トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は「下降チャネルの中での動きが考えられ、28.30レベルをサポートに、29.20レベルをレジスタンスとする流れ」としました。実際のレンジは、安値が28.63レベル、高値が29.40レベルと、思ったよりも底堅い値動きを見せました。
先週のトルコリラ円は、先週のショートコメントにも書きましたがトルコ軍によるシリアのクルド人地区への攻撃、米国がトルコのハルクバンクに対して制裁金として375億ドルを課すとの2つのニュースでトルコリラがギャップダウンして始まりました。このギャップダウンして始まったところが週間安値の28.63レベルでした。
しかし、その後のトルコリラは落ち着きを取り戻すどころか、完全にギャップを埋めさらに週間高値となった29.40レベルまでその日のうちに上げることとなりました。目立った非難が他国から出なかったということもあるのでしょうが、材料的には不思議な動きで短期筋のポジションがトルコリラ売りに傾いていた程度しか考えられません。正直なところ、この月曜のトルコリラ高の動きは意外としか言えません。
ただ、テクニカルには、前日安値を下回りギャップダウンして始まった場合、前日安値まで埋めると買われやすいという「ウップス」のチャートパターンが出ていたということもあるかもしれません。つまり、前日安値28.97よりも低く28.73で始まり、前日安値を上回るギャップ埋めのパターンです。このウップスは、前日高値よりも高く始まり前日高値を下回ったら売り、という逆パターンもありカリスマトレーダーのラリー・ウィリアムズ氏が広めたものです。
そして、月曜以降は下降チャンネルの上側ラインに沿いながらも狭いレンジの中でじり安となり、金曜の黒田日銀総裁発言でクロス円全般での円買いの動きがトルコリラ円にも影響し、月曜東京市場の水準へと押しての引けとなりました。週明けの下げて始まった動きを除けば行って来いという動きとも言えます。
そうした点では、先週こそシリアのクルド人地区への攻撃はトルコリラ安の材料とはされなかったと見られますが、トルコの銀行が絡んだマネーロンダリング問題もありますし、米国もクルド人地区への攻撃に対して米軍との衝突は回避するように求めています。米国はシリアにIS掃討を理由に軍を常駐させ、今回トルコが標的としているクルド人部隊にも武器を供給しています。
米国もトルコも内心ではお互いを敵視している関係でもありますし、今後トルコ軍と米軍が偶然衝突してしまうという事態があるかもしれません。今後もトルコ軍のシリアにおける動向はトルコリラ売りの材料となるリスクを抱えていると考えた方がよさそうです。
さて今週ですが、31日にトルコの貿易収支、観光収支といった発表はありますが、他には目立った材料も無く、トランプ大統領の一般教書演説、FOMC、米国雇用統計といったドル材料の方が影響大きいものと考えられます。ただ、トルコリラ円の構成要素としてドルトルコリラとドル円と考えた場合、トルコリラには上記の通りトルコリラ売りに繋がる材料があり、また円には先週のムニューシン財務長官発言以降のドル安警戒感が、円金利上昇圧力とともに円買いに繋がりやすいという環境があります。
材料面では、ややトルコリラ安というこれまでの流れを続けやすいと言えるでしょう。
次に4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円 四時間足
先週の動きに合わせて若干平行チャンネルの位置を変えましたが、下降チャンネルであることには変わりありません。テクニカルには今週もこの下降チャンネルの中での値動きを継続すると考えられます。
今週は、先週の安値をやや下回る28.40レベルをサポートに、レジスタンスラインの位置する29.20レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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