今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、前週に25日に高値1.2538をつけたこともあり、達成感や短期筋の利食いから週前半は1.2335レベルと高値から200ポイントほどの調整となりましたが、その後は月末実需のユーロ買いやユーロ円クロスでの買いが目立ったこともあり、木曜NY市場では再び1.2523と大台を回復後、雇用統計の結果からやや押しての週末となりました。
今週はドル円同様に材料的には悩ましく、金曜から今朝にかけてのダウ急落の動きが欧州株式市場にも影響を及ぼすことは間違いありません。またドイツでCDUとSPDの大連立協議が本日から再開しますが、いまだに難航していて妥協点を探すのに苦労している様子です。これらはユーロ売りの材料となりますし、米金利上昇もドル買い・ユーロ売りの材料となります。
ただ、NYダウが更に大きく下げるような動きとなればドル売りにもつながり、今週は米国と欧州、米国と日本とそれぞれのバランスを考えながら取引する一週間となりそうです。材料的にはPMI確報値よりもECB高官の講演で次のECB理事会に向けて、フォワードガイダンスの変更を感じさせるような発言があるかどうか、そちらのほうが注目材料となりますが、ECBの金融政策という観点からは9月以降の緩和縮小に向けて、ユーロ買いの材料のほうが大きいと思います。
あとは上記に書いた通り本日から再開するドイツの大連立協議ですが、本来は4日までに合意に到達する予定で、5日と6日は予備日として設定されていました。最後の詰めでは医療保険や有期雇用契約の制限の2つがSPD側としては許容できないということのようですが、これまでもメルケル首相率いるCDU側の政策が強いことから粘っているのでしょう。
ただ、数の論理だけでは無いでしょうが、CDUとSPDの議席数246対153から考えると、CDU側に押し切られて今日明日にも協議がまとまるというところでしょう。ただ、2党間での協議がまとまっても、SPDとしては党員に連立協議入りの最終判断をまかせるわけなので、まとまること自体はユーロ買い材料でも、最終結果が出るまでは動きにくい状態が続くかもしれません。
ざっと見渡すと、ややユーロ買い優勢に思えますが、ポジション的には相変わらずユーロ買い膨らんでいて30日時点のシカゴ通貨先物はユーロが148,742枚の買いと史上最高のポジションとなっています。1.25台で安定しない動きのひとつに大きな買いが積み上がっているために利食いが出ているということは大きいと思われます。
テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートを見てみましょう。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
先週示した平行線による上昇チャンネルは上抜けしてあまりきれいではなくなったため、引き直してみました。本来上昇トレンドでは先にサポートラインを引いて、そのあとに上側のレジスタンスに相当する平行チャンネルを引くべきなのですが、今回はあえて上側のライン(年始高値と1月高値を結んだライン)を先に引き、それに対して平行のサポートラインを1月安値から引いてみました。
後講釈的な合わせ方ではありますが、今週はこの上昇チャンネルをベースに考えたいと思います。ユーロドルは、着実な上昇トレンドを続け、現在は長期のターゲット1.26台前半を目指している流れには変化がありません。長期上昇トレンドの中で、利食いが出れば押しが入る程度というのがテクニカルな面からも言えそうです。
今週は新高値こそ難しそうですが高値圏でのもみあいを考え、1.2375レベルをサポートに、1.2550レベルをレジスタンスと緩やかながらも新高値を更新する一週間を見ておこうと思います。
今週のコラム
今週はユーロ円のチャートを見てみましょう。先週は月末の実需も出たことから、ユーロ円は高値137.50と2015年8月以来の高値をつけました。長期的にはユーロ高の流れを継続しているものの、短期的にはいったん調整が入りやすい水準になっています。
まず1月15日にラインを引いた日足チャートをそのままご覧ください。
ユーロ円日足
大きな上昇平行チャンネルの中での動きを続けていますが、10月高値と1月高値を結んだ上側の細いラインに137.50でちょうど到達したことがわかります。
また、以下の月足チャートもご覧ください。
ユーロ円月足
こちらはあまり明確なチャンネルではありませんが、2016年安値と2017年安値を結んだサポートラインに対して2017年9月高値を通るように平行チャンネルを引いたものです。1月高値もここまでの2月高値(137.50)も上のラインに沿うような動きとなっていて、長らく続いているユーロ円の強い動きを否定はしないものの、利食いも出やすい流れにあると言えます。
今週はユーロ円に関しては、先週金曜の高値で目先の高値をつけたか、上がっても先週高値を若干超える程度の動きになりそうなチャートと考えられます。一番無難なのは下がったところでの買いと言えます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
2月5日(月)
10:45 中国1月MarkItサービス業PMI
17:50 フランス1月サービス業PMI確報値
17:55 ドイツ1月サービス業PMI確報値
18:00 ユーロ圏1月サービス業PMI確報値
18:30 英国1月1月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏12月小売売上高
2月6日(火)
16:00 ドイツ12月製造業受注
18:00 ドイツ連銀総裁講演
2月7日(水)
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
18:00 ラウテンシュレーガーECB理事講演
2月8日(木)
**:** 中国1月貿易収支
17:45 ドイツ連銀総裁講演
18:00 ECB経済月報
19:15 フランス中銀総裁講演
19:30 メルシュECB理事講演
19:45 プラートECB理事講演
21:00 英中銀MPC結果公表
26:45 カナダ中銀総裁講演
2月9日(金)
10:30 中国1月CPI、PPI
18:30 英国12月貿易収支、鉱工業生産
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.2432 1.2523 1.2335 1.2456
ユーロ円 135.01 137.51 134.13 137.21
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
1月29日(月)
ユーロドルは前週末の段階で高値圏からの下げが先行していましたが、週明けは全般的なドル高の動きから下値を切り下げる流れ。NY市場では1.2337レベルの安値をつけ若干戻しての引けとなりました。トランプ大統領の一般教書演説、FOMCを控えていることから動きはあまり目立ちませんでした。
1月30日(火)
東京市場ではユーロ円の売りから上値が重たい展開が続けていましたが、欧州市場以降はドル安の流れに沿ってユーロ買いの流れへと転じました。一時1.24台半ばまで水準を切り上げたものの、ドル円同様にNY後場以降はドル買いの動きも出て1.24近辺へ押して引けました。
1月31日(水)
東京市場からNY前場までじりじりと買いが入り1.2475レベルまで水準を切り上げる動きとなりました。月末実需でユーロ円の買いもユーロを下支えする材料となりましたが、NY後場にはポジション調整の売りも出てユーロドルは東京朝方の水準へと行って来いの動きで引けました。
2月1日(木)
東京市場こそ上値が重たくドル買い地合いでしたが、欧州市場以降はユーロ買い一色となり、対ドル、対円とも大幅に上昇する動きを見せました。ユーロドルは前日高値を超えたあたりから買いが強まり、ユーロ円の買いも重なって1.2523レベルの高値をつけ高値圏での引け、ユーロ円も136.96レベルと年初来高値を超えての引けとなりました。
2月3日(金)
米金利上昇からドル買いが目立つてのスタート、その後もドル買いが続き雇用統計後に1.2409まで下げました。引けにかけてはドル円同様にNYダウの下げもあって、ドル売りが入り1.24台半ばに戻して引けました。
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オーダー/ポジション状況
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