではないか。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んで上下10ポイント程度で往来しているため、方向感が鈍い。109.71円超えから上昇なら70ポイントを伺うかもしれないが、109円割れから続落してくる場合は40ポイント割れからの下落再開感が強まると思われる。

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、1月30日深夜安値から4日半となる6日昼安値でサイクルボトムをつけて反騰に入った。今回の高値形成期は2日深夜高値を基準として7日夜から9日深夜にかけての間と想定される。早ければ7日午前と8日未明高値による109.70円前後の小ダブルトップで戻り一巡した可能性がある。7日安値108.91円割れ回避の内は109.71円超えからの上昇継続余地ありとするが、108.91円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して6日安値試し、さらに底割れの場合は次の安値形成期となる9日の日中から13日にかけての間への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7日夕安値108.91円を支持線、7日朝高値109.71円を抵抗線とみておく。
(2)108.91円以上での推移中は109.71円超えから110円台序盤試しへ向かう可能性ありとするが、110円から2日深夜高値110.48円の間は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)108.91円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して6日安値108.45円試しとみる。108.40円台では何度も切り返してきているので重要な支持帯とみるが、108.45円割れからさらに1月27日安値108.28円割れへ進む場合は支持帯割れから急落商状に入る可能性を警戒する。その場合は9月8日安値107.32円試しへ向かうと考える。(了)<9:55執筆>

【当面の主な予定】

2/8(木)
朝鮮人民軍創建日
未 定 (中) 1月 貿易収支(米ドル) (12月 546.9億ドル、予想 523.5億ドル)
未 定 (中) 1月 貿易収支(人民元) (12月 3619.8億元、予想 3300.0億元)
16:00 (独) 12月 貿易収支 (11月 237億ユーロ、予想 210.億ユーロ)
16:00 (独) 12月 経常収支 (11月 254億ユーロ、予想 250憶ユーロ)
18:00 (欧) 欧州中央銀行(ECB)月報
18:00 (豪) ロウRBA総裁、講演
19:30 (欧) メルシュECB理事、講演
19:45 (欧) プラートECB理事、講演
21:00 (英) イングランド銀行(BOE)金利発表 (現行 0.50%、予想 据え置き)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 据え置き)
22:00 (米) ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.0万件、予想 23.5万件)
23:00 (米) カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
28:00 (メ) メキシコ中銀 政策金利 (現行 7.25%) 

2/9(金)
平昌五輪開会式、日韓首脳会談
08:50 (日) 1月 マネーストックM2 前年比 (12月 3.6%、予想 3.6%)
10:30 (中) 1月 消費者物価指数 前年比 (12月 1.8%、予想 1.5%)
10:30 (中) 1月 生産者物価指数 前年比 (12月 4.9%、予想 4.2%)
11:00 (米) ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、講演
18:30 (英) 12月 貿易収支 (11月 -122.31億ポンド、-115.00憶ポンド)

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